630年から838年までの約200年もの間、唐(当時の中国)に19回も派遣された「遣唐使」。
その遣唐使の方たちがそれぞれ持ち帰ったものの中にあった唐のお菓子が「唐菓子(からくだもの)・唐果物(からくだもの)」と「果餅(かへい)」です。
米の粉や小麦粉をこねて形作り、油で揚げたような、餅や団子といった類のものは、日本においては最も初期のお菓子で、後の日本の和菓子に影響のあったものがたくさんあります。
奈良時代の書『正倉院文書』も詳しいことが書かれていますが、ほとんどが口伝により伝えたとされます。
その遣唐使の方たちがそれぞれ持ち帰ったと言われている唐のお菓子「唐菓子(からくだもの)・唐果物(からくだもの)」と「果餅(かへい)」の紹介です。
「唐菓子(からくだもの)・唐果物(からくだもの)」 全8種類
「八種(やくさ)唐菓子」「御菓子(おんくだもの)」「御果物(おんくだもの)」とも言います。
「唐菓子」は、米や麦の粉を蒸して臼で搗き、こねたり、手で形を造ったり、大豆、小豆に塩を加えて油で揚げたものです。
貝のような形や餃子のような珍しい形に、当時の人々は「もののかたちをつくりたるくだもの」と驚いたものでした。(この「くだもの」とはお菓子のこと。)
主に貴族たちの節会などに供されていましたが、内裏近辺の人々も食べていたとされます。この菓子は、当時中国文化に憧れていた貴族たちの贅沢な食べ物でした。
「唐菓子」は、祭神用として尊ばれ、現在でも春日大社、下鴨神社、熱田神宮などに「神饌(しんせん)」としてその形を見ることができます。
①ばいし 梅子・梅枝
米粉(うるち米)を蒸して、梅の枝のようにT字形や鍬の形にして、着色して揚げたもの。
②とうし 桃子・桃枝
梅枝と同様のもので、米粉(うるち米)を蒸して、桃の枝のようにT字形や鍬の形にして、着色して揚げたもの。
③かっこ かんこ 餲餬
小麦粉をこねて、地虫のすくも虫のような形にして、油で揚げたもの。
➃けいしん 桂心
肉桂皮(シナモン)の粉末をつけた餅菓子。
⑤てんせい てんぜい でんせい 黏臍
もちキビ粉をこねて、へその形のようにへこみを作り、油で揚げたもの。
⑥ひちら ひら 饆饠
もち米の粉をこね、煎餅のように平たくして焼いたもの。小麦粉で作り、中に餡を入れたものともいう。
⑦だんき 団喜
「団子」という名の由来は、この唐菓子の「団喜」や餡入りの団子(トゥアンズ)という菓子が由来と言われています。
「団喜」とは、米の粉と小麦粉をこねて、栗や柿、あんずなどの木の実の具を萱草や甘葛(あまづら)で甘味をつけて包み、丸めてから蒸すか茹でたものをいいます。
「歓喜団(かんきだん、かんぎだん)」ともいいます。
江戸時代中期、京都の亀屋清永さんが、7種の香りを練り込んだこし餡を、米粉と小麦粉で作った生地で金袋型に包み、八つの結びで閉じて、ごま油で揚げたもの「清浄歓喜団」を製造されています。
⑧ついし 鎚子
うるち米の粉や小麦粉をこねて蒸し、里芋やどんぐりの形にして煮た餅。
「つい」の漢字は、食へんに追うという字です。
「果餅(かへい)」餅類 全15種類(14種類とも言われています)
14種とも言われている訳は、14番目に記した「魚形」と15番目に記した「餅こう」が同じもの(1つのもの)という説があるからです。
①ふと ぶと 餢飳
うさぎが伏せた形に似ていることから、「伏兎」とも書きます。
米粉と小麦粉で作った生地を丸く平にして、萱草や甘葛(あまづら)で甘味をつけ、二つに折って兜(かぶと)の形にして油で揚げたものです。
江戸時代中期以降、京都の亀屋清永さんが、中に小豆餡を入れた「餢飳」を製造されています。
柏餅、桜餅、花びら餅、奈良の火打焼などに由来します。
上記「清浄歓喜団」と「餢飳」をこちらからお取り寄せができます。↓↓↓

②まがりもち かんべい 糫餅
米粉、小麦粉をこね、細くひねって環状にし、油で揚げたもの。有平のひねり飴に由来する。
③かいなわ かくなわ 結果
小麦粉をこねて細長くし、結び緒のような形にした油で揚げた干菓子。
➃ねんとう 捻頭
「麦形(むぎがた)」ともいう。
もち米の粉を練り、細くひねってとぐろ状(輪)に盛り上げ、胡麻油で揚げたもの。大嘗会(だいじょうえ)などの儀式に用いられた。有平のひねり飴に由来する。
⑤さくばい さくべい さくへい 索餅
和名で「麦縄(むぎなわ)」ともいいます。
七夕の節供に由来します。
「索餅(さくべい)」とは、陰暦の7月7日に、瘧(おこり)除けのおまじないとして、内膳司から禁中に奉り、また節会(せちえ)の時、晴れの御膳に供したとされます。
「索」は、「なわ」や「つな」という意味です。
小麦粉と米粉を練って細長くし、縄の形にねじって油で揚げたものです。
平安時代は、粉と塩だけで作られたそうです。
⑥ふずく 粉熟 粉粥
米、麦、大豆、小豆の粉にきび、ごまを加え、蒸して茹でてから当時の甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」を加えて練り、細い竹筒に押し詰め、突き出して切って食べるものです。
青、黄、赤、白、黒の五色がありそれぞれ着色には、母子草(ごぎょう)、露草、クチナシ、刈安(ススキに似た染色用植物)などで粟を黄色に染めたり、小豆や米、胡麻が使われました。
⑦こんとん 餛飩
羊の刻み肉を、小麦粉、甘みの入った皮で包み、蒸したもの。
「まんじゅう」の先駆であるという説があります。ただ日本では当時、肉を食べる習慣がまだなかったため、甘くない小豆を入れたとされます。
あん玉などを芯として作ったことが、現在の「きんとん製の生菓子」の由来となったものとされます。
⑧べいだん へいたん へいだん 餅餤
肉、野菜、卵などを餅で包んだもの。
⑨はくたく ほうとん ほうとう 餺飩
小麦粉をこねて平にして切ったもの。茹でてから、小豆の摺り汁で食べます。
菓子から料理へと変化した「山梨のほうとう」や「北三陸地方のはっとそば」などに由来します。山梨のほうとうには、かぼちゃのほうとうのほかにも、小豆のほうとうがあります。

⑩いりもち せんべい 煎餅
この当時は、小麦粉を油で煎ったものでした。
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⑪ちまき 粽
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⑫くさもちゐ 草餅
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⑬つばいもちゐ つばきもち 椿餅
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⑭ぎょぎょう ぎょけい 魚形
小麦粉をこねて細長くし、結び緒のような形にして油で揚げたお菓子です。
⑮へいこう 餅こう
小麦粉をこねて細長くし、結び緒のような形にして油で揚げたお菓子です。
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