日本の菓子文化に華麗な変化をもたらした「南蛮菓子(なんばんがし)」。美味しいお菓子がたくさん日本にやってきました。その「南蛮菓子」の紹介です。
南蛮菓子とは
室町時代終わりから戦国の世に入ろうかという時代です。
1543年、ポルトガル人により、種子島に鉄砲が伝えられたと歴史の授業で習ったかと思います。
1549年にフランシスコ・ザビエルが布教活動に訪れ、1550年にはポルトガルの貿易船が長崎・平戸に来航し、鉄砲だけでなく、ヨーロッパの文化や宗教などがポルトガル人やスペイン人によって伝えられました。
小麦粉や砂糖を原料とした「南蛮菓子」と呼ばれるお菓子もそのひとつです。
この頃の「南蛮」とは、主にヨーロッパのことを示しています。南蛮貿易をしていたのは、主に現在でいうポルトガル人やスペイン人、オランダ人などになります。
この頃になるととても高価な「砂糖」が輸入されるようになり、菓子の発展に大きな影響を与えることとなります。
これら「南蛮菓子」は、現在にそのまま伝わっているものもありますが、ポルトガルやスペインのオリジナルの菓子とはかけ離れ、日本人の好みに改良されているものもあります。
南蛮菓子の種類
天正年間(室町時代末期)にポルトガル人やスペイン人によって伝えられた「南蛮菓子」の種類です。
アリヘイトウ アルヘイトウ 有平糖
干菓子。飴物。
主原料は砂糖。砂糖に水を加え、煮詰めて冷まし、色をつけて棒状にし、手で素早く結んだりひねったりして形を作り、飴菓子にしたもの。
ポルトガル語で「Alfeloaアルフェロア(砂糖菓子という意味)」といい、アルヘイ、アルヘル、アルヘイルとも呼ばれます。
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かすていら カステラ
生菓子。蒸しもの。焼きもの。オーブンもの。
主原料は小麦粉。小麦粉、卵、砂糖に現在では水飴やはちみつを加えて、しっとりと焼き上げたお菓子。膨張剤などは一切使わずに仕上げるのが特徴です。
「紙焼きかすていら」「かすていらまんちう(カステラ饅頭)」やシナモンが香るカステラを花の形にしてこしあんを入れた「花かすていら」などもあります。
製法は、江戸時代の書『古今名物御前菓子秘伝抄』(1718年刊)や『百菓之図』(1841年頃)、『万延元年菓子図鑑』(1860年刊)などに記載されています。
明治時代になりオーブンの普及で、広く作られるようになりました。
当時の「かすていら」と違い、現在の「カステラ」は、改良を重ねた日本独自の味になっています。
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カスドース
長崎県平戸市発祥の南蛮菓子。南蛮菓子でもあり、お殿様に献上した「お留め菓子」でもあります。
「かすていら」を固く焼き、卵黄に浸け、砂糖と水で作った砂糖蜜が沸騰して泡が出てきたら絡め、上からグラニュー糖でまぶしたお菓子です。
『百菓之図』(1841年頃著)に製法が詳しく載っています。
かるめいら カルメラ カルメ焼き
干菓子。焼もの。
主原料は砂糖。
砂糖に水と卵白を加えて煮詰め、重曹を入れ泡立て膨らんだ後、冷ましたもの。当時は、氷砂糖と卵白を用いたとされます。
江戸時代中期、日本最初の菓子製法の専門書『古今名物御前菓子秘伝抄』(1718年刊)に、カルメラの製法が記載されています。
昭和の時代は、お祭りの露店などでその場で作ってパフォーマンスしながら売られていましたが、今ではそれはなくなり、駄菓子屋さんなどで販売されています。
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けいらんそうめん 鶏卵素麺
主原料は砂糖。
氷砂糖で作った蜜の中に、卵黄を細く流し入れて素麺状に固めたお菓子。
「玉子素麺」とも呼ばれます。
ケサチイナ ケイジャーダ
長崎県平戸の『百果之図』(1841年頃著)に記載されている平戸のお菓子。
ポルトガルの「ケイジャーダ」というお菓子が元になったと言われているチーズタルトのようなお菓子です。
「ケイジョ」は、ポルトガル語でチーズを意味します。
「ケイジャータ」は、ポルトガルのシントラ地方の伝統菓子です。
コンペイトウ 金平糖
干菓子。掛けもの。
主原料は砂糖。
ざらめを芯にして、回転させた釜の中で糖蜜をふりかけながら火を入れ、角をつけたもの。
江戸時代、長崎で作られるようになったといわれています。
江戸時代中期、日本最初の菓子製法の専門書『古今名物御前菓子秘伝抄』(1718年刊)に、金平糖の製法が記載されています。
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ハルテ ハルテイス
ポルトガルのさつまいも菓子で、日本でいうスイートポテトのようなお菓子。
アーモンド、甘藷、バターを入れたお菓子だが、当時は日本の人々の口に合わなかったようです。
パン
主原料は小麦粉。
ビスカウト ビスケット
主原料は小麦粉。
ボウロ
主原料は小麦粉。
南蛮菓子の参考になる資料『百菓之図』
「南蛮菓子」が長崎・平戸に伝えられたのが、ポルトガル船が来航した室町時代終わり頃の1550年。ポルトガル人が平戸にお菓子を広めたとされます。
江戸時代、平戸ではお菓子が広がり、町のお店の18軒に1軒がお菓子屋さんだったといいます。
『百菓之図』は、平戸の松浦家35代(10代藩主)松浦煕(ひろむ)が、藩主を離れた1841年から6年の歳月をかけて、2軒の菓子屋に100個の菓子の試食を繰り返し、書き記された平戸らしいお菓子の書。茶道の所作のほか、砂糖が日本の中でも早くに平戸に伝えられたことにより、平戸らしいお菓子が、平戸に生まれたことを誇りに思い、残し伝えていきたいと考えられ編集されたのがこの『百菓の図』です。
ただ、この『百菓之図』には、南蛮菓子はカスドース、けさちいなの2種類しか載っていませんでしたが、この後に記された『万延元年菓子図鑑』(1860年刊)には、載っている菓子の絵とレシピ61種類中1/3が南蛮菓子となり、南蛮菓子が広がっているのがわかります。
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