外郎、外良(ういろう)とは
「ういろう」は、生菓子の中でも上生菓子になります。もっちりとした歯ごたえの「ういろう」は、蒸し菓子です。所謂、「外郎餅(ういろうもち)」のことをいいます。お土産などでいただくことが多く、普段食べたいと思っても、簡単に手に入らなかったりします。たまに、ドラッグストアなどに売っていたりして、嬉しくて買ってしまうことがあります。
自分で作ってみると、とても簡単で、やわらかいのでお子様からお年寄りにまでとても人気です。突然のお客様でも、すぐに作れるので、覚えておくととても重宝します。
ういろうの歴史
南北朝時代の応安年間(1368~1374年)、元の国(中国)から渡ってきた陳宗敬が「透頂香(とうちんこう)」という黒色方形の薬を伝えました。陳は、元の国では「礼部員外郎」という役職にあったため、その薬の別名を「外郎(ういろう)」と名付けたとされます。
その薬が苦かったため口直しに作られたお菓子と、薬の形が似ていたため、お菓子の名前を「外郎(ういろう)」と名付けられたとされます。
江戸時代中期の日本最初の菓子製法の専門書『古今名物御前菓子秘伝抄』(1718年刊)には、「外郎餅」の作り方が記載されています。
ういろうの型の種類
もちもちの「ういろう」ですが、型の種類もたくさんあります。
◆棹物 さおもの
お土産などでいただく、パックに入っているものとして、細長い長方形状の棹物がごく一般的です。最近、ドラッグストアなどで販売しているういろうも、小さいですが、パックに入っているものです。
◆上生菓子
上生菓子で、餡が外郎に包まれている「外郎製のお菓子」などがあります。
◆外郎粽(ういろうちまき)
「端午の節句」の際には、笹の葉で巻かれた細長い粽が出回ります。私の地元では、なかなか見かけませんし、手にも入りませんが、関西では、当たり前のようにあります。
◆三角形(水無月)
「水無月」という6月30日に「夏越しの大祓」の時にいただく外郎のお菓子があります。これは、夏を前に厄払いをする際にいただくお菓子で、宮中では氷を食べて涼むことができたのですが、庶民は氷など食べられなかった時代に、外郎の白を氷に見立てていただきました。
ういろうの味
ういろうの味は無限大にあります。
◆白ういろう
何も色付けしない状態。基本の色です。
◆抹茶ういろう
基本の白ういろうに抹茶を加えたもの。
◆黒ういろう
お砂糖を黒砂糖で作ったもの。
◆桜ういろう
ピンク色のういろう。こちらは、色素です。
◆コーヒーういろう
コーヒーが入っています。
◆ココアういろう
ココアが入っています。
◆フルーツういろう
柚子、金柑、みかん、栗などフルーツを各種加えて作ります。
自分で作るういろうの簡単レシピ
自分で作るとっても簡単なういろうのレシピです。蒸し方やお粉をこだわれば本格的に美味しいものができるでしょうが、一般のご家庭にある薄力粉と片栗粉でできます。
抹茶のういろう
抹茶は、10月から11月が一番美味しい時期とされますが、現在では1年を通して手に入る材料となりますので、抹茶のういろうは、季節を問わずいつでも作ることができてとても重宝します。

《 材料 》
抹茶 小さじ1
お湯 50ml
砂糖 100g
★薄力粉 70g
★片栗粉 30g (★あれば上用粉、上新粉、米粉、白玉粉のいずれかを100g)
水 250ml
《 レシピ 》
①抹茶をお湯で溶いておきます。
②ボールに砂糖を入れ、薄力粉と片栗粉を振るいにかけながら加えます。
③ダマにならないように、水を何回かに分けてゆっくり加えて混ぜます。サラサラになるまで混ぜてください。
④お湯で溶いた抹茶を茶こしで濾しながら入れ、混ぜます。
⑤タッパー(20×25センチくらいのもの)にラップを敷いておきます。
⑥濾しながら、タッパーに流し入れます。
⑦タッパーは蓋はせず、レンジ500wで5分。もちもちになっていれば、OKです。水っぽいようでしたら、あと1分レンジに入れます。
⑧ラップごと取り出します。冷めたら、好きな大きさに切ってください。包丁を濡らして切ると綺麗に切れます。
そのまま食べてもいいですし、きな粉をかけたり、アイスと合わせたり、最中の皮にあんこと共に挟んでみたり、いろいろと応用ができます。ぜひ試してみてください。
柚子のういろう

柚子のういろうは、柚子がある時にしかできない秋冬限定のういろうですが、柚子がある間に、皮だけ冷凍しておいたり、柚子ジャムを作っておくと1年中作ることができます。皮だけの場合は果汁はありませんが、皮だけでも十分美味しくできます。柚子ジャムから作るならういろうに入れる砂糖を控えめにすると美味しくできます。
柚子の香りがとてもよく、ほんのり柚子の果汁の苦みも残り、とても上品なお味のういろうです。
「柚子について」や「柚子のういろうの作り方」はこちら ↓↓↓


みかん(温州みかん)のういろう

温州みかんのういろうは、秋から冬にかけてのみかんがある季節にしか味わえないものですが、みかんジャムを作っておけば、1年中楽しむことができます。
みかんの皮まで美味しく食べることができます。
「みかんジャム」や「みかんのういろうの作り方」はこちら ↓↓↓

金柑のういろう

金柑のういろうは、金柑がある時にしかできない冬限定のういろうですが、冬の季節にしか味わえない貴重なものです。とても贅沢なので、お試しください。
金柑の香りがとてもよく、ほんのり金柑の苦みも残り、とても上品なお味です。
「金柑について」「金柑の甘煮の作り方」「金柑のういろうの作り方」はこちらからどうぞ ↓↓↓


水無月

1年の半分が終わる6月30日は「夏越の大祓」といい、1年の前半のケガレを落とし、後半の健康と厄除けを祈願する日です。神社などで「茅の輪くぐり」をし、ういろうでできた「水無月」というお菓子を食べます。
「夏越の大祓」の詳しい意味や、「水無月」の意味や作り方などはこちら ↓↓↓

ういろうの有名な地
◆小田原
家名である「外郎(ういろう)」家が、室町時代に国賓のもてなしに考案した米粉を使った蒸し菓子が「ういろう」と呼ばれ、小田原から各地に広がったとされます。
◆名古屋
「青柳総本家」さんが有名です。昭和の初め、当時は珍しかった駅の売店での販売が、「名古屋のういろう」を全国に有名にさせた原点となるようです。
◆伊勢
伊勢神宮参拝の際のお土産として有名になった伊勢の「黒ういろう」が有名です。黒糖を使った生のういろうなので、日持ちがしないようです。
◆京都
京都市五条にある「五建ういろ」さんの外良(ういろ)や「川端道喜」さんの「粽」が有名です。
◆山口
わらび粉を使ったぷるんと柔らかいういろうが有名です。
◆宮崎県青島
「青島ういろう」が有名。
ういろうのおすすめの逸品
ういろうを作るのに、「流し缶」があるととても便利です。こちらからお取り寄せできます。↓↓↓


明日はどんな手仕事する?
「ういろう」とは、もともと「外郎薬」という薬でしたが、その薬の口直しの蒸し菓子が作られ、今では、その蒸し菓子の方が「ういろう」として有名になってしまっています。
大好きなお菓子を自分で簡単に作ることができるのは、本当に嬉しいですね。あまりにも簡単なので、よく生徒さんや親戚などにもお出しするのですが、とても好評です。
昔からあるお菓子というものは、基本的には簡単にできるものです。和菓子というと、上生菓子などのイメージがあって、作ることのハードルが高くなりすぎてしまっているだけなのですよね。
京都には、「おまんやさん」といって、普段食べるおまんじゅうやお餅などの和菓子を売っているお店さんがあります。どちらかというと、「おまんやさん」のイメージのものを作ろうと思えば、簡単にできるのではないかと思います。
ぜひ、この簡単な「ういろう」作ってみてください。朝食を作って食べている間にできてしまいますよ。特別な時間は必要ありません。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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