金柑の手仕事といえば、「金柑の甘煮(コンポート)」です。
「金柑はどうやって食べたらよいのかわからない」「金柑は食べても美味しくない」「金柑は作るのが面倒そう」などというネガティブな意見が多く、食べられずに放置されているお宅をよく見かけます。こんなに美味しいものを食べないなんて、本当に勿体ないです。
私のお花の生徒さんたちにも、金柑が採れる時期には、レッスンの後に「金柑の甘煮」をお出しするのですが、みなさん金柑のイメージが変わったとおっしゃって、レシピをお伝えすると、自分でも作られる方が多くなりました。
たぶん、世の中のみなさんが、金柑に対して、食わず嫌いなだけなのです。
ぜひ、下記のレシピで作ってみていただけると嬉しいです。絶対に金柑のイメージが変わります。
おまけとして、こちらも保存食の金柑味噌のレシピもあります。
金柑の甘露煮と甘煮の違い
金柑といえば、「金柑の甘露煮」です。
私はあえて、「甘露煮」とはうたっていません。
「甘露煮」とは、お魚などの調理方法のことで、砂糖、醤油、みりんを入れて煮込むことをいいます。果物の場合は、砂糖で甘く煮たもののことをいいますが、これは「甘露煮」とは言わずに「甘煮」といいます。
「甘煮」とは、素材の持ち味を生かした甘さに煮る方法です。
また、「コンポート」とは、果実の素材を残したまま砂糖で煮るヨーロッパ伝統の果物の保存方法です。ジャムに比べると糖度が低いので、そのまま食べることもできますし、お菓子へのアレンジなども可能となります。ただ、糖度が低いため、日持ちはジャムに比べると短くなります。
「金柑の甘露煮」ということで、醤油を加えて、味を調えている方もいらっしゃいますので、甘露煮が間違っているなどということではありません。
たまたま私が習ったレシピが、甘露煮でも、ジャムでもない、甘煮だったということで、今回のご紹介が「金柑の甘煮(コンポート)」になったということです。予めご了承ください。
金柑の甘煮(コンポート)のレシピ
金柑は、まずは基本の甘煮を作っておけば、アレンジはいくらでも可能です。
《 材料 》
金柑 1㎏
氷砂糖 200ℊ(金柑の1/5)
水 適量
《 作り方 》
①緑色をしたヘタ(茎から切った部分)を取ります。手でぽろっと取れます。すべて取り終わったら、金柑の総重量を計っておいてください。

②金柑を水で洗います。実の汚れを取ります。収穫してきたものですと、見た目ではわからない汚れが意外とあります。1つづつ丁寧にチェックしましょう。

③鍋に金柑を入れ、水が被るくらいまで入れて、火を点けます。沸騰してから3分、中火でそのまま沸騰させます。3分経ったらザルに金柑ごとこぼします。
➃また金柑を鍋に戻し、水がかぶるくらいまで入れて、沸騰したら3分、中火のまま沸騰させます。この茹でこぼしを全部で3回行います。この茹でこぼしを3回やることで、金柑独特の苦味がなくなり、フルーティーな金柑の味になります。
⑤3回終わったら、金柑のヘタが横になるようにして1つづつ半分に切り、種を取り出します。
⑥半分に切って種を取り出した金柑を鍋に戻し、ヒタヒタになるくらいの水を入れて、火にかけます。水が多くなりすぎないように気を付けてください。金柑が水から出ない程度の量がよいです。
⑦①で計っておいた金柑の総重量の1/5の量の氷砂糖を入れて煮ます。途中、アクが出ますので、取り除いてください。
⑧中火で30分ほど煮ます。鍋を揺すりながら、照りが出てきたら出来上がりです。

おせち料理に入っている金柑の甘露煮は、金柑が若く熟していないうちに煮ていることが多いため、完全なオレンジではなく少し変な色をしています。
自分で作ると、こんなに綺麗に、苦くなく、金柑のフルーティーな味も残り、ほんのり甘く、美味しくできます。

私はいつも、金柑を半分に切り、種を取って、食べやすいように煮るのですが、おせち料理の金柑のように、丸のままで煮てみました。上記のレシピと全く同じで作ったのですが、やはりほろ苦さが残る気がします。また、甘味が中まで染み込まずに、煮た汁だけが甘くなって煮詰まり、金柑は甘くないのに、周りのコーティングはとても甘い状態になりました。もちろん、種を取り出していませんので、食べたら種が残ります。
好みだと思いますが、手間はかかりますが、金柑の美味しさからしたら、半分に切って作る方がおすすめです。

この金柑の甘煮は、あまり甘くしていませんので、常温での長期保存は難しいです。保存は、保存容器に入れ、冷蔵庫に入れてください。量が多いようでしたら、作ったらすぐに小分けにして冷凍してしまいましょう。解凍する際は、自然解凍で大丈夫です。これで、金柑を美味しく長く楽しくことができます。凍らせたものを、シャーベット状でいただくのも美味しいですよ。
「金柑の甘煮」の食べ方の応用
「金柑の甘煮」の食べ方は、もちろんそのまま食べたり、ヨーグルトに入れたり、パンにサンドしたり、刻んでういろうやわらび餅、ゼリー、パウンドケーキなどに入れても美味しくいただけます。
金柑のういろう

「金柑の外郎(ういろう)」は、金柑の甘煮を刻んで入れるだけのとても簡単なものです。突然のお客様でも対応できる優れた和菓子です。普段、家にある粉で簡単に短時間で作ることができます。
《 材料 》
金柑の甘煮 100g
砂糖 80g
★薄力粉 70g
★片栗粉 30g (★あれば上用粉、上新粉、米粉100g)
水 約300ml(金柑の甘煮の汁を加えて300mlになるようにします)
《 作り方 》
①金柑の甘煮は、みじん切りに刻んでおきます。
金柑の甘煮をした汁と水を合わせて300㎖になるように用意しておきます。汁がなければ、お水だけでも大丈夫です。
②ボウルに砂糖を入れ、薄力粉と片栗粉を振るいにかけながら加えます。
③ダマにならないように、金柑の甘煮をした汁と水を合わせたものを、何回かに分けてゆっくり加え、さらさらになるまで混ぜます。
➃耐熱用のタッパーか深めのお皿(20×25センチくらいのもの)にラップを敷いておきます。
⑤ラップをした器の中に、刻んだ金柑を均等に広げておきます。
⑥③を濾しながら、器に流し入れます。
⑦器には蓋やラップはせず、レンジ500Wに5分入れます。水分がなくなっていれば、完成です。水っぽいようでしたら、あと1分レンジに入れます。
⑧ラップごと取り出します。冷めたら、好みの大きさに切り分けてください。その際、包丁を濡らして切ると綺麗に切れます。
金柑の香りがとてもよく、ほんのり金柑の苦味も残り、とても上品なお味になります。即席のういろうのため、当日中に食べきりましょう。冷蔵庫に入れると固くなりますのでご注意ください。
金柑のわらび餅

お店で販売しているような、切ってきな粉をつけるくらいの硬さのわらび餅のレシピです。包丁で切れないくらいプルンプルンにしたいようでしたらお水の量を増やすなど、お好みで硬さを変えてみてください。
《 材料 4人分 》
わらび餅粉 50g
砂糖 25g
水 250cc
金柑の甘煮 100g
《 作り方 》
①金柑の甘煮をみじん切りしておきます。
②ボウルに、わらび餅粉、砂糖、水を入れて、混ぜ合わせます。わらび餅粉が、溶けにくいので、ここでしっかり溶かしましょう。
③裏ごしします。裏ごしすることで滑らかになります。
➃③を中火にかけ、木べらで練り上げます。みじん切りした金柑の甘煮も加えます。
④色が白から半透明になってくるまで、練り上げてください。
⑤半透明になったら、弱火にして、更に柔らかくなるまで練り上げてください。
⑥平なパット(なければ、深みのある平なお皿でもよいでしょう)に流し入れ、常温で固めます。30分くらいで固まります。食べる直前に冷やして食べます。
⑦食べやすい大きさにカットしてください。
作った当日中は美味しく食べられます。
金柑のゼリー
《 材料 4人分 》
粉ゼラチン5g(1包)
金柑の甘煮(半分にしたもの) 16個
あれば金柑の甘煮のシロップ あるだけ
水 350ml
《 レシピ 》
①水を沸かし、沸騰したらゼラチンを入れ溶かします。シロップがあれば、ここに加えてください。
②金柑の甘煮を細かく刻み、器や型に分け入れます。
③①を器や型に流し入れ、冷ましてから、30分ほど冷蔵庫で冷やせば出来上がりです。
金柑のパウンドケーキ

金柑の甘煮を使った、金柑の香りがする、しっとりとしたパウンドケーキです。
《 材料 》
パウンドケーキの型は、大型サイズを使用
無縁バター 100g
砂糖 150g
卵 4個
薄力粉 200g
ベーキングパウダー 小さじ1
金柑の甘煮 300g
《 作り方 》
①バターと砂糖をボウルに入れ、クリーム状になるまで混ぜます。
②卵を卵黄と卵白に分け、①に卵黄を入れ混ぜます。
③金柑の甘露煮をみじん切りにし、加え、混ぜます。
➃薄力粉とベーキングパウダーをふるいにかけながら、③に入れ、混ぜます。
⑤卵白を泡立て気で泡立てます。
⑥卵白を➃に入れサックリと混ぜ、クッキングペーパーを敷いた型に流し入れます。
⑦170℃のオーブンで55分焼きます。
外はサクサク、中はしっとり、ほんわり金柑の香りがする、金柑のパウンドケーキです。
とろ~りとろける金柑チョコパイ

ブラジルのパイ生地のようなもの(商品名「パステル」パイと餃子の皮の間のようなもの)があったので、パイと見立てて、とろ~りとろける金柑チョコパイを作りました。溶ろけるチョコレートと金柑の甘煮が最高のマッチングです。生地もパリパリで金柑チョコに合っています。数分でできます。
《 材料 1個分 》
生地 10×18センチ(市販のもの)
金柑の甘煮 半分にしたもの4個
市販の板チョコレート 6分の1枚
《 作り方 》
①生地を切っておきます。
②金柑の甘煮とチョコレートを刻んでおきます。
③生地の上に、生地の縁1センチにのらないように、②をのせます。
➃半分に折り、フォークで縁1センチのところを刺していきます。
⑤薄く油をひいたフライパンで、生地の色が変わり、焦げ目がつくまで焼きます。
明日はどんな手仕事する?
柑橘系の手仕事ですが、甘夏、八朔、レモン、柚子などジャムを作りますが、この「金柑の甘煮」が一番失敗なく美味しくできます。水からしっかり茹でこぼしを3回行うのがポイントです。金柑独特の苦さが、3回茹でこぼしを行うことで、抜けます。
ご自宅に金柑がある、親戚の家にある、知人の家にある…などという方は、ぜひ、挑戦してみてください。身体にも良いし、美味しいですよ。ぜひ、季節の味を楽しんでみてください。
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それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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