【季節の手仕事「柿」②甘柿】そのまま食べることができる甘柿の魅力や保存できる柿ジャムや柿カレーを紹介

 9月にしたい手仕事

柿には、甘い柿(甘柿)と渋い柿(渋柿)があります。

甘柿はそのまま食べることができますが、渋柿は渋抜きなどをするか、干し柿にしないと渋くて食べることができません。

こちらでは、甘柿の魅力や甘柿の食べ方や長い間楽しめる長期保存方法などを紹介します。甘柿の特徴を知り、美味しくいただきましょう。




もっと知りたい「甘柿」の魅力

次郎柿20221008
2022年10月8日 次郎柿

何と言っても、甘柿の魅力は、そのまま食べることができることです。

渋抜きをする手間もなく、皮をむけば甘い柿を食べることができるというものです。

ただ甘柿とはいえ、柿には渋みがあります。甘柿も未熟の状態では渋みがあり、完熟するにしたがって水溶性のタンニンが不溶性に変化し、渋が抜け甘くなるのです。

完全甘柿と不完全甘柿

甘柿の中でも「完全甘柿」と「不完全甘柿」があります。

「完全甘柿」とは、食べることができる頃には、渋みが完全に抜けている甘柿をいいます。

完全甘柿の品種としては、富有、次郎、太秋、御所柿などがあります。

「不完全甘柿」とは、渋みが種により抜ける甘柿をいいます。柿の中で種ができることで、自然に渋抜きはされていますので、そのまま食べることができる甘柿をいいます。

不完全甘柿の品種としては、筆柿、西村早生、禅寺丸、栃原柿などがあります。

甘柿の食べ方

甘柿は、追熟して甘くなるものではないため、収穫したら2日ほどで柔らかくなってしまいます。

そのまま皮をむいて食べるだけでも十分に美味しい甘柿ですが、甘柿をたくさん手に入れた際など生で皮をむいて食べるだけでは食べきれない時には、手を加えて食べる方法もあります。

手を加えて食べる方法は、大きく分けて3つの食べ方があります。

私は、硬い甘柿は生のまま皮をむいて食べ、少し柔らかめの甘柿は皮をむいてそのまま冷凍もしくは干して冷凍、完熟した甘柿は柿ジャムや柿羊羹、柿カレーなどに加工しています。

それぞれの下処理法やメニューなどを紹介します。

①甘柿を生のまま食べる方法

生のまま食べるのは、皮をむいて調理をするだけです。甘柿がまだ硬い時などに作ると良いでしょう。

メニューは下記の通りです。

◆柿の白和え

◆柿のクリームチーズサンド

②甘柿を生のまま加工する方法

甘柿を生のまま加工する方法は、甘柿が熟してしまって柔らかい時などに作ると良いでしょう。

◆柿ジャム

長期保存可能。下記にレシピあり。

◆柿羊羹

長期保存可能。下記にレシピあり。

◆柿大根

保存袋に、熟した柿、いちょう切りにした大根を入れ、漬けたお漬物。

◆柿カレー

下記にあるピューレを少し煮込み、お好みのカレーに加えるだけです。カレーが甘くなります。

◆柿ソース

フランス料理で使うソースのように、お肉やお魚などにつけて食べたり、オリーブオイルなどを加えてドレッシングにすることもできます。

◆焼き甘柿

甘柿は焼くことで甘みが増します。熟しすぎて食べにくい時には、皮をむき、フライパンなどで焼いて食べるのも良いでしょう。ただし、渋を抜いた柿に熱を加えると「渋戻り」といって、渋が戻ります。甘柿も渋があるものもありますので、長時間の加熱はしないようにしましょう。

③甘柿を冷凍して加工する方法

柿は、冷凍保存ができます。冷凍しておいて、シャーベット状で食べるのも良いですが、冷凍したものを加工することもできます。上記②の生のまま加工する方法のメニューでしたら、ほとんどが冷凍した甘柿から加工することができます。

硬い柿を冷凍すると加工がしにくいので、少し柔らかい甘柿、もしくは完熟になってしまった柿を冷凍すると良いでしょう。

冷凍するには、そのまま皮をむいて、食べたい大きさに切って、小分けしてラップして保存袋に入れて冷凍しておくと便利です。また、皮をむいて少し干したものを冷凍保存すると甘みが凝縮され、より美味しくなります。渋柿で作る干し柿のようなイメージです。

《 半干しの冷凍の仕方 》

①少し柔らかくなってしまった甘柿の皮をむき、4等分したものをさらに4等分します。16等分です。小さなものなら8等分でもよいでしょう。種があれば、取れるところは取って、取れないところはそのままで大丈夫です。

②外で干します。外側が乾燥して、中が半乾き(半生)の状態で出来上がりです。完全に乾燥してしまなわいようにしてください。乾き具合で、2日もしくは3日干します。

③重ならないように小分けしてラップなどをして、保存袋に入れて、冷凍庫に入れます。

食べ方は、凍ったままでもよし、溶けても美味しいです。

甘柿を使ったメニューのレシピ 

こちらで紹介するレシピは、甘柿が完熟していると作りやすいメニューです。上記甘柿の冷凍方法にも書きましたが、完熟した甘柿の量が足りない場合は、完熟も別で冷凍しておきます。完熟がある程度まとまったら作るようにしています。

柿のピューレ

「柿のピューレ」とは、完熟した甘柿、少し柔らかい甘柿をフードプロセッサーでトロッとさせた状態のものです。ここから、ジャム、羊羹、カレー、ソースなどができます。

柿ジャム《保存食》

柿ジャム②20241001

完熟して柔らかくなってしまった甘柿で柿ジャムを作ってみましょう。ジャムにすれば、長期保存も可能ですし、パンにぬって食べるだけでなく、ヨーグルトにかけても、ゼリーにしても、パウンドケーキにしても、お料理のソースにしても、たくさん応用ができます。

《 材料 》

完熟した甘柿 1kg

グラニュー糖 300g

レモン果汁 少々

《 作り方 》

①柿の皮をむき、ヘタ、種を取り除きます。

②柿を1センチ角くらいに切ります。完熟して柔らかくなってしまっているものは、だいだい細かくなれば大丈夫です。フードプロセッサーにかけピューレにすると簡単ですが、少し形が残っていても美味しいので、包丁で切る程度でもジャムらしくて良いかもしれません。

③鍋に②、グラニュー糖の1/3を入れます。沸騰するまでは中火で、沸騰したら弱火にします。

➃グラニュー糖1/3の2回目を入れ、しばらくかき混ぜます。

⑤グラニュー糖1/3の3回目とレモン果汁を入れて、鍋底が見えるようになるまで、かき混ぜます。なべ底が見えるようになったら出来上がりです。

《 注意 》

柿は、加熱しすぎると「渋戻り」をおこし、渋みが戻る場合があります。長時間加熱しないよう、素早く調理するようにしましょう。上記のジャムを作るのに、火にかけるのはトータルで5分ほどです。

柿羊羹

柿羊羹20250107

ジャム同様、完熟してしまった甘柿で作ります。

《 材料 》

完熟した甘柿 ピューレにした状態で300g 平柿で4個くらい

水 100ml

粉寒天 4g×2袋

砂糖 大さじ4

《 作り方 》

①柿の皮をむき、ヘタや種などをとり、フードプロセッサーでピューレにします。

②鍋に水を入れ、沸騰したら砂糖、粉寒天を入れしっかり溶かしたところで①を加え、しっかり混ぜます。

③流し缶などに流し入れ、冷蔵庫に入れて固めます。

➃お好みのサイズに切って、お召し上がりください。

《 注意 》

①甘柿の甘さを活かしたいので、普通の羊羹のように砂糖を大量に入れておりませんので、長期保存可能とはいえ、数日中にお召し上がりください。

②しっかりとした硬さの羊羹にしたい場合は、棒寒天を使うと良いでしょう。

柿プリン

こちらも完熟してしまった甘柿から作ります。

《 材料 》

完熟した甘柿 ピューレにした状態で300g 平柿で4個くらい

牛乳 180ml

砂糖 大さじ2

《 作り方 》

①完熟した甘柿をフードプロセッサーでピューレにします。

②鍋に牛乳と砂糖を入れて砂糖を溶かします。沸騰させないように注意してください。

③ピューレした甘柿を入れます。

➃器に流し入れ、冷蔵庫で冷やします。

柿のペクチンと牛乳のカルシウムでそのまま固まります。




甘柿の品種

日本全国で採れる甘柿の品種の紹介です。甘柿が大好きな方は、是非とも食べ比べてみてください。

「甘柿の品種」についてはこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」③甘柿の品種】渋抜き不要!皮をむいてそのまま食べることができる甘柿の品種一覧!
甘柿の品種として、伊豆柿、黒柿、御所柿、次郎柿、新秋柿、禅寺丸柿、太秋柿、天下富舞、栃原柿、西村早生、筆柿、富有柿などを紹介しています

甘柿のおすすめの逸品

やっぱり硬くて甘い静岡県特産の「次郎柿」をおすすめしたくなります。

「次郎柿」をこちらからお取り寄せができます。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?

甘柿は、今では、保存できる方法を身に付けたので、なんとか長期間愉しむことができるようになりましたが、知らなかった頃は、急いで食べないといけないものだとばかり思い、毎日毎食食べていました。甘柿が大好きなので、全く問題はないのですが。ただ何でも、長期保存できる方法を知らないのは、勿体ないことです。よろしければ、いろいろとお試しください。

それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

明日が素敵な1日になりますように。

柿の関連記事

◆柿が育つ姿などの「柿①柿まとめ」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」①柿まとめ】柿の魅力公開!秋の果物の代表「柿」がたわわに育つまでを写真付で紹介 
柿が育つ姿を毎月事に写真で紹介。あまりお見掛けしない、柿の花もご覧ください。柿の木のお手入れについて、柿の魅力として、原産、科属、旬、特徴、栄養価、選び方などを紹介しています。

◆「柿③甘柿の品種」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」③甘柿の品種】渋抜き不要!皮をむいてそのまま食べることができる甘柿の品種一覧!
甘柿の品種として、伊豆柿、黒柿、御所柿、次郎柿、新秋柿、禅寺丸柿、太秋柿、天下富舞、栃原柿、西村早生、筆柿、富有柿などを紹介しています

◆「柿➃渋柿の魅力」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」➃渋柿】もっと知りたい渋柿の魅力!渋柿の長期保存方法を紹介!
渋柿の魅力として、完全渋柿と不完全渋柿、渋を抜く方法、長期保存方法として干し柿についてなどを紹介

◆「柿⑤渋柿の品種」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」⑤渋柿の品種】渋柿は渋抜きは必須!干し柿にしたら最高に美味しい渋柿の品種一覧
渋柿の品種として、会津身不知柿、愛宕柿、市田柿、江戸柿、おけさ柿、紀ノ川柿、甲州百目柿、西条柿、庄内柿、代白、太天、刀根早生、蜂屋柿、八珍柿、平核無柿、富士柿、法蓮坊、妙丹柿、四ツ溝柿などを紹介

◆「柿⑥干し柿の作り方」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」⑥干し柿まとめ】歴史ある干し柿は地域によって作り方も出来上がりも種類はいろいろ
初めての方にもできる干し柿の簡単な作り方の手順を紹介。収穫し、皮をむき、吊るし、消毒し、干す場所を決め、干し、保存するまでの工程を細かく紹介。ランドリーハンガーに干す簡単な方法もおすすめです。甘くて美味しい干し柿作りに挑戦してみましょう。

◆「柿⑦干し柿の品種とその産地」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」⑦干し柿の品種と産地】全国の美味しいことで有名な「干し柿の品種名とその産地」一覧
干し柿の品種として、丸森町のころ柿、今庄つるし柿、甲州百目柿の干し柿、市田柿、堂上蜂屋柿の干し柿、尾道柿園の干し柿などを紹介

◆「柿⑧干し柿の作り方」の記事はこちら ↓↓↓

【季節の手仕事「柿」⑧干し柿の作り方】洗濯物を干すランドリーハンガーを使うとても簡単な干し柿の作り方
洗濯物を干すランドリーハンガーを使ったとても簡単な干し柿の作り方として、干し柿を作る時期、渋柿の用意、柿の皮をむく、柿を消毒をする、柿を吊るす、柿を干す場所を決める、柿を干す、柿を揉む、干し柿を保存するなどの工程を紹介

季節の手仕事の関連記事

◆「食材別の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

食材別の季節の手仕事
季節の保存食を作るのに必要なメインの食材を、食材別で紹介しています。野菜、山菜、野草、果物など分野に分けております。それぞれの食材が育つ姿、本当の旬、収穫方法、アク抜きや下処理、保存食のレシピやメニューなど、季節の手仕事を紹介しています。

◆「季節の手仕事カレンダー」はこちら ↓↓↓

季節の手仕事カレンダー
季節の手仕事をまとめた月ごとに「季節の手仕事カレンダー」。これを見るだけで、季節の手仕事を忘れずにできます。季節を感じながら、楽しく季節の手仕事をしましょう。

◆「和菓子の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

和菓子の季節の手仕事
和菓子で季節を感じるために、行事食など特定の日に食べる和菓子、季節の和菓子の種類、1年中食べられる和菓子の種類、地域の和菓子の種類などを紹介。高級なイメージのある和菓子ですが、普段使いの和菓子もたくさんあり、和菓子がもっと身近になります。

◆「暦としつらえの季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

暦としつらえの季節の手仕事
二十四節気、七十二候、五節句、節供、雑節などの暦に沿って季節を感じられるよう、カレンダー式に紹介。それぞれの暦の行事食、その時期に旬を迎える食べ物や和菓子、お花やしつらえなどの関連を含めた季節の手仕事を紹介。しつらえるものについても紹介。

◆「お花の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

お花の季節の手仕事
お花を上手に生ける上で知っておくとよいことは、そのお花がどのように芽がでて、葉が開き、茎が伸びて、花が咲き、かれていくのかを知ることです。出生を知ることで、そのお花のいけ方や活かし方がわかります。お花が咲く本当の季節もお花別に紹介します。

◆「おすすめの食材店と旬の食材探しで訪れたい道の駅」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

おすすめの食材店と道の駅
旬の食材を探しに行くのにマストな探し方は、農家さんが作っているものを持ち込む、道の駅、旅の駅、村の駅、川の駅、ファーマーズマーケットです。手に入らない食材の宝庫です。また、個人的によく利用している地元の食材のお店もご紹介しています。



20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

asunaniをフォローする
 9月にしたい手仕事10月にしたい手仕事11月にしたい手仕事
シェアする

コメント

タイトルとURLをコピーしました