「干し柿」は、奈良時代の正倉院文書にも売り買いした文書が残っているほど、古くから食べられていたお菓子となります。
現在まで絶えることなく食べ続けられているということは、それだけ柿が身近にあり、それぞれの土地にあった作り方で作られ、そしてそれらが魅力的な味であったということなのでしょう。
そのような歴史のある美味しい「干し柿」を絶やさぬよう、たくさんの方に「干し柿」を作り、楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ただ、作るのが大変というイメージがあります。それがあるものを使えば、簡単に作ることができます。それが、洗濯物を干す「ランドリーハンガー」です。「ランドリーハンガー」を使えば、時間も手間もかからずに「干し柿」を作ることができます。
ここでは、「干し柿」についてのいろいろを紹介しております。「干し柿の作り方」や「干し柿の品種」は別にあります。そちらもぜひ参考になさってみてください。
干し柿とは

「干し柿」は、奈良時代より作られる日本の伝統的な柿の加工法です。砂糖がない時代の冬の糖分補給に欠かせないものでした。
柿の手仕事「干し柿」は、昔からの知恵の詰まった手仕事です。
お宅で柿がたくさん採れる方はもちろん、「干し柿」が好きな方まで、長期保存できる「干し柿」の手仕事は、毎日の変化が楽しめる手仕事です。
「干し柿」とは、干した柿の総称をいい、作り方などにより、呼ばれ方も様々です。詳しくは下記ご覧をください。
その作り方は地域によってもいろいろですし、柿の量によっても変わってくるかと思いますので、その都度で様子をみてチャレンジしてみてください。
「干し柿の作り方」はこちら ↓↓↓

干し柿のあんぽ柿、ころ柿の違い
干し柿は、「あんぽ柿」と「ころ柿」に分類されます。
自分で作る際には、分類などは気にせず、干し柿として出来上がればよいのですが、余裕があれば、重量を量ってみるとわかりやすいかもしれません。
どちらも手間暇かけて作った贅沢な干し柿に変わりはありません。大切にいただきたいです。
あんぽ柿
「あんぽ柿」は、硫黄で燻蒸し、渋柿の果実の水分を半分くらい飛ばした干し柿です。通常の干し柿よりも軟らかく、半生のような食感です。
大正時代に福島県北部の盆地から広まりました。
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ころ柿
「ころ柿(枯露柿・古老柿・転柿)」は、渋柿の果実の水分を7割飛ばした、天日干しをした干し柿です。柿全体に日が当たるように位置をコロコロと変えて干すことからこの名が付いたとも言われています。自分で作る干し柿は、こちらになります。
「ころ柿」といえば、「市田柿」が有名です。「市田柿」は、「渋柿の品種名」でありながら、「干し柿の商標名」としても有名なくらいです。
干し柿といぶし柿の違い
いぶし柿
「いぶし柿」とは、冬場晴れの日が少なく、外で干し柿を作ることができない地域で、小屋などで煙でいぶして作る柿のことを言います。
甘いだけではなく、上品ないぶされた香りが特徴の柿です。
「いぶし柿」として有名なのが、福井県南越前町今庄の「今庄(いまじょう)つるし柿」です。今庄は、豪雪地帯で晴れる日が少なく、干し柿を外で干せず、囲炉裏の上で柿を干していたのがきっかけで、いぶすようになったそうです。450年以上続く作り方を伝承されています。
「今庄吊るし柿」は、長良(ながら)という柿を使います。柿専用の横幅3センチほどの竹製の皮むき器を使い、皮をむきます。皮をむいて1日干した後、専用の小屋でいぶします。室内でナラやケヤキの薪を炊き、室温を40度くらいに保ちながら、6日間いぶし続けます。11月から12月上旬の間に作られます。
「1つ食えば1里、3つ食えば3里歩ける」と言われるほど栄養価が高く、旅人にも好まれたと言われています。
干し柿の天敵「カビ」
カビは、干し柿を作る上では、天敵となります。私も何度も発生してしまっています。気温が暖かく、湿気のある土地なので、難しいとは言われていますが、気を付けていれば、失敗せずにできます。
以下の点に注意して、作ってみてください。
◆気温が低くなってから干す
よく15度を下回ったら干し始めると言われますが、暖かい地域に住んでいると15度を下回るのを待っていたら、年が明けてしまいそうです。よって私は20度を下回る日が続くようになったら始めます。
◆干す日から2~3日は晴れの日を選ぶ
干す日はもちろん、その後2~3日は必ず晴れる日を選んで干し始めます。また、週間天気予報を見て、できるだけ晴れが続く期間を狙いましょう。雨が2~3日続くなどという日があるようでしたら、避けます。もちろん、雨に濡れないところに干すのですが、雨に濡れなくても湿気はありますので、できるだけ避けたいです。自分のお肌が乾燥してきたと思ったら、その頃が干すチャンスだと思ってください。
◆干す際には、必ず消毒をするようにしましょう。
熱湯につけたり、焼酎を吹きかけたりして、必ず消毒をしましょう。カビ防止だけでなく、虫などからも守ることができます。
干し柿の白い粉の正体
干し柿でも白い粉のようなものが付いているものがあります。この白い粉のようなものは、ブドウ糖の結晶です。干し柿が甘い証拠です。カビではありません。
「柿霜」といって、砂糖のない時代には、この「柿霜」が砂糖変わりとなり、とても貴重なものでした。
自分で作る干し柿で白い粉をふかせるのは、なかなか難しいことです。柿の質や干す際の気候、工程内の技術にも関係してくるものだと思われます。よく市田柿を使うと粉が吹くと言いますが、気候や技術も関係してくることだと思いますので、定かではありません。
干し柿から作るお料理・お菓子
そのまま食べても美味しい「干し柿」ですが、更に手を加えることで、思いもしない味に変化します。干し柿がたくさんできたら、挑戦してみてください。
干し柿なます
「干し柿なます」は、刻んだ干し柿となますを合わせたものです。干し柿の甘みがなますの旨味となり、なますが深い味になります。
干し柿バター

おせち料理でよくみかける「干し柿バター」。常温にもどした有塩バターを干し柿でサンドしたり、干し柿で巻いたり。冷蔵庫で冷やして、バターが硬くなったら、切り分けます。甘い干し柿とバターの塩味の相性抜群です。おせち料理の見た目も華やかになります。
干し柿クリームチーズ
おせち料理でもみかける「干し柿クリームチーズ」。初めて見る方はびっくりするかもしれませんが、この2つは最強タッグです。クセになります。
干し柿の天ぷら
干し柿を揚げたものです。さつまいもの天ぷらが甘くなるのと同じ感覚です。干し柿がより一層甘くなる感じです。上記、「干し柿クリームチーズ」を天ぷらにしても絶品です。
柿餅(かきもち)
「柿餅」は、できた干し柿をすりつぶして、餅や米粉、白玉粉などを交ぜて蒸したお餅です。
作り方や形などは、各家庭やお店やさんによって、違いがあるようですが、細長い塊にして、薄く切って食べるのが主流のようです。中には、柿の形にして中に餡を入れ、生菓子のようにするところもあるようです。
福島県、栃木県の日光、新潟県の佐渡、京都などの名産になっています。
干し柿が出来上がった後で作るものなので、1月から2月に食べられるお菓子です。
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同名の「欠餅(かきもち)」は、さくさくした米菓の仲間となります。
干し柿の有名な産地とその品種
「干し柿の有名な産地とその品種」についてはこちら ↓↓↓

明日はどんな手仕事する?

生の柿も美味しいですが、干し柿の美味しさを知ってしまったら、干し柿を毎年作らないわけにはいかなくなります。干してからの毎日が、なんと楽しみなこと。自分で作るからこその美味しさもあります。
秋になると、軒先にたくさんの干し柿を干してあるお宅を見ると、羨ましくなります。私は少量作るのが手一杯なので、その手際の良さなど、教えていただきたいくらいです。
ただ、少量でも、出来上がって、家族みんなで美味しく食べることができることが、何より贅沢で幸せです。「また、作ろう」って思えます。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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