【季節の手仕事「昆布」】北海道沿岸は昆布の宝庫!料理の種類で昆布の種類を使い分けてみましょう!

 1年通してしたい手仕事

昆布は、ほとんどが北海道で採れます。ただし、その昆布の種類により、使い方が違います。その違いを知り、上手に使い分けしていきましょう。




北海道で採れる昆布の種類

昆布の産地といえば、北海道産が有名です。北海道の沿岸では、沿岸一周でそれぞれの昆布が採れます。北海道を6つの地域に分け、7種類の昆布を北から時計回りで紹介します。

①利尻昆布 りしりこんぶ

北海道北部で採れる昆布。暖流と寒流がぶつかり合い良質な昆布ができる地域と言われています。鼻からぬける香りが深く、とても品が良く、繊細な味になります。だし巻玉子の出汁など出汁昆布として使われます。

②羅臼昆布 らうすこんぶ

北海道東部、羅臼町付近で採れる昆布。幅約30センチ、長さ約3メートルにもなります。漁の時期は、7月中旬から8月下旬。煮出すと汁が黄金色になります。味わいが良いですが、香りは少ないです。おでん、麺類の汁など、コトコト煮込むのにおすすめです。2024年は、海水温の上昇により、収穫量が半減して深刻な状況となっています。

③長昆布 ながこんぶ

北海道東部、根室から釧路付近で採れる昆布です。長さが10~15メートルもあります。佃煮や昆布巻きなどにおすすめです。

➃日高昆布 ひだかこんぶ

北海道南部、襟裳岬左右付近の日高地方で採れる昆布です。別名「三石昆布」とも呼ばれます。柔らかく煮えやすいので、煮物などにおすすめです。

⑤真昆布 まこんぶ

函館から内浦湾にかけて採れる昆布です。煮出すと汁が淡い色になります。風味が良く、コクがあり、甘みを感じます。精進料理によく使われます。椀や煮物にも合う万能昆布です。

松茸の土瓶蒸しは、真昆布から摂った出汁に少しの塩と醤油で作ります。

⑤ガゴメ昆布 がごめこんぶ

真昆布と同じく、函館から内浦湾にかけて採れる昆布です。表面がデコボコしており、粘りが強く、とろろ成分が多い。とろろ昆布、おぼろ昆布、松前漬けなどに使われます。

⑥細目昆布 ほそめこんぶ

函館から西側の日本海側で採れる昆布です。幅が狭いため細目昆布と呼ばれます。とろろ昆布、刻み昆布などに使われます。

昆布から摂られる「出汁(だし)」について

出汁について

日本料理の味には欠かせない、「出汁」。

「出汁」は、色は薄いけれど味に深みのある京都のお出汁や、色も味も濃い関東のお出汁など、地域によって、好まれている味が違います。よって、どの出汁が美味しいという答えはなく、あくまでも、その人の好む味が美味しい出汁となります。

この「出汁」を摂るのに使うのが、かつおだし、昆布だし、煮干しだし、椎茸だし、あごだしなどになります。中でも、かつおだしと昆布だしの合わせが基本となります。これは、室町時代にできたと言われ、江戸時代に一般に広まったとされています。

かつおぶしの動物性の旨味のイノシン酸と、昆布の植物性の旨味成分であるグルタミン酸の相乗効果で旨味が広がるのが、かつおぶしと昆布の組み合わせから摂る出汁の美味しさになります。

かつおぶしと昆布の出汁の取り方

京料理のお出汁の作り方になります。京料理は、無駄に味付けをせず、素材を生かすことに趣をおくことを重要としています。

①京都の地下水(軟水)を使い、利尻昆布を2~3時間水に浸します。

②火にかけ、温度を65℃に保ちながら、1時間半煮ます。

③昆布を取り出します。

➃沸騰直前まで煮詰めて、アクを取ります。

⑤かつおぶし(鹿児島県指宿産の本枯節がおすすめ)を入れ、ひと煮立ちしたら濾します。

このお出汁の味つけは、ほんの少しにします。

精進だしについて

逆に精進料理で使う「精進出汁」は、精進料理は魚や肉を使わない料理となりますので、かつおぶしは使わず、昆布だけで出汁を摂ります。主にコクと甘みが特徴の真昆布を使います。

ちなみに、精進料理は植物性の食材が多く、たんぱく質が少ないため、大豆、干し椎茸、切り干し大根などからも出汁を摂ります。最近では、ドライトマトからも出汁を摂るそうです。




昆布で作る料理

「養老昆布(よろこぶ)」の語呂合わせから長寿を願い、「子生(こぶ)」から子供が生まれるなど、昆布は、おせち料理だけでなく鏡餅やお正月飾りなど、祝い事には欠かせない食材です。

昆布巻

昆布巻き20240101

おせち料理にはかかせない昆布巻きの作り方です。

《 材料 》

昆布(長昆布や日高昆布がおすすめ) 50センチの長さ 5本

酒 少々

かんぴょう 20g

塩 小さじ1

まぐろ 200g

白ねぎの青い部分 少々

古根生姜 少々

砂糖 大さじ2

しょうゆ 大さじ1

みりん 大さじ1

《 作り方 》

①昆布は、濡れた付近で表面を綺麗に拭き、お酒を少し入れた水に1時間ほどつけて戻します。昆布をつけた水は、後で煮る際に使いますので、とっておきましょう。

昆布

②かんぴょうは、水洗いし、塩をふりかけてもみ洗いします。塩を洗い流し、たっぷりのお湯で好みの硬さになるまで茹でてください。かんぴょうの幅(太さ)は1センチくらいになるように、切り分けておきましょう。長さは長いままにしておきます。

かんぴょう

③まぐろは、1センチ角くらいに切り分けておきます。

➃やわらかくなった昆布を10センチほどの長さに切り分けます。

⑤マグロを芯に、昆布を巻いて、かんぴょうで縛ります。昆布の太さがさまざまなので、できる大きさはさまざまですが、家庭料理では気にしません。

昆布巻き

⑥結びあげた昆布巻きを鍋に並べていきます。

⑦①のお酒の入ったお水を鍋に入れ、昆布巻きがひたひたになるよう調整します。臭み取りのねぎ、しょうがを入れます。

臭み消し

⑧沸騰したら、キッチンペーパーを落し蓋変わりにのせます。アクを吸収してくれます。弱火で20~30分程煮ます。

⑨キッチンペーパーを取り出し、砂糖、みりん、しょうゆの順で味をつけ10分程煮ます。煮汁がなくなるまで煮ます。

昆布巻きできあがり20240101

昆布のおすすめの逸品

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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