【季節の手仕事「羊羹」】もっと知りたい羊羹!どんな羊羹も大好き!あらゆる羊羹の種類まとめ一覧

 1年を通して食べられる和菓子




羊羹の歴史

「羹(あつもの)」とは、中国渡来のもので、平安時代には猪羹(ちょかん)、雉羹、海老羹、白魚羹(しらうおかん)など48種類あったと伝えられています。肉や魚、野菜を入れた熱い汁物のことで、現代でいうすいとんのようなものをいいます。

「羊羹」とは、羊の肉の入った汁物のことやその汁が固まった煮凝りのようなもののことをいいます。「羊羹」のように肉を使うものもありましたが、鎌倉時代、日本人の僧侶はお肉を食べていなかったため、模した汁物を食べていたり、後には肉の代わりに小豆や小豆の粉、小麦粉などを練って蒸し固めて作った現在の「羊羹」の前進に近いものが食べられていました。

室町時代、茶道が盛んとなり、「羹」が「点心」として珍重されはじめ、後の「蒸し羊羹」にまで進展しました。当時の蒸し羊羹は、餡に小麦粉を和し、砂糖の煎汁で練り、せいろにかけて作っていました。

安土桃山時代になると、練羊羹が登場します。

江戸時代初期の蒸し羊羹は、嘉祥菓子の1つでした。

羊羹に欠かせない「寒天」が誕生したのは、1650~1680年頃と言われています。「寒天」の誕生により、「寒天」を溶かし、餡と砂糖を加えて練った「練羊羹」が主流となってきました。

羊羹の種類

一般的に羊羹といえば、「練羊羹」のことを言いますが、羊羹は他にもたくさんの種類があります。「水羊羹」や「蒸し羊羹」だけではない羊羹の世界をお楽しみください。

順番は、あいうえお順です。

あわかん 粟羹

別名「上南羹」。生菓子。流し菓子。寒天と砂糖を煮溶かした液にみじん粉や上新粉を加え、黄色の色素で粟の食感を再現したもの。口の中で弾ける感覚が夏に合います。

あわゆきかん 淡雪羹

別名「泡雪羹」。生菓子。流し菓子。羊羹もの。泡立てた卵白に砂糖、寒天を混ぜて固めた棹物。淡雪のようなふんわりとした食感が特徴です。

あわようかん 粟羊羹

粟を用いて作った羊羹。つぶつぶした粟の食感がたまらなくクセになります。京都「大極殿」のあわ羊羹がおすすめです。

いもようかん 芋羊羹

「芋ようかん」についてはこちら ↓↓↓

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かきようかん 柿羊羹

柿羊羹20250107

完熟した甘柿をピューレし、砂糖、寒天でゼリー状に煮詰め、器に流し込んだもの。

「柿羊羹」の作り方は、こちら ↓↓↓

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きんぎょくかん 錦玉羹

透明感があって涼し気な夏に食べられるお菓子です。

別名「金玉(きんぎょく)」とも言われます。

生菓子ですが、一部半生菓子もあります。流し菓子。煮溶かした寒天液に砂糖や水飴を煮溶かし、型に入れて固めたものをいいます。中に餡などを入れて茶巾などにもします。

また、より煮詰めを強くして流し固め、型で抜いて、表面を乾燥させたものを「艶干し錦玉(つやぼしきんぎょく)」と言います。

くだものようかん 果物羊羹(フルーツ羊羹)

果物羊羹(フルーツ羊羹)は、果物を原料とした羊羹で、主に、柿羊羹、栗羊羹、梅羊羹、桃羊羹などがあります。

くりようかん 栗羊羹

「栗羊羹」についてはこちら ↓↓↓

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じょうよかん 薯蕷羹

生菓子、流し菓子。薯蕷練切に錦玉液(寒天)を加えて練り、流し固めたもの。

でっちようかん 丁稚羊羹

羊羹は餡と寒天で作りますが、寒天が手に入らなかった地域で、小麦粉をつなぎに使って、蒸して作ったのが「でっち羊羹」です。

「丁稚(でっち)」とは、丁稚奉公をしていた少年が里から持ち帰ったものという意味や、和菓子屋さんで捏ね合わせることを「でっちる」と言うことという意味から、付いたとも言われています。

滋賀県近江八幡市の「和た与」さんが発祥と言われ、福井県大野市や小浜市、京都の「一条寺中谷」さんも有名です。

ねりようかん 練羊羹

現在、一般的にいう羊羹が、この練羊羹になります。

生菓子。流し菓子。煮た小豆の中身の水気を切り、寒天を入れた生地に練って、型に入れて作ります。濃厚な味わいになります。

練羊羹のバリエーションとして、小倉、黒糖、抹茶、紅茶など種類は豊富にあります。

とらやさんの竹皮包3本入りの羊羹です。小倉羊羹「夜の梅」、黒糖羊羹「おもかげ」、抹茶羊羹「新緑」です。こちらからお取り寄せできます。↓↓↓

のしうめ のし梅

梅肉を使った酸味とその香りを帯びた羊羹。梅肉を使って、寒天と砂糖を錦玉のように仕上げて固めます。夏に腐敗防止のために梅が使われたお菓子となっています。水戸や山形などの名物。

みずようかん 水羊羹

夏に人気。生菓子。流し菓子。蒸しもの。寒天と餡に砂糖と葛粉などを混ぜ、火を通しながら練り、水分の量を多くして、型に入れて蒸したもの。

涼し気な水羊羹を、こちらからお取り寄せできます。↓↓↓

夏に人気の水羊羹ですが、福井県では11月から3月まで「冬の風物詩」として水羊羹を食べる風習があります。

水羊羹を販売するお店は福井県内に100店舗以上あり、お店によって味が違います。そのほとんどが、1枚流しと呼ばれ、箱などの入れ物に流されて1枚状になった水羊羹を自分たちで切って食べるようになっています。

水羊羹の材料は、黒砂糖、粗糖(ザラメ・精製前の砂糖)、こしあん、寒天(羊羹の半分)、水で作られます。火にかけ、炊き上がった水羊羹の寒天とあんこが分離しないよう、40~50分間常にかき混ぜながら緩やかに冷まします。冷えてくると段々重くなってきてずっしりとしてきて固まります。

福井県で水羊羹が食べられるようになったのは、江戸時代、年末に丁稚奉公から福井に戻る時に働き先から持たされた羊羹を甘いものが貴重な時代だったので、水羊羹に作り直したのが始まりとされます。また、冷蔵庫がなかった時代に、夏はすぐにダメになってしまうため、保存が効く冬に食べるようになったとも言われています。

この福井県の「冬の風物詩」である水羊羹には2種類あり、福井県の東側にある福井市や越前町では、厚さが薄めで柔らかめな「水羊羹」が作られています。逆に福井県の西側にある大野市や小浜市などでは、厚さが厚く、水羊羹よりも硬めな「丁稚羊羹」が作られています。それぞれお店さんによってみんな違うので、食べ比べても楽しいかもしれません。

福井県の水羊羹を冬の間だけ、こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

むしようかん 蒸しようかん

あん日和栗蒸し羊羹20231103
2023年11月3日 あん日和の栗蒸し羊羹

生菓子。蒸しもの。餡に小麦粉や葛粉を混ぜ、枠に流して蒸し固めたもの。歴史としては、練羊羹よりも古くからあり、素朴な味わい。種類としては、栗蒸し羊羹などがあります。

地元「いでゆむし」の栗蒸し羊羹です。こちらからお取り寄せできます。↓↓↓

【季節の手仕事】練羊羹の簡単レシピ

羊羹の基本「練羊羹」の作り方です。

地元のあんこやさん「遠藤製あん所」さんで教えていただいたレシピのため、量の単位が多い場合は、半分などに調整してみてください。

《 材料 》

生あん 1kg

砂糖 1kg

棒寒天 2本

水 1ℓ

塩 少々

《 用意するもの 》

鍋、濾し器、流し缶もしくはパット

《 作り方 》

①棒寒天をちぎって30分以上水に浸けておきます。

②鍋を火にかけて、寒天が溶けるまで混ぜます。

③寒天が溶けたら、ザルで濾します。

➃砂糖と生あんを入れ、20分程かき混ぜながら煮ます。

⑤塩を少々いれ、よくかき混ぜて火を止めます。

⑥時々かき混ぜて、少し冷まします。

⑦型に流し込みます。

⑧固まったら、好きな大きさに切ってください。




羊羹のおすすめ

とらや

羊羹といったら「とらや」さんが有名です。東京赤坂に本店がある「とらや」さんの工場が地元静岡県御殿場市にありますので、「とらや」さんの店舗も御殿場市内にあります。

とらや御殿場店は、茶寮もありますので、素敵な雰囲気の中で羊羹やお汁粉、葛切りなどを食べることができます。

工場は、とらや御殿場店とは別の場所にあり、コロナ前は工場見学などもされていました。

とらやさんといったら、羊羹「夜の梅」です。「夜の梅」は小倉羊羹です。梅は入っていません。小型羊羹のセットになったものがお取り寄せできます。↓↓↓

また、御殿場市内には「とらや工房」もあります。こちらは、作り立てのまんじゅう、大福、どら焼きなどのお菓子を提供されています。羊羹は残念ながらありません。ただ、とても素敵な場所で、敷地内を歩くだけでも、和の美を感じられるところです。御殿場にお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。

村岡総本舗 羊羹資料館

佐賀県小城市にある村岡総本舗が運営する「羊羹資料館」です。

砂糖が貴重だった頃に作られた砂糖蔵は、砂糖を湿気から守るために床を40センチも高くした防湿構造や、火に強い煉瓦造りとなっています。その砂糖蔵を改装して作られた資料館となっています。入場は無料です。

成田羊羹資料館

千葉県成田市にある成田羊羹資料館は、米屋株式会社の企業博物館です。米屋の歴史を羊羹にまつわる展示がされています。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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