山椒の手仕事とは
「山椒」というと、鰻に「粉山椒」をふりかけて香りを楽しむイメージがあるのかと思います。
それだけではありません。
「山椒」は、若い芽の「木の芽」をお料理に飾り香りを楽しんだり、お味噌と交ぜて「木の芽味噌」でお料理の味をランクアップさせたり、「青山椒」をちりめん山椒にしてピリッとご飯に合わせたり、山椒には、もっともっと広い世界があります。
これらを作ることが「山椒の手仕事」です。
ここでは「山椒の手仕事」の広い世界を時を追って紹介していきます。時季の短い楽しみもあります。見逃さないように、チェックしておきましょう。
もっと知りたい「山椒」の木が育つ姿
山椒の木には、雄の木と雌の木があり、それぞれ違う役割を果たします。そのため、どちらかの木しかないと、山椒の楽しみも半減になってしまいます。両方あると、山椒が思う存分楽しめるかと思います。
よく「うちの山椒の木は、実がならない」といったことを聞きますが、それはきっとその木は「雄の木」なのでしょう。どうしても実をつけたいのであれば、雌の木を植えるとよいかもしれません。
雄の木の1年

芽が出てきました。流石、ミカン科の木です。立派なトゲがたくさんでてきました。

木から出てきた若い芽、新芽の葉のことを「木の芽」といいます。
雄の木は、花は咲きますが、実はつきません。
その雄の木の花の蕾だけを摘んだものが「花山椒」です。蕾になりましたら、注意していないとすぐに咲いてしまいますので、毎日見て、花が咲く前に摘みましょう。

立夏(5月上旬)になり季節が変わると「木の芽」とは言わなくなり、「葉山椒」という呼び名に変わります。
雌の木の1年
雌の木も、「木の芽」が出て、花を咲かせます。

花が終わり、実になってきました。
5月~6月頃にはしっかりとした実となります。
この実が「生山椒」「青山椒」「実山椒」と言われるものです。
実の収穫は、年に2回です。
最初は5月~6月頃。若いうちに採り、佃煮、醤油煮、ちりめん山椒、一つ目の「粉山椒」などにします。

2回目は、夏から秋。赤く熟した実を乾燥させ、果皮を粉状にしたものがもう一つの「粉山椒」です。
山椒の木は、雄の木も雌の木も、落葉樹です。冬には葉は全部落ち、春にまた「木の芽」が出てきます。
枝のお手入れ・剪定
まったく手間のかからない山椒の木ではありますが、あまりにも大きく育ってしまったら、剪定をしてあげましょう。剪定をするのは、冬の間の休眠期である12月から3月がおすすめです。木の芽が出てくる前に、すっきりしてあげましょう。
朝倉山椒を育てる
上記のように、通常の山椒の木は、雄の木と雌の木は役割が違います。
しかし、この「朝倉山椒」は、雌雄同種のため、1本あれば花も咲きますし、実もなります。また、枝にトゲもないので、安全です。
兵庫県養父市八鹿町朝倉が発祥の地で、但馬地方に400年も受け継がれる高級な山椒です。
2023年、朝倉山椒を植えましたので、育てていきながら、生育状況を常時お伝えします。
「山椒・木の芽➃朝倉山椒が育つ姿」の記事はこちら ↓↓↓


もっと知りたい「木の芽」について

「木の芽」について、木の芽のレシピ、「青寄せ」、「寄せ菜」などについてはこちら ↓↓↓

もっと知りたい「花山椒」について


「花山椒」とは、山椒の木の雄の木に咲く花の蕾のことをいいます。
蕾をみつけたら、すぐに花が咲いてしまいますので、毎日注意をしながら、蕾が膨らんできたら摘みましょう。
「花山椒」は、市場でも、春の2週間くらいしか出回らないとても貴重なものです。
味は、実山椒よりも優しい味です。
醤油煮にしたり、甘辛く炊いて、佃煮、花山椒鍋、炒め物などにします。

たけのこと一緒に煮ました。優しい山椒の香りで、たけのこにとっても合います。
ちなみに、中華料理で使う「花椒(ホアジャオ・かしょう)」とは、全くの別物になります。「花椒」は、中華料理に使われる中国原産のスパイスで、しびれるような辛味が特徴です。
もっと知りたい「生山椒・青山椒・実山椒」について

生山椒・青山椒・実山椒とは、同じ山椒の実のことを言うのですが、時系列の違いなどで呼び方が違います。
生山椒・青山椒・実山椒の違いや使い方についてはこちら ↓↓↓

もっと知りたい「粉山椒」について
粉山椒は、実の状態により、作り方や出来上がりもさまざまです。
鰻などにかける「粉山椒」は、5、6月に採れた実を熟す前(青山椒の状態)に乾燥させて粉末にして作る作り方と、実が熟した後(実山椒)に乾燥させて粉末にして作る作り方があります。どちらも鰻などにかけて、爽やかな、香りを楽しむ「粉山椒」です。
また、9月頃に、赤く熟した山椒の実を乾燥させて、果皮だけを粉状にした「粉山椒」もあります。こちらは、焼き鳥などにかけて、山椒の香りやピリッとした風味を楽しむ「粉山椒」です。
粉山椒の作り方
①水洗いしてから、一晩影干しをします。
②陽当たりのよいところで、半日(だいたい朝から夕方)天日干しをします。
③干している間に種を取り出します。干している間に果皮が割れ、黒い種が出てきます。種は完全に取り除きます。
➃花軸も取り除き、すり鉢などですりおろし、粉にします。
常温では香りが消えていってしまうため、冷凍保存します。保存袋を何重にもすると、香りが消えません。
山椒の噂 裏山椒 横山椒
庭に山椒の木を植えない方がいいなんて話しを聞いたことがあります。私はそんなことより、山椒たちの木の芽や実がなって欲しいので育てていますが、気にされる方もいらっしゃるかと思います。
それが「裏山椒」「横山椒」です。
「裏山椒」とは、家の裏に山椒を植えると「家をうらさんしょう(家を売ってください)」ということで、人に買い取られるなどと言われます。
「横山椒」とは、家の横に山椒を植えると「家をよこさんしょう(家をよこしなさい)」ということで、人に家をとられてしまうなどといわれています。
これは、ただの語呂合わせなだけですので、あまり気にしなくてもよいのではないかと思われます。まず、家の裏ってどこ?家の横ってどこ?と思います。家に裏も表もないですし、横とは家の周りすべてのことになります。
それよりも、山椒の木は、葉を触ったときに出る香りはとても良い香りで、それが邪気を祓うともいいますし、赤い実がなることから、魔除けになるといわれていますし、たくさんの実がなることから、子孫繁栄に繋がる縁起の良い木とされています。もしかすると、こちらを信じた方が、幸せなのではないでしょうか。
山椒のおすすめの逸品
「朝倉山椒」は、1本の木で実がなります。私も育てています。お取り寄せができます。 ↓↓↓

明日はどんな手仕事する?
山椒のエピソード。
もう何年か前に亡くなってしまったお花の生徒さんのお話しです。毎年、春になると「木の芽」を摘んで、夏には「土用の丑の日」に間に合うように、「粉山椒」を作ってお花のお稽古に持ってきてくださいました。山椒を育てたり、粉山椒を作ったり、とてもマメな方で、私は彼女から、季節の楽しみ方やおもてなしの仕方などをいろいろ教えていただきました。それがきっかけで、私も山椒の木を育てるようになりました。季節のものを食べることも、とても贅沢なことなのですが、更に自分で育ててしまうことまですると、より贅沢な気分になれます。育てるということは、その過程も楽しませてもらっているからです。今でも、彼女のことは、よく思い出します。たぶん、天国から見守ってくださっているかと思います。彼女のような心優しい素敵な女性になりたいと常に思っております。
山椒によって、成長してきた自分がいること、忘れてはいけないので、記させていただきました。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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