蕗(ふき)の手仕事
蕗(ふき)は、春の蕗の薹(ふきのとう)、蕗の花、蕗の葉、初夏の蕗、秋の蕗と意外にも1年を通して長い間楽しめる山菜になります。
蕗は、奈良時代から栽培されていたという、日本原産のキク科フキ属の多年草ですので、毎年楽しむことができます。
蕗(葉柄部分)に関しては、水煮をしてあるものが、スーパーなどで1年中手に入りますが、蕗の薹は春先のみ、蕗の花、蕗の葉、秋の蕗においては、なかなか手に入らないのが現状です。
アクが強いため、アク抜きもしなければならず、面倒だから食べないなんて方も多いのではないでしょうか。それは、本当に勿体ないです。日本の季節の変化を愉しめる山菜のひとつで、なかなか手にはいらないものだからこそ、その季節に味わいたいものです。
面倒と思う下処理も知れば簡単です。ここでは、蕗の薹、蕗の花、蕗の葉、蕗のそれぞれの下処理の方法など、蕗の手仕事を紹介していきます。
それぞれの美味しさを知っていただけると嬉しいです。
蕗が育つ姿
蕗は、毎年元気よく育ってくれて、手間はほとんどかかりません。
半日陰を好み、北側や木陰で生育すると言われている蕗ですが、日向に植えるととてもよく育ちます。地下で根が発達し年々増えます。
年明け~2月

年明けからポコポコと蕗の薹(花の芽)が出てきます。2月に入るころには、食べられる程のふっくらとした大きさになってきます。

少し暖かくなると、知らない間に急に育ってしまい、蕗の薹(蕾)が開いてしまいます。うちでは、蕾は「天ぷら」に、開いてしまったものは「蕗の薹味噌」(リンク先にレシピ有)にします。
3月

2月いっぱいで蕗の薹(花の芽、蕾)も採り終え、蕗の葉が急にたくさん出てきます。雨後の写真で、葉が汚れていますが、柔らかくて美味しそうです。
3月頃の葉は柔らかいので、葉を食べるには良い時期です。「蕗の葉の塩漬け」(リンク先にレシピ有)には最適の時期です。
蕗(葉柄)も少しずつ伸びてきます。


4月~7月

蕗(葉柄)がグングン伸びてくる時期です。4月頃の蕗は、柔らかくて美味しいです。

庭が蕗で占拠されます。
葉を食べられるのは、4月いっぱいくらいでしょうか。だんだん硬くなってきますので、柔らかいものだけ食べるようにします。
蕗も、だんだん硬くなってきます。7月くらいまでは食べられます。
夏土用が終わり、暦が秋になった頃に、全部刈ってしまいます。庭の蕗を丸坊主にします。
10月、11月

8月に丸坊主にしてから、また蕗が育ってきます。これが秋の蕗です。蕗の丈も30センチにもならないくらいですが、柔らかい蕗が食べられます。11月頃まで秋の蕗を楽しんだら、12月には、また丸坊主にしてしまいます。そうすると、年明けにまたポコポコと蕗の薹(芽)が出てきます。
もっと知りたい「蕗の薹(ふきのとう)」について

「蕗の薹」は、春の先駆けとして出てくる「蕗の新芽(花の芽、蕾)」になります。
蕗の薹の食べ方として、蕗の薹の下処理方法、アク抜き方法、レシピなどの手仕事を紹介しています。
「蕗の薹(ふきのとう)」についてはこちらへ。↓↓↓

もっと知りたい「蕗の花」について

蕗の薹(蕾)が開き、茎が伸び、薹(花)が咲きます。
うちでは、基本的には、蕗の薹を採りきる(食べきる)ため、花を見ることがほとんどないのですが、たまたま隠れていて採り忘れていたようなので、そのまま伸ばしました。
「蕗の薹が伸びると蕗になる」と思っている方も多いようですが、蕗の薹は、蕗の花の芽と思っていただくとよいかもしれません。蕗の薹は、日が経つと茎が伸び、花が咲きます。
普通に食べる「蕗」というのは、蕗の薹と同じ根の別の所から出てくる葉の茎(葉柄)のことをいいます。
蕗の花には、雄花と雌花があります。
雄花は、黄色の花を咲かせ、伸びて花粉を出すと枯れます。
雌花は、白いお花を咲かせ、雄花よりも高く伸びて、たんぽぽのような綿毛の付いた種子を飛ばし、雄花が枯れるまでは、枯れません。
蕗の花や花茎は、炒め物や天ぷらなどにして食べます。蕗(葉柄)と違い、花茎は皮をむく必要はありません。
蕗の花の季語は、夏です。うちでは3月から4月に咲いてしまうので季語は春と言いたいところです。

もっと知りたい「蕗の葉(ふきのは)」について

「蕗の葉」についてや「蕗の葉」のアク抜き方法やレシピなど、蕗の葉の手仕事を紹介しています。
「蕗の葉」についてはこちら。↓↓↓

もっと知りたい「蕗(ふき)」について

蕗(ふき)についてはこちら。蕗の下処理方法、アク抜き方法、レシピなどの蕗の手仕事も紹介しています。
「蕗」についてはこちら。↓↓↓

もっと知りたい「秋の蕗」について

蕗ですが、秋に食べられるのは、ご存じでしょうか。8月に、春から伸びて硬くなった蕗をすべて刈り込むと、また葉が出てきて、10~11月頃には、伸びた蕗(葉柄)で、秋の蕗が楽しめます。
秋は秋で、丈も30センチくらいにしか伸びず、太さも1センチは超えないくらいの細さですが、とても軟らかく、独特の苦味はあり、春よりも食べやすいのではないかと思うほどです。
ただ、細いので、皮むきがとても大変です。
秋の蕗の下処理
秋の蕗もアク抜きは必要です。秋の蕗は、塩で十分です。しっかり下処理をしましょう。アク抜きは、蕗と同じやり方です。
秋の蕗でも、「蕗ラー油」をたくさん作ります。クセになります。
蕗の葉や秋の蕗は、どこで手に入る?
蕗の薹は、春になるとスーパーでも見かけるようになります。
蕗も、蕗の薹が終わったころから、スーパーで見かけるようになります。
ただ、蕗の葉はなかなか見かけません。やはり、切ってしまうとすぐに乾燥してしまうからだと思います。たまに葉付の蕗が販売されているのを見かけます。葉は、それを狙うしかないのかもしれません。
秋の蕗は、短い期間ではありますが、スーパーでも見かけたり、ファーマーズマーケットや道の駅でも見かけたりします。これも運が良ければ…ということでしょうか。
また、お庭に蕗が生えているお知り合いの方がいらっしゃるなどでも、秋の蕗は、夏の処理ができていないと、硬くて食べられないもののままかもしれません。しっかりチェックをしてみてください。
蕗の季語
俳句を嗜むわけではありませんが、1年を通してある植物などは、季語がとても気になります。
年明けに出てくる「蕗の薹」の季語は、「春」です。
蕗の薹が終わると出てくる蕗。春を過ぎてもしばらくは葉柄が伸び続きますので、「蕗」の季語は、「夏」です。
では、蕗の葉や秋の蕗には季語があるのでしょうか。やはり、一般的ではないようで、季語はないようです。ただ、秋に蕗を歌っている句はたくさんありました。
「蕗の薹」と「蕗」は、季語が違うことだけは、覚えておきましょう。
蕗の薹、蕗のおすすめの逸品
蕗を育ててみたくなったという方はこちらからお取り寄せができます。毎年出てきてくれるので、蕗の薹や蕗がお好きな方にはおすすめです。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?
蕗には、本当にいろいろな育ち方、使い方、作り方、食べ方あり、1年の中でも、とても長い期間楽しませてもらえる食材です。アクは強いですし、下処理も大変で、あまり人気はないのかもしれませんが、1度食べるとクセになる味で忘れられないかと思います。これが、季節の味です。
毎年育ってくれることに感謝して、それを食べさせていただけること、季節を感じさせていただけることを大切に過ごしていきたいと思います。
春が来たら、「蕗の薹が食べたい」と思ってくださる方が1人でも増えたら、嬉しく思います。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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