もっと知りたい「きんとん」について
「きんとん」とは、同じ名前で3つの違うものがあります。同じ「きんとん」という名前ではありますが、見た目も、味も、材料も、作り方も全く違うものになります。
①お正月のおせち料理のお料理としての「栗金団(くりきんとん)・芋金団(いもきんとん)」
②和菓子の栗ベースの「栗金飩(くりきんとん)・栗茶巾(くりちゃきん)」
③和菓子の上生菓子の「金団(きんとん)製」
それでは、それぞれの違いを確認していきましょう。
①お正月のおせち料理のお料理としての「栗金団(くりきんとん)」

この「栗金団(くりきんとん)」は、お正月のおせち料理の1つです。
おせち料理に入れる意味として、黄金色の見た目を金塊や小判に見立て、金運上昇や豊かであることを願います。
おせち料理の「栗きんとん」は、さつまいもを蒸して裏ごしたものをベースとして、栗の甘露煮を入れてクリーミーに仕上げて作られます。栗を入れない場合は、「芋きんとん」ということもあります。
ベースとなるきんとん(芋きんとん)の作り方
さつまいもは、基本的には甘い「三島甘藷の紅はるか」を使いますので、きんとん本体には砂糖は入れません。さつまいもの甘さと一緒に入れる具の両方の味を生かすためです。日持ちさせたい、甘いものをご希望などでしたら、お好みで砂糖を入れてください。
砂糖がたくさん入れば1ヶ月保存可能ですが、このレシピは1週間以内には食べていただきたいです。

《 材料 》 他の材料を合わせてもお弁当箱くらいの量ができます。
さつまいも 500g
レモン汁 少々(あれば、くちなしの実の方がおすすめです)
《 作り方 》
①さつまいもは、切る前にアク抜きと変色防止のため、30分ほど水に漬けておきます。
②ざっくり5~6等分に切り、水から弱火でじっくり1時間蒸します。
③蒸したさつまいもの皮を熱いうちにむき、黒くなってしまっているところなどを取り除きます。
➃皮をむいたさつまいもをミキサーに入れて滑らかにします。ミキサーがない場合は、少しだ大変ですが、そのまま裏ごししてください。
⑤裏ごしします。さつまいもは、繊維が多いので、少し粗目の網で裏ごしすると楽に裏ごしできます。裏ごしは、お子さんに手伝ってもらうのもいいですよね。きんとんの金運のお話しをしながら、「お年玉がアップするかもしれないよ」なんて言ったら、すぐに手伝ってくれますよ。ちなみに私は、普段用のきんとんを作る時には、裏ごしもせずに進めてしまいます。それでは滑らかなきんとんではないかもしれませんが、普段用はそれでも十分です。おせち料理の時には、しっかり時間をかけて裏ごしします。
⑥鍋に裏ごししたさつまいも、レモン汁、合わせる具(栗の甘露煮など)を入れて、鍋の水分がなくなるまでゆっくり混ぜながら、水分を飛ばします。具を加えず、芋きんとんだけでしたら、⑥の工程はなくても大丈夫です。
このまま、他の具を何も合わせずに、茶巾絞り(芋茶巾)にするのもおすすめです。
合わせる具は下記の通りです。
きんとんの応用① 栗きんとん

「きんとん」といえば、「栗きんとん」。
おせち料理を作る頃には栗が手に入らないので、市販の栗の甘露煮を手に入れる形になります。市販の栗の甘露煮には、味が付いていますので、上記ベースとなるきんとんの作り方⑤に栗を好きな大きさにして入れて、鍋の水分がなくなるまでゆっくり混ぜながら、水分を飛ばします。仕上げに綺麗な栗をのせると華やかになります。
「栗の甘露煮」から自分で作りたい場合には、2つの方法があります。
1つ目は、栗の収穫の時期(9月頃)に、栗を鬼皮のまま冷凍しておきます。そして12月に甘露煮を作って、栗きんとんを作ります。解凍から皮むきが少し大変です。
2つ目は、栗の収穫の時期に甘露煮まで作っておいて、冷凍することもできます。12月は何かと忙しい時期ですのでこちらもおすすめです。
市販の栗の甘露煮はとても甘いので、栗から自分で作ると甘さが調節できて、食べやすい栗きんとんができます。
「栗の甘露煮の作り方」についての記事はこちら ↓↓↓

きんとんの応用② パイナップルきんとん
テレビ番組で、お正月のおせち料理に「手軽に作れるきんとん」ということで、缶詰のパイナップルを使った「パイナップルきんとん」の作り方を放送していました。
挑戦してみたら、意外にも美味しかったので、栗がない時などには、おすすめです。
番組では、缶詰の汁も入れるとおっしゃっていましたが、汁は入れず、パイナップルからも汁がでてくるので、パイナップルだけを入れました。
甘さがさっぱりしていて、とても食べやすいパイナップルきんとんです。

パイナップルの缶詰4切れを細かく切って、水分を切っておきます。上記ベースとなるきんとんの作り方の⑥0に合わせて鍋の水分がなくなるまでゆっくり混ぜながら、水分を飛ばします。パイナップルに含まれている缶詰の水分が、時間が経つと出てきますので、しっかり水分を飛ばしましょう。
きんとんの応用③ りんごきんとん
りんごもおすすめです。りんごの種類は、あれば紅玉、なければあるもので大丈夫です。りんご1個使います。綺麗に洗ったら芯を取り、皮はつけたままで、1.5センチ角に切って、塩水につけておきます。りんごの皮が嫌いな方は、むいてしまってください。また、りんごを全部切らずに1/4だけすりおろしても美味しくなります。
お皿に、塩水を切ったりんごと砂糖30gを混ぜて入れレンジで煮るかたちです。ラップをして、レンジ500wで8分です。

レンジした際に出てくるりんごの汁も使ってください。
あとは、上記ベースとなるきんとんの作り方⑥に合わせて、鍋の水分がなくなるまでゆっくり混ぜながら、水分を飛ばします。

きんとんなのに、裏ごししていないのがバレる写真です。普段用は、時間をかけずに作りたいので、簡単レシピということで、お許しください。これはこれでとても美味しくできます。
りんごの甘酸っぱさとさつまいもの甘さなので、とても自然な甘さです。いくらでも食べられる「りんごきんとん」です。お子様のおやつにも、簡単に作ってあげられると思います。
②和菓子の栗ベースの栗金飩(くりきんとん)

栗を裏ごしして砂糖、水飴を加えて練り作る「栗きんとん」は、材料のすべてが栗となりますので、高級な和菓子となります。秋の栗の季節にしか食べることのできない、貴重なお菓子です。茶巾絞りなどの作り方をすることが多いので「栗茶巾(くりちゃきん)」とも呼ばれます。賞味期限は、1~2日です。出回り時期は、9月から1月頃です。
こちらからお取り寄せも可能です。↓↓↓「栗きんとん」は、岐阜県中津川の銘菓です。


③和菓子の上生菓子の金団(きんとん)製
「きんとん製の上生菓子」は、こし餡や着色した白餡をふるいで裏漉し、そぼろ状にして、小さく丸めた餡玉や餅などに細い箸でひとつひとつつけていく、上生菓子の種類の1つです。
季節としては1年中ありますが、季節により太いものは竹など、細いものは馬の毛のふるいを使って裏漉し、そぼろ状にする餡の太さや色目を変えたり、刻んだ錦玉(きんぎょく)をちりばめて飾ったり、中身の餡の種類を変えたりしてさまざまな表現をします。
山芋を使うと「薯蕷きんとん」になります。
あん玉などを小さな芯として作ったことから、唐菓子の「こんとん」が由来とも言われています。
自分で作るには、かなりの技術が必要となりますので、和菓子やさんで求めてみてください。
賞味期限は、2~3日です。
栗のおすすめの逸品
栗むき器があると栗仕事がはかどります。こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?
さつまいも、栗、和菓子が大好きなので、どの「きんとん」も大好きです。
ただ、今回紹介した3種類が、一括りで「きんとん」と言われてしまっていることが残念だったものですから、違いを記事にさせていただきました。
また「きんとん」は、江戸時代初期には、お団子状のお菓子として、嘉祥菓子の1つでした。この3種類の「きんとん」のそれぞれの歴史も調べていきたいと思います。
「きんとん」のことを好きになってもらえたら、嬉しく思います。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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