【季節の手仕事「里芋」①里芋まとめ】もっと知りたい里芋!ずいき?いもがら?かしら?って里芋の何者?

 1月にしたい手仕事




もっと知りたい「ずいき」とは

里芋の葉とずいき

里芋は、芋は地中にできますが、地上にでている茎も食べることができます。この里芋の茎のことを「葉柄(はがら)」や「芋茎(ずいき)」などと言います。代表して「ずいき」と呼ばせていただきます。

この「ずいき」を食べる里芋の品種は、ハスイモ、八ツ頭、唐芋、赤芽芋などです。ハスイモは芋は食べず、ずいきのみを食べます。

青茎の「青ずいき」(ハスイモなど)と赤茎の「赤ずいき(赤ガラ)」(赤芽芋、八ツ頭など)があり、根芋と呼ばれる軟白栽培された茎を「軟白ずいき」や「白ずいき」といい、椀種や煮物に使い、高級食材として世に出されています。

「ずいき」は、生の茎を調理することをいいます。

「ずいき」の下処理

①薄皮をむきます。細い方から皮をつまみ、引っ張るだけです。すーっとむけます。手がアクで真っ黒になります。気になる方はビニール手袋などをして作業してください。

②アクが強いため、切ったら酢水に1時間ほど浸します。

③沸騰したお湯にずいきと酢を入れ、1分ほど茹でます。

➃茹でたら一度ザルに上げ、冷水にさらし、アク抜きをします。

⑤冷水でしっかり冷ましたら、水気を切って、一晩冷蔵庫に入れます。

◆長期保存する時は、酢をふりかけます。1ケ月近く保存できます。

◆煮物にする時には、酢にはつけずに、そのまま調理してください。

「ずいき」のメニュー

「ずいき」は、お好きな野菜と一緒に酢の物、酢漬け、酢味噌和え、ごま和え、ごまだれ和え、お揚げや厚揚げなどと煮物、味噌汁、炒め物などにします。

「ずいき」の簡単な炒め物のレシピ

《 材料 》

ずいき 3本

ごま油 大さじ1

めんつゆ 大さじ3

塩こしょう 少々

《 作り方 》

上記、アク抜きをしたら、フライパンにごま油をひき、ずいきを炒め、めんつゆと塩こしょうで味付けするだけです。

もっと知りたい「いもがら」とは

里芋の「ずいき」の外側の皮を乾燥させたものを「芋柄(いもがら)」といいます。

かんぴょうのようになって販売している「芋がら」をファーマーズマーケットや道の駅で見かけます。干してあるものなので、長期保存ができ便利です。

「芋がら」の食べ方は、水でもどしてから、煮物や炒め物、みそ汁の具などにします。

もっと知りたい「かしら」とは

殿芋
海老芋のかしら「殿芋」

里芋の「かしら」、「頭」、「頭芋」などと呼ばれるものは、里芋の親芋のことです。

「かしら」は、『人の上に立つ「頭」になれるように』という縁起物として、お正月のお雑煮に「頭芋」を入れて食べます。

頭芋のそぼろ餡

海老芋のかしらを揚げて、そぼろ餡でいただきました。煮崩れはせず、ネバネバもなくホクホクしているので、餡かけとの相性が良かったです。

海老芋のかしらのことは「殿芋(とのいも)」と言います。お偉い芋のようですね。

ずいき、芋がら、かしらなどは、どこで手に入る?

ファーマーズマーケットや道の駅などでその時期になると販売されています。普通のスーパーなどでは、なかなか販売されていません。

ファーマーズマーケットや道の駅でも、常にあるわけではなく、農家さんが収穫できた時だけで出荷されるものですから、出逢えたらラッキー程度で思っていると出逢えたりします。

出てくる期間としては、ずいきは9月から10月頃、芋がらは10月以降、かしらは里芋の旬の間でしょうか。地域によっても違うと思います。私は静岡の間隔なので、少しずれているかもしれませんので、ご自身の地域で確認してみてください。




もっと知りたい「里芋」の魅力

里芋の原産

インド東部からインドシナ半島などの熱帯地域。

里芋の分類

里芋はタロイモの1種で、タロイモは、熱帯アジア、ポリネシア、アフリカなどの熱い地域食べられています。里芋は、タロイモの系統の中では、一番北で栽培されている種類になります。

里芋の英名

タロイモのことを英名で「taro(ターロウ)」というので、里芋のことも「taro」と言います。太郎さんのように「タロー」では通じませんのでご注意ください。

里芋の科属

里芋は、サトイモ科サトイモ属です。

里芋の歴史

里芋は、芋類(さつまいも、じゃがいも、やまのいもなど)の中でも、最も古くから食べられている芋になります。原始マレー族の移動により、太平洋一帯に広まったとされ、日本へは中国から縄文時代に伝わったとされます。

稲作よりも古くから主食として食べられていたと言われています。

里芋の名前の由来

里芋とは、山芋が山で採れる芋に対して、里で採れる芋なので「里芋」というようになりました。

ちなみに、「芋」というと「里芋」のことをいいます。他の芋たちはというと、さつまいものことは甘藷の「藷」、じゃがいもは馬鈴薯の「薯」、山芋のことは薯蕷の「蕷」といいます。古い書などには、こちらで書かれていることがありますので、こちらを覚えておくと便利です。

里芋が育つ姿

間もなく収穫20241021うち
2024年10月21日

葉が黄色くなってきたら、間もなく収穫時期です。

掘った姿20231107
2023年11月7日
里芋の収穫20241105高木さんち
2024年11月5日

里芋は、土から掘り起こすとこんな形になっています。

土より上に出ていた茎の部分から下は、親芋が付き、そこから子芋が四方についている形です。

子芋からも根がたくさん出ています。

これらをひとつひとつ採り、根も切り、綺麗に洗われた状態が、お店で売られている里芋の状態となります。

うちの里芋20241119
2024年11月19日

里芋の選び方

お店で販売されている里芋の選び方としては、以下の通りです。

①泥付きのものを選ぶ。洗ってあるものは、鮮度が落ちてしまっています。早めにいただきましょう。

②乾燥しているものは選ばない。

③割れやヒビがないもの。

里芋の保存方法

里芋は、熱い地域原産で食べられるものなので、高温多湿を好みます。寒さや乾燥に非常に弱いものです。泥付きならば、新聞紙で包み、常温で保存します。

収穫した里芋の食べ分け

収穫した里芋は1本につき、20~30個のお芋がついています。

そのまま分けもせずに食べるのもよいですが、うちでは、食べ分けしています。

大きなかしらは、硬めなので、ステーキにしたり、揚げ物にしたりするのがおすすめです。

一番小さな孫芋は、柔らかいのできぬかつぎが良いでしょう。

一番小さな孫芋を取り除いた小さめのものは、柔らかめなので煮物にします。

残ったしっかりとした里芋らしい大きさのものは、豚汁などの汁物におすすめです。

1本から採れる里芋でも、上手に食べ分けすると、より美味しく味わうことができます。

里芋の下処理

◆ほとんどの里芋の種類

水で泥を落とし、重ならないように広げて乾かし、皮をむくとすべりにくいです。

煮物にする際には、ぬめりを除いた方が味が染み込みやすくなります。

皮をむいたら、水に焼きミョウバンを入れ、30分つけるとぬめりもとれ、白く綺麗に仕上がります。

焼きミョウバンがなければ、塩もみして、いったん茹でて、さっと洗うとぬめりが取れます。アク抜きも一緒にできます。米のとぎ汁で茹でると白く柔らかく茹で上がります。

かゆみを防ぐには、手に塩をつけるとよいです。

◆たけのこ芋

たけのこ芋の下処理

たけのこ芋は、えぐみがあるので、酢水でアク抜きをします。

煮物の時には、水から塩を少々入れ30分程茹でてアク抜きします。

里芋のおすすめの逸品

里芋といったら「芋煮」。なんと、山形の芋煮セットがお取り寄せできます。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?

「ずいき」や「芋がら」をどうやって食べるのか、80代の方々に話しを聞くと、みなさん、もう食べたくないと言います。サツマイモの芋づると同じで、戦後食料がなかった時に、サツマイモの「芋づる」や里芋の「ずいき」や「いもがら」は、本当によく食べていたそうです。きっとそんな頃のことは、あまり思い出したくないのでしょうね。

食べたことがないような私たち世代が食べると、『なんでこんなに美味しいものを捨ててしまうの?』などとみなさん喜んで食べそうですが、想いが全く違うのでしょう。

美味しいものであることは確かなので、手に入る機会があれば、食べていきたい気はします。みなさまもぜひ、機会があれば、食べてみてください。

それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

明日が素敵な1日になりますように。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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