平安時代の菓子とは、木の実や果物を指していました。果物を干したり、加工したものが、菓子として食べられていたようです。
麦などの穀類を粉にしたものや米粉を使って、なたね油などで揚げた物などは、平安時代にもあったようですが、貴族の中でも貴重なお菓子だったようです。
甘葛煎(あまづらせん)という甘味料は、非常に高価で簡単に手にいれることができなかったため、米粉の甘みや栗や干し柿なども貴重な甘味だったとされます。
登場する菓子は、あいうえお順に並んでいます。
五十日(いか)の餅
子供が生まれて50日目には、「五十日の祝い」と称して、盛大な祝宴が催されました。この時に無病息災を願って赤ちゃんの口に含ませる餅のことを「五十日の餅」と呼びました。
『源氏物語』では、第35帖「柏木」で薫の誕生と、第49帖「宿木」で匂宮の若君の誕生の50日の祝いに「五十日の餅」の記述があります。
いのこもち 亥の子餅
『源氏物語』第9帖「葵」の帖に、万病を祓うために食べる「亥の子餅」が登場します。
「その夜さり 亥の子餅ゐ 参らせたり」
光源氏と紫の上の婚姻に、「亥の子餅」が花を添えたということです。
形や味の記述はなく、平安時代から鎌倉時代の百科全書『二中歴(にちゅうれき)』には、原材料は、大豆、小豆、大角豆(ささげ)、栗、柿、胡麻、糖(あめ)の七種類と粉を使って、猪の子供の形に作ったものだったとされます。
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くさもち 草餅
平安時代には、「上巳の節句」は「節供」の行事食として、「上巳の草餅」が食べられていました。
「草餅」は、遣唐使の方たちが持ち帰ったものの中にあった「果餅(かへい)」餅類14種の1つです。このころは、「草餅(くさもちい・くさもちゐ)」と言われていました。
もともと中国では、「母と子が健やかに生きられますように」と母子草(ははこぐさ、別名:春の七草の御形ごぎょう)を使ったお餅(母子餅=草餅)が食べられていました。
それが日本に伝わり、日本では邪気を祓うとされるよもぎを柔らかく煮て使い搗いたお餅(よもぎ餅=草餅)が食べられるようになりました。残念ながら、この頃は、あんこが入っていないお餅だけだったのですが、現在では、「草餅」といえば、あんこが入ったよもぎ餅になります。
蓬は、カルシウムが豊富で、香りが邪気を祓うとされるため、「上巳の節句」の「節供」でもある草餅に使われました。
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つばいもちゐ つばきもち 椿餅
『源氏物語』第三十四帖「若葉上」の帖には、夕霧をはじめとする若者たちが蹴鞠の後に「椿餅」を食べる場面があります。
ただこの当時は、「つばいもちゐ」といい、今のような道明寺生地ではなく、甘葛(あまづら)で甘味をつけた米粉団子(餅)が、椿の葉に挟まっていたようです。当時の「つばいもちゐ」には、あんこは入っていません。
「椿餅」は当時、椿の葉があるので手で持って食べても汚れないとか、椿の葉が常緑で縁起が良いお菓子とされていました。
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ふずく 粉熟
遣唐使の方たちが持ち帰ったものの中にあった「果餅(かへい)」餅類14種の1つ。
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『源氏物語』では、第四十九帖「宿木(やどりぎ)」の帖にこの「粉熟」が出てきます。源氏の孫、匂宮(におうのみや)に子供が産まれたお祝いに、源氏の次男薫が贈ったものと描かれています。
三日夜(みかよ)の餅
平安時代は、男性が女性のもとを訪ねる通い婚が一般的でした。これは、男性が3日間通い、3日目に「三日夜の餅」を一緒に食べ、正式な夫婦とみなされました。
『源氏物語』では、第9帖「葵」で光源氏と紫の上が結婚をする際と、第49帖「宿木」にも匂宮と中の君が結婚をする際に、この「三日夜餅」の記述があります。ただし餅の詳細は不明です。
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