【季節の手仕事「寒天」】寒天は夏に冷たくして食べられる印象ですが、冬の食べ物で冬に作られるって本当?

 1年を通して食べられる和菓子




生寒天・寒天とは

天草などの海藻を煮溶かして、ろ過した液体を固めたものが「生寒天」です。ところてんやみつ豆、あんみつなどで食べられます。

その生寒天を、乾燥させて凍らせてを繰り返したものが「寒天」です。加工してお料理や羊羹などの和菓子などに使います。

寒天ができるまで

「寒天」の製造方法は、天草などの海藻を煮溶かして、ろ過した液体を木箱に流し込み、一晩冷まして柔らかく固めたものが「生寒天」となります。その生寒天を、昼間は天日干しをして水分を抜き乾燥させ、夜は凍らせて固めてという作業を2週間ほど繰り返したものが「寒天」となります。

「寒天」は、冬の風物詩として、寒い地域で寒中(1月上旬から2月上旬)に作られます。現在では夏に冷やして食べるものに使う印象の強い寒天ですが、「寒」という名前がつくように、冬場に作られます。また、冷蔵庫がなかった時代には、寒さで寒天が自然に固まったことから、冬場に食べられていました。

「寒天」を作る工程の途中でできる、あまり聞きなれない「生寒天」についてはこちらをご覧ください。↓↓↓

【季節の手仕事「寒天」】寒天は夏に冷たくして食べられる印象ですが、冬の食べ物で冬に作られるって本当?
寒天とは、寒天ができるまで、寒天の種類として、糸寒天(細寒天)、棒寒天(棒寒天)、粉寒天、寒天の魅力として、産地、歴史、名前の由来、季語、寒天のメニューとして、寒天の特徴、料理のメニュー、和菓子やデザートのメニューなどを紹介

寒天の種類

凍結と乾燥を自然におこなった天然寒天には「糸寒天(細寒天)」と「角寒天(棒寒天)」、またとても便利な「粉寒天」があります。

糸寒天(細寒天)

寒天は、透明感があり、白くて光沢のあるもの、不純物の少ないものが良質と言われています。特に「糸寒天」は腰が強く弾力があり、和菓子作りに適しています。

「糸寒天」のレシピは「角寒天(棒寒天)」でも代用ができますが、手軽に作れると販売されている「粉寒天」では腰が弱く代用ができません。

「糸寒天」は、水に浸したり、そのまま汁ものなどに入れて食べたり、使い勝手のよい寒天です。

伊豆の「糸寒天」を、こちらからお取り寄せできます。↓↓↓

角寒天(棒寒天)

「角寒天」は、上記の製造方法にも記した通り、木箱に入れて流し込んで作ったため、角型の寒天が出来上がります。これを「角寒天」といいます。角型の棒という意味で「棒寒天」と呼ぶところもあります。

「角寒天(棒寒天)」は、煮溶かす場合には、水に浸してから使います。一度固まると溶けにくいのが特徴です。

「角寒天(棒寒天)」をこちらからお取り寄せができます。↓↓↓

粉寒天

「粉寒天」は、寒天の固まる成分を精製して作っているため、「角寒天」の半分の量で固めることができます。

また、手軽なのでとても便利です。

ただ、2分ほど沸騰させてしっかりと煮溶かさないと、固まらない場合があります。注意しましょう。ちなみに、寒天と同じ凝固させる材料として使うゼラチンは沸騰させてはいけません。

生寒天・寒天の魅力

天草や生寒天の産地

「寒天」を作る原料の天草は、静岡県、三重県、和歌山県、徳島県、愛媛県、山口県、大分県、長崎県などで作られています。

地元伊豆の天草はとても有名で、伊豆ではその天草を使って「生寒天」が作られることから、ところてんが有名です。

寒天の産地

「寒天」は、長野県諏訪地域や岐阜県恵那市、北陸や丹波地方など比較的寒い地域で作られています。

寒天の歴史

「寒天」が誕生したのは、江戸時代初期の1650~1680年頃と言われています。

「寒天」の誕生により、和菓子の世界では、それまで「蒸し羊羹」であったものが、「寒天」を用いた「練羊羹」が生まれるなど、精巧な菓子が生まれるようになりました。

寒天の名前の由来

寒中(1月上旬から2月上旬)に作られることから、この名が付きました。

寒天の季語

「寒天」の季語は、晩冬(1月上旬から2月上旬)です。まさに、寒の頃です。

寒天の表示

現在、寒天は外国産のものが多くなります。

表示に「国内産100%」と書いてあるものに関しては、国内で作られたものになりますが、「国内産」としか書いていない場合は、ブレンドされている可能性があります。

また、「伊豆の天草を100%使用」などと書かれているものが、伊豆の天草を使った寒天になります。こちらも100%でないものは、ブレンドされている可能性があります。伊豆の天草を100%使用した寒天は、歯応えも弾力がありますので違いますし、食べた時に天草の香りもします。




寒天を使ったメニュー

寒天を使う特徴

ゼラチンは冷蔵庫などで冷やさないと固まりませんが、寒天液は室温でも固まります。

寒天を使った料理のメニュー

お料理には、水に戻しても、そのままでも、煮溶かしてしまっても食べることができます。

◆サラダ、炒め物 

糸寒天を水に戻して春雨のように。

◆スープ、味噌汁 

糸寒天をそのまま入れてしまいます。

◆ご飯 

一緒に炊いてしまいます。かさ増しにもなりますし、食物繊維を沢山摂ることができます。

◆卵料理

スクランブルエッグは、棒寒天をヨーグルトで戻し、卵を混ぜて焼くだけです。

寒天を使った和菓子・デザートのメニュー

寒天と言ったら、やっぱり和菓子です。

和菓子では、琥珀、羊羹、水羊羹、寒氷、牛乳寒、コーヒー寒、果汁寒、小豆寒、青柚子羹、錦玉羹などに使われます。あんみつやみつ豆は、生寒天から作りますが、寒天から作ることもできます。

明日はどんな手仕事する?

子供の頃、祖母が青い寒天をよく作ってくれたのを覚えています。10歳で祖母が亡くなってしまったため、それ以前の記憶なので、なぜ青だったのかはよくわかりません。青といってもほんのり薄い青です。色素でしょうか。味はほんのり甘く、缶詰のみかんが入っていました。伊豆の天草から作る寒天で作っていたので歯応えのある食感や磯の香りがほんのりあったのは覚えています。

それがあったからか、小学生の頃から棒寒天を買ってきては、甘い牛乳寒をよく自分で作っていました。

今では、手軽な粉ゼラチンで作るようになってしまいましたが、各種ゼリーは毎日欠かさず食べるくらい大好きで手作りしています。

たまには、棒寒天で食感のある寒天を作ってみたい気もします。

それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

明日が素敵な1日になりますように。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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