【季節の手仕事「落雁(らくがん)」】地味とは言わせない!シンプルで優しい甘さがクセになる落雁の魅力!




落雁の歴史

室町時代の日明貿易で中国から日本に伝えられたとされます。

元々、宮中で食べられていたお菓子で、せんべいのようにただ米の粉を固めて作られていた時代から、小麦粉で作られる時代、餅製のお菓子の時代、甘茶や甘草で甘味を付けた時代などを経て、現在の落雁へとなっています。

江戸時代中期にできた日本最初の菓子製法の専門書『古今名物御前菓子秘伝抄』(1718年刊)に、落雁の製造方法が記されています。

落雁の名前の由来

名前の由来は、中国の「軟落甘(なんらくかん)」というお菓子の、「軟」という字を省いて、「甘」を「雁」にしたと言われています。

また、滋賀県の近江八景のひとつ「堅田の落雁」にちなんでつけられたとも言われています。「堅田の落雁」とは、中国湖南省にある洞庭湖の景色「平沙の落雁」にちなんでつけられた名勝です。胡麻落雁の黒胡麻を振ったさまが列をなして湖に降りてくる雁のようだから名付けられたと言われています。

落雁の分類

落雁の水分による分類は、「干菓子」になります。

出来上がりの水分量が10%以下のお菓子を「干菓子(乾菓子)」と分類します。

また、落雁の製法による分類は、「打ちもの」という分類になります。

砂糖と寒梅粉(みじん粉)やはったい粉などに少量の水をもみ混ぜて種を作り、木型に詰めて乾燥させ、打ち出した菓子のことを「打ちもの」と分類します。

落雁の形や色

様々な形や色のものがあります。

落雁の種類

あいうえお順となっております。

きな粉落雁

きな粉と寒梅粉などで作られた落雁です。

栗落雁

栗の落雁とは、赤えんどう豆の粉を練り、微粒状にした栗の粉をまぶして、型にはめて固く打ち上げ乾燥させた干菓子です。信州長野の小布施町で生まれたお菓子です。

玄米落雁

玄米と和三盆糖などで作られる香ばしい落雁です。

胡麻落雁

白ごまを使ったり、黒ごまを使ったりする落雁です。

しおがま 志ほがま 

宮城県塩釜市の名物。みじん粉、和三盆糖、塩、塩漬けしたしその葉を合わせて押し固めて作られます。

豆落雁

福井県敦賀市の伝統菓子。粗挽きの大豆と砂糖などを固めて作られています。

麦落雁

大麦を加熱して挽いたはったい粉(麦こがし)で作った落雁のこと。

もろこしらくがん 諸越落雁

秋田の伝統菓子。小豆の粉と砂糖から作られます。

落雁の原料・材料

もち米

「もち米」を原料とする粉の種類はたくさんあります。

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砂糖

落雁には、きめ細かく風味の良い、日本独自の佐藤である和三盆糖を使うことが多いです。

精製された糖蜜の少ない黒砂糖も使われます。

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水飴

芋類や穀類などのでんぷんを糖化させて作った透明で液状の甘味料。生地に使えばつやが出て、しっとりと仕上がります。結晶化しないので、砂糖と共に使って、砂糖の再結晶化を防ぎます。水飴のことを「ネキ」とも言います。水飴を多く加えた餡のことを「ネキ餡」といいます。




落雁の作り方

もち米や麦などの穀物の粉を砂糖や水あめと混ぜて着色し、各種の形を彫り付けた木型に詰めて強く押し固め、木型から抜き取り(打ち出し)、乾燥させます。

落雁を食べる時季・行事

落雁は「空から舞い降りてくる雁」ということから、落雁の季語は秋になります。

貝型の落雁

「貝型の落雁」は、3月3日上巳の節句(ひなまつり)に食べられる「雛菓子」の1つです。「はまぐり型」が有名です。

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落雁のおすすめの商品とそのお店

都道府県を北から並べてあります。

「長生殿」 森八 

石川県金沢市。日本三大銘菓のひとつ。落雁の最高級品とされます。

「越乃雪」 大和屋 

新潟県長岡市。日本三大銘菓のひとつ。

「富士のこけもも」 藤太郎 

静岡県富士宮市にある「藤太郎」さんのコケモモジャム入り富士山型落雁です。こちらからお取り寄せできます。↓↓↓

「二人静」 両口屋是清

愛知県名古屋市中区。可憐な花を想わせる紅白一対の干菓子は、口の中に入れるだけで、幸せを運んできてくれます。

UCHU wagashi

京都市上京区。

「人をわくわくさせたり、しあわせにする和菓子」それがUCHU wagashiさんの想いです。

商品は「落雁」のみですが、落雁とは思えない、可愛い、そしてテーマのある落雁です。

「山川」 風流堂

島根県松江市。日本三大銘菓のひとつ。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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