「いづれアヤメかカキツバタ」とは、どちらも優れていて優劣が付けにくい例えや美人の例えなどに使われたこの言葉ではありますが、この言葉の通り、本物のお花も見分けが付けにくいのがアヤメ科のお花たちです。
見分け方のポイントは、2つ。
葉の特徴と、生育状況や生育場所を知ることが一番わかりやすい方法です。
葉は太いか細いか、垂れているか真っ直ぐか、長いか短いか、葉の表面の真ん中に筋があるかなど。もちろん季節により長さやたれ具合などが違うかとは思いますが、葉を見比べるのが見分けをしやすい方法です。
また、生えている場所です。池や沼など水辺の中に生息する「水物」の「かきつばた」、水辺近くの水辺や陸に生息する「通用物」の「花菖蒲」、逆に全く水のない野山などの地上に生息する「陸物」の「あやめ」など。これもわかりやすいです。
この葉と場所の組み合わせから、更に開花時期、花の形をみると、見分けができるかと思います。
下記の特徴から見分けてみてください。
あいうえお順にしました。
アイリス
「アイリス」というと2通りの意味があります。
①アヤメ科アヤメ属の総称名
まず1つは、欧米ではアヤメ科アヤメ属の英名の総称を「iris(アイリス・正式にはイリス)」と言います。下記にあるすべてのアヤメ科アヤメ属の花のことを「アイリス」と言います。
欧米人に言わせると、アヤメもカキツバタもシャガも花菖蒲などもすべて「アイリス」という名前でくくられるということです。
ちなみにこの総称でいうと、アイリスの花の色は、赤(紅)以外すべての色があると言われています。
②お花屋さんで売っている「アイリス」というお花
もう1つは、アヤメ科アヤメ属の名前が丁寧に分けられている日本では、アヤメ科アヤメ属のお花の種類の1つを言います。主にお花屋さんで年末から春先頃まで販売されている青紫色をした花が「アイリス」と言うお花です。
◆葉
細くて長いのが特徴です。
◆花径
約10cm



あやめ 菖蒲(あやめ)、文目、綾目
個人的な表現をすると、一番日本的で古風なのが「あやめ」です。
「あやめ」についてはこちら ↓↓↓

いちはつ 鳶尾
◆科属
アヤメ科アヤメ属
◆開花時期
4~5月。
◆花径
約10センチ。
◆花の特徴
藤紫色で外側の花弁には、白いとかさ状の突起があり、シャガの花形に近い。
◆歴史
古くは中国から渡来。
◆エピソード
アヤメ科アヤメ属の中では、1番早く咲くことから、「1番お初に…」が「いちはつ」という花名となったといわれています。
昔は、防火のおまじないで、茅葺屋根にいちはつを咲かせていました。
かきつばた 杜若、燕子花
「かきつばた」についてはこちら ↓↓↓

きしょうぶ 黄菖蒲
◆英名
Iris pseudacorus
◆科属
アヤメ科アヤメ属の多年草。
◆自生場所
湿地、沼地。
◆黄菖蒲が綺麗に咲くおすすめの場所
「蓮華寺池公園」静岡県藤枝市

シャガ 奢我
アヤメ科の中では「いちはつ」が一番早くに咲くと言われていますが、実際に一番早く咲くのは、「シャガ」です。
「シャガ」についてはこちら ↓↓↓

ジャーマンアイリス
おしゃれな色合いで大人気なのが「ジャーマンアイリス」です。
「ジャーマンアイリス」についてはこちら ↓↓↓

しょうぶ 菖蒲
◆英名
Acorus calamus var. angustatus
◆科属
ショウブ科ショウブ属
菖蒲はアヤメ科アヤメ属ではありません。お花の咲く菖蒲と呼ばれるものは「花菖蒲」となり、まったく別の植物です。
菖蒲は、以前はサトイモ科の植物と言われていましたが、近年の研究により、ショウブ科ショウブ属に属するようになったそうです。
◆自生場所
池や湿地のほとりに生える多年草。
◆葉
葉の中央には、生脈が見られます。葉には爽やかな芳香があるのが特徴です。
◆花の特徴
花と呼ばれるものは、黄緑色の肉穂花序で全く目立たないものです。
◆エピソード①
5月5日の端午の節句に入る「菖蒲湯」の「菖蒲の葉」は、このショウブ科ショウブ属の植物を入れます。アヤメ科アヤメ属の葉を入れても、効果はありません。
「端午の節句」についての記事はこちら ↓↓↓

◆エピソード②
山形県東根市では「しょうぶたたき」、他の地域では「菖蒲打ち」と言って、菖蒲を地面に叩きつけた音と中に巻いたよもぎの臭いで、田んぼから悪霊を追い払い、子供たちをおたふく風邪から守り、豊作と無病息災を願った伝統的な民族行事があります。
叩きつける菖蒲の棒は、柳を土台に、よもぎと菖蒲の葉と括り付けて縛って作ります。
はなしょうぶ 花菖蒲
種類が多い「花しょうぶ」。綺麗に見ることができる場所もたくさん紹介しています。
「花しょうぶ」についてはこちら ↓↓↓

ひめしゃが 姫射干
◆科属 アヤメ科。
◆名前の由来 シャガよりも花径とも小さく、葉も柔弱なため、姫シャガと名付けられました。
◆何年草か 多年草。
◆葉 シャガに似ている。
◆開花時期 5~6月。
◆花径 シャガより一回り小さい。
アヤメ科のお花のおすすめの逸品
これぞ逸品。尾形光琳の「カキツバタ」が描かれている茶碗です。こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?
アヤメ科のお花たちを一目で見分けられる人は、本当に少ないかと思います。それだけ似ているお花たちです。ただし、咲く時期や花の形、葉の形や咲いている場所などにより、判断ができます。
私も見分けのプロではありませんが、そうやって見分けます。覚えていくと、楽しいですし、新しい発見もあるととても嬉しくなります。
お花の先生と言われる方には、いろんな方がおられます。お花が大好きな方、育てるのが好きな方、研究するのが好きな方、いけばなが好きな方、フラワーアレンジが好きな方、ガーデニングが好きな方、造園が好きな方、お花の歴史が好きな方など。
いろんな方がいらっしゃるので、お花を習うのであれば、自分がどの分野を習いたいのかをはっきり伝え、その専門の先生を探すのが良いでしょう。
私は、ガーデニングと造園は知識が少なくて。草取りは得意ですが。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
お花の関連記事
◆「お花の名前別まとめ(写真付き)」の記事はこちら ↓↓↓

◆「お花の季節の手仕事」についてのまとめ記事はこちら ↓↓↓

季節の手仕事の関連記事
◆「季節の手仕事カレンダー」はこちら ↓↓↓

◆「食材別の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「和菓子の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「暦としつらえの季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「おすすめの食材店と旬の食材探しで訪れたい道の駅」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

コメント
[…] さらに読む ⇒季節の手仕事、明日何する?出典/画像元: https://www.positivedail… […]
Academic Box 様
リンクの掲載、ありがとうございます。
より一層、濃い内容になりますよう、リライトして参ります。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。