【季節の花図鑑「かきつばた」】もっと知りたい!1年を通して季節の違いをいけられるお花はかきつばただけ

 4月に咲く花

ここではお花の本には載っていない、かきつばたを綺麗に見せる方法やかきつばたの扱い方やいけ方のコツなどの情報をお伝えしていきます。




かきつばたのいけ方のコツ

かきつばたのいけ方のコツ

かきつばたは何といっても葉の使い方が重要となります。「葉組み(はぐみ)」といって、葉の表裏、葉の前後ろ、葉の長短が重要となります。

表裏に関しては、株は外さずに、株のままで見ればすぐにわかります。膨らんでいる方が表(外側)、へこんでいる方が裏(内側)です。株は外さずにいける直前までそのままにしておきましょう。

葉の長短は、季節により違います。

間違いのないよう使うようにしましょう。

いけばなでのかきつばたのいけ方 

華道家元池坊におけるかきつばたのお生花のいけ方では、四季それぞれのいけ方があります。

春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬のいけ方があります。

もっと細かく「初夏、仲夏、晩夏」といった分け方さえもあります。

季節を追ういけばならしいいけ方ができるお花として、かきつばたはとても人気があります。

かきつばたの春のいけ方

春は、花は短くつぼみを使い、葉に隠れるように使います。葉は出立てで真っすぐ短く使います。葉の長短にはあまり差をつけません。

また、春のいけ方の一番の特徴として、「冠葉(かんむりは)」があります。春はこの冠葉がついているお花を活かしていけます。

冠葉とは、お花も茎が伸びていない状態の小さな蕾が咲けずに冬を越し、春になって花が咲く時、花よりも長く付き葉が伸びます。その葉にシワがよっているのです。このシワ、秋から冬の間に伸びたいのに寒くて伸びることができず、春になって、葉の先だけが伸びるため、シワがよったままになっているのです。この冠葉を見つけたら、チャンスと思い必ず使っていけましょう。かきつばたの春らしさが倍増します。

これが、かきつばたの早春のいけ方です。春の初めにしかいけられないので、貴重です。

かきつばたの夏のいけ方

夏は、花は葉よりも高く開花を使います。葉は、組方も長さに差をつけ、長い方は最大の長さを使います。葉の長短に差をつけます。

かきつばた魚道20170611
魚道活け 2017年6月11日

こちらは夏限定のいけ方で、フトイとかきつばたの株分けで「魚道活け」といいます。フトイとかきつばたの間を魚が泳ぐといったイメージのいけ方です。

研究会でいけたので、花器がプラスチックですみません。

かきつばたの秋のいけ方

秋は、花も葉も枯れ気味の姿を表現します。葉が垂れ、先がしおれているようなものを使います。葉の長短に差をつけます。

かきつばたの冬のいけ方

冬は、花も葉も枯れた姿になります。

かきつばたの葉の切り方

かきつばたの葉の切り方は、葉の先がVの字になるように切ります。剣山や配りでも挿しやすくなります。

かきつばたの水揚げ

かきつばたは、水揚げが悪くありません。

かきつばたのおすすめの花器 

上記の通り、季節によりいけ方を変えるかきつばたは、花器も季節により変えたいものです。

特に夏は、水面がたくさん見える広口の花器がおすすめです。

もっと知りたい「かきつばた」について

それでは、かきつばたをいけるコツがわかったところで、かきつばたのことをもっと好きになって、もっと上手にいけられるようになりましょう。

かきつばたの漢字

「杜若」「燕子花」と書きます。

かきつばたの英名 

Iris laevigata

かきつばたの科属

アヤメ科アヤメ属の中でも、最も女性的なお花。多年草。

かきつばたの歴史 

古くは「万葉集」にも登場します。

江戸時代には、尾形光琳の「燕子花図屏風」にも描かれ有名となりました。

かきつばたの自生場所

かきつばたは、アヤメ科の中では最も水を好み、日当たりの良い水湿地や湿地帯で水深20センチほどの浅い水辺に群生します。

太田の沢20180417
京都大田神社のかきつばた 2018年4月17日

京都、大田神社(大田の沢)は、日本の三大かきつばたの自生地です。この時は、まだ4月で時期が早く、花は全く咲いてはいませんでしたが、以前、夏にお伺いした際には、たくさんのかきつばたが咲いており、圧巻でした。

かきつばたの葉

かきつばたの葉は細長い葉で長さ30~90センチ、葉の幅1~3センチほどで、隆起はありません。




かきつばたの開花時期

4月下旬から。

かきつばたの開花期間

4月~10月。 

かきつばたの花径 

約10センチ。

かきつばたの花の色

独特のかきつばたブルーです。色名でいうと、濃紫色や青紫色といわれます。

花弁に、白い模様が入ります。

かきつばたの花の特徴

かきつばた2回目20170612
2回目の花 2017年6月12日

かきつばたは、1日花ですが、同じガクの中からもう1つ次の花が咲きます。

開花の写真は、2回目の花です。

かきつばたの季語

夏。

かきつばたの日本三大自生地

かきつばたがお好きな方ならば、一度は訪れたいかきつばたの自生地です。3か所とも、国の天然記念物に指定されています。

◆「大田神社(大田の沢)」京都府京都市北区

5月が見ごろです。規模は約2000平方メートル、25000株が自生しています。

◆「小堤西池」愛知県刈谷市

5月中旬が見ごろです。規模は約20000平方メートル。

◆「唐川」鳥取県岩美町

5月下旬が見ごろです。規模は約1万平方メートル。

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日本三大自生地のほかにもかきつばたの自生地があります。

◆「大沼公園」秋田県田沢湖町

6月上旬が見ごろです。

かきつばたのおすすめの逸品

かきつばたをいけるために重要なのが葉の切り方です。かきつばた専用に切れるはさみを持っていると便利です。この鋏がかきつばたを切るには切りやすい鋏です。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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