つつじをいけるもしくは飾るには、枝選びがとにかく大切です。枝選びですべてが決まってしまうくらいです。枝選びを目で鍛えて、上手く生けられるようになりましょう。
ここではお花の本には載っていない、つつじの扱い方やいけ方・飾り方のコツなどの情報を紹介しております。
つつじのいけ方・飾り方のコツ
つつじの枝の選び方
つつじは、お花が咲く枝たちが、三角フラスコを逆にしたような形のまとまりをしたものが綺麗とされています。また、その三角フラスコのような大きさも大き過ぎず、小さめのまとまりのものの方が綺麗とされています。
つつじは、枝ぶりがバラバラに広がっているものよりも、まとまっている方が綺麗ということです。
つつじのいけ方・飾り方
上記、つつじの枝のまとまりを生かすため、いける際また飾る際には、長めに飾るのが綺麗とされています。つつじは、短く切らないように注意しましょう。
つつじの花は、下から咲いていきます。開花している枝やつぼみの枝があるようでしたら、開花している枝を短めに、つぼみの枝を長めにして飾るとつつじらしさを表現できます。
いけばなでのつつじのいけ方
華道家元池坊では、レンゲツツジを使うことが多いです。
つつじは、撓めが効かずバウンドしてしまいますが、ネジリ撓めができます。
生花では、こんもりとした茂みをもたせ、枝葉が段々となるように姿を整えていけます。つつじは、小枝の高さが等しいので、同じような高さの枝であっても自然の出生により、切り取ることはせず、上手に撓め直して扱います。
つつじは美しい花をつけるので、生花は一種活けが望ましいが、本来は松の根〆に用いるのが最もふさわしいとされます。
立花では、「立花十九ヶ条」に「壇躑躅(だんのつつじ)」といって、山一面に咲く京都の躑躅を、一瓶にさまざまな種類のつつじを立て交えるいけ方があります。
つつじの水揚げ
つつじは水揚げは悪くありません。たっぷりのお水につけてあげればよくもちます。
つつじにおすすめの花器
安定感があり、たっぷりのつつじも入り、口も狭いので飾りやすい形です。洋風のスペースにも和風のスペースにも合います。こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

もっと知りたい「つつじ」について
つつじの漢名
漢名を「躑躅」と書きますが、この字には、「あしずりする」「あがく」といった意味があり、中国でつつじを食べた羊が足摺りしてもだえ苦しんだことから、この名が付いたという説があります。
つつじの原産
数少ない日本原産のお花です。
つつじの科属
ツツジ科ツツジ属。
「つつじ」は、「さつき」や「ヒラドツツジ」などを含むツツジ科ツツジ属の総称になります。
つつじの系統・分類
ツツジ科ツツジ属の分類です。
落葉低木樹
ミツバツツジなど。
常緑低木樹
サツキ(サツキツツジ)、ヒラドツツジ、キリシマツツジ、クルメツツジなど。
つつじの歴史
つつじが日本の文献に最初に見られるのは『万葉集』(7~8世紀後半に編纂。奈良時代末期)です。『万葉集』の初期に詠まれている中に、「丹躑躅(ニツツジ)」や「石躑躅(イワツツジ)」があり、10首詠まれています。
『源氏物語』(1008年、紫式部作)にも、宮廷人が殿舎の前裁や中壷などに「いはつつじ(イワツツジ)」を植えて、春を楽しんだ様子が描かれています。
我が国最初の園芸書『花壇網目』(天和元年・1681年初版)には、「躑躅異名の事」として147品種(実際には170種以上あったとされます)が記載されています。当時は、園芸が盛んとなり、品種改良などが次々に行われ、つつじが大ブームだったことがわかります。ソメイヨシノを開発したことで有名な江戸の染井にいた伊藤伊兵衛は「つつじ屋」を名乗り、「つつじの伊兵衛」と呼ばれ、江戸一の植木屋となっていました。
江戸時代後期、江戸の染井村で販売されていたつつじとその店を紹介するチラシとしてあったのが、『源氏名寄躑躅の花道(げんじなよせつつじのはなみち)』です。この中には、キリシマツツジの原木や、今では見ることができない唐松、無三、面向などという品種も紹介されています。
同時期、人気のあったお花を相撲の番付表に見立てた『草木花角力(くさきはなすもう)』では、つつじは木の花の中で前頭(今でいう第4~10位の中)に選ばれています。
つつじのお花の名前の由来
お花が連なって咲くことから「つづき」と呼ばれ、花が筒状になっていることから「つつ」と呼ばれ、次第に「つつじ」になったと言われています。、
つつじの自生場所
全国の山野に自生しています。
つつじの葉
落葉樹の分類は、花が咲いた後に葉が出てきます。小さく、硬く、先は丸く、毛があります。写真は、葉が出てくる寸前といったところでしょうか。

常緑樹の分類は、葉がある中に花が咲きます。

つつじのつぼみ


つつじの開花時期
開花は3月~5月。
花が一気に咲きます。
つつじの花径
つつじの花は大きいと言われますが、それはつつじの大半であるヒラドツツジやオオムラサキツツジが5~10センチと大きいためそう言われますが、それ以外のツツジ科のお花は3~4センチとそれほど大きくはありません。
つつじの花びら
つつじの花びらは、筒状になっています。
つつじの花の色
花の色は、朱紅色、紅紫色、白、橙など。



つつじのおしべ
「つつじ」のおしべは、5本以上あります。ちなみに「さつき」のおしべは5本です。



つつじの花の特徴
つつじは年を経るに従って細かい分かれ枝が増え、樹冠の姿が美しくなり、花付きも良くなります。老樹になると部分的に枯れこむところがありますが、枝がくねり、木肌も美しくなります。
樹齢は数10年と考えられていますが、実際には長く樹齢300年の木も現存します。
つつじの季語
季語は「春」。
つつじの花言葉
「努力」
「訓練」
つつじの品種
日本のつつじの種類は多く、野生しているものだけでも20種類以上あり、そこから生まれた園芸品種が300種類以上あります。
アカツツジ 赤躑躅
→「山つつじ」をご覧ください。
アカヤシオ
アケボノ

「ヒラドツツジ」の一品種。常緑樹。花の色は、ピンクで内側がより濃いピンク。
アスカガワ 飛鳥川
江戸時代からある品種。花の色は濃いピンク。
イワツツジ 岩躑躅・石躑躅
華道家元池坊では、イワツツジは祝言の花のひとつとされています。
ウンゼンツツジ 雲仙躑躅
オオムラサキツツジ 大紫躑躅

つつじの中でも花が一番大きく、普通「つつじ」と言えば、この種類を指します。赤紫色の大輪の花を咲かせることから「大紫」となったとされます。厳密には、「ヒラドツツジ」の一品種。
常緑樹。低木が多いが小高木も有り。葉は大きく柔らかい。花の色は紫に近いピンク。
キシツツジ
キリシマツツジ 霧島躑躅
常緑樹。九州に自生しています。元々は鹿児島県の霧島に自生していた品種。山つつじと似ているが夏葉が多い。葉先が丸く、光沢があります。分かれ枝が密。開花時期は4~5月。花の色は紅色、ピンク。花は小輪。
クルメツツジ 久留米躑躅
常緑樹。現在の福岡県久留米市付近で、江戸時代末期に、ミヤマキリシマやサタツツジを改良して誕生した園芸品種です。花は小輪。色は多彩。
ケラマツツジ
花の色は赤。沖縄県の東村にも自生。
コメツツジ
ゴヨウツツジ
サタツツジ
サツキ 皐月 (サツキツツジ 皐月躑躅)
「さつき」についてはこちら ↓↓↓

タイワンヤマツツジ 台湾山躑躅
ツバツツジ
ドウダンツツジ 満天星躑躅
ドウダンツツジは、ツツジ科ドウダンツツジ属となり、ツツジ科ツツジ属の仲間とは別になります。
「ドウダンツツジ」についてはこちら ↓↓↓

ニツツジ 丹躑躅
ヒカゲツツジ
ヒガシニシキ 東錦
ヒラドツツジ 平戸躑躅

「ヒラドツツジ」についてはこちら ↓↓↓

ベニツツジ 紅躑躅
ミツバツツジ

落葉樹。
ミヤマキリシマ 深山霧島
九州の高地だけに自生する固有種。標高800mくらいの高い場所に自生します。花の色は、鮮やかな濃いピンク。
深山霧島躑躅を綺麗に見ることができる場所として、大分県日出町にある経塚山が町をあげて育てており、県の天然記念物に指定されています。ここは標高600mの地点ではありますが、手入れを万全にすることで、毎年綺麗に咲かせてくださっています。5月中旬まで楽しめます。
ムラサキヤオシオ
モチツツジ
モチツツジ・ハナグルマ 花車

ヤマキリシマ
ヤマツツジ 山躑躅


別名「赤つつじ」とも呼ばれます。花の色は濃い赤と淡い赤があります。山野に自生する原種。

この「山つつじ」は、写真上にあるツルから垂れ下がっています。この垂れ下がっている状態のものが、この付近に何本もあり、花が咲いていました。

花は1か所から3つ出ています。葉にも毛がたくさんあります。開花時期は、5月上旬~下旬。
リュウキュウツツジ 琉球躑躅
レンゲツツジ
華道家元池坊でよく使うつつじ。
「つつじ」「ヒラドツツジ」「さつき」の違い

「つつじ」「ヒラドツツジ(オオムラサキツツジを含む)」「さつき」は、同じツツジ科ツツジ属のお花ですが、タイプが違うお花になります。
英語では、「つつじ」も「さつき」もAzalea(アザレア)と言い、一緒のお花になってしまいます。
そこで、この違いがわかりにくいので違いを紹介します。
1番わかりやすい違いは、お花が開花している時に、葉があるかないかです。
落葉樹の「つつじ」は、開花時には葉がなく、花後に先が丸い3センチほどの毛がある小さな葉が出てきます。花径は3センチほどです。開花時期は3月~4月です。
常緑樹の「ヒラドツツジ(オオムラサキツツジを含む)」などは、開花時に5センチほどの大きな葉があり、柔らかく葉の先が尖っています。花径も5~6センチと大きめです。開花時期は4月下旬~5月です。
常緑樹の「さつき」は、開花時に3センチほどの小さな葉があり、ツヤツヤして先が尖っっています。花径は3センチほどです。開花時期は5月~6月です。
よく「つつじ」と「さつき」だけで違いを比較しているのですが、「つつじ」が「ヒラドツツジ」とされ比較されてしまい、「つつじ」自体が葉が大きく花も大きいなどと曖昧になってしまっています。すべて同じツツジ科のお花ではありますが、違いを比べるならば、この3つの種類で区別すると違いが分かりやすいと思います。
「ヒラドツツジ」についてはこちら ↓↓↓

「さつき」についてはこちら ↓↓↓

つつじが綺麗に咲くおすすめの場所
舘林つつじが岡公園 群馬県館林市
毎年4月上旬から5月上旬に「つつじまつり」が開催されます。園内には樹齢400年余りとされる株が2000株もあり、約50種類、1万株のつつじが植えられています。
八幡つつじ群落 栃木県那須町
毎年5月末から6月に美しい花を咲かせる「八幡つつじ群落」。23ヘクタールの土地に20万本のつつじが植えられています。遊歩道が整備されており、車いすやベビーカーも安心です。無料駐車場もあります。
六義園 東京都文京区
江戸時代の大名庭園として知られる六義園には、約30種類以上、約1000本のつつじが植えられています。4月中旬から5月上旬が見頃。
山のホテル 神奈川県箱根町

毎年5月上旬から中旬に、ホテルの庭園にあるつつじ(さつきを含みます)が見事に咲きます。無料駐車場はありますが、庭園に入るには入場料が1000円必要です。
村民の森つつじ園 沖縄県東村
沖縄県の東村(ひがしそん)にある村民の森つつじ園では、7つの品種約5万本のつつじが咲き誇ります。見頃は3月中旬。3月下旬まで「東村つつじ祭り」を開催。
お花の関連記事
◆「お花の名前別まとめ(写真付き)」の記事はこちら ↓↓↓

◆「お花の季節の手仕事」についてのまとめ記事はこちら ↓↓↓

季節の手仕事の関連記事
◆「季節の手仕事カレンダー」はこちら ↓↓↓

◆「食材別の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「和菓子の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「暦としつらえの季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「おすすめの食材店と旬の食材探しで訪れたい道の駅」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

コメント