【和菓子の老舗からみる和菓子の歴史①】江戸時代より前に創業の400年以上続く老舗が作り続けているもの

和菓子の歴史が気になり、日本にある和菓子の老舗さんを創業年順に並べてみました。

創業年順にすることで、世の中の時代の流れと和菓子との関係も、見えてきます。

長く続いているお店さんの努力の証はもちろん、どんな菓子が食べられてきているのか、どの辺りの地域で食べられていたのか、どんな風に食べられていたのかも、見えてきます。

日本にあるすべてのお店さんを調べているわけではなく、まだまだ一部に過ぎないと思いますので、これからも調べ続け、更新していきたいかと思っております。




江戸時代より前に創業の老舗さんからわかること

江戸時代より前から続く老舗さんが作る菓子

まだ砂糖が手軽に手に入る時代ではないため、甘いお菓子というよりも、塩気のあるお菓子が多いように思えます。特に、餅類が多くなります。

江戸時代より前からある老舗さんの地域性

やはり都のあった京都のお店が多くなります。また、お伊勢参りなども人気があり、伊勢周辺にも集まっています。

江戸時代より前の菓子の食べられ方

現在のように、包装が充実しているわけではありませんので、茶屋でその場で食べることが多かったようです。

平安時代(794年~1185年頃)創業のお店

一文字屋和助

◆創業 平安時代の長保2年(西暦1000年)の創業と言われています。飲食店としては、日本最古の老舗。

◆創業当時の商品 「おかちん(勝餅=あぶり餅)」

◆現在の商品 「あぶり餅」のみ。

◆現在の住所 京都府京都市北区。今宮神社近く。通称「一和」さん。

鎌倉時代(1185年~1333年頃)創業のお店

松島こうれん本舗 紅蓮屋心月庵

◆創業 鎌倉時代の嘉歴2年(1327年)創業。

◆創業当時の商品 米菓

◆現在の商品 「松島こうれん(米菓)」各種。

◆現在の住所 宮城県宮城郡松島町。

室町・戦国時代(1333年頃~1603年頃)創業のお店

塩瀬総本家

◆創業 貞和5年(1349年)創業。

◆創業当時の商品 饅頭

◆現在の商品 「志ほせ饅頭」

◆現在の住所 東京都中央区。

亀屋陸奥

◆創業 応永28年(1421年)創業。

◆創業当時の商品 御供物など

◆商品の変化 1570年頃「松風」のはじまり。

◆現在の商品 「松風」など

◆現在の住所 京都市下京区。

本家尾張屋 

◆創業 寛正6年(1465年)創業。

◆創業当時の商品 菓子

◆商品の変化 江戸時代末期の三代目により「そば餅」、十四代目により「蕎麦板」、十五代目により「蕎麦ぼうる」が誕生しました。

◆現在の商品 「蕎麦板」「蕎麦ぼうる」など。

◆現在の住所 京都市中京区烏丸二条。1702年より蕎麦屋さんも開始。

水田玉雲堂

◆創業 応仁の乱の直後、文明9年(1477年)創業。

◆創業当時の商品 唐板煎餅。

◆現在の商品 「唐板(からいた)」のみ 

◆現在の住所 京都市上京区。上御霊神社鳥居前。

御粽司 川端道喜

◆創業 文亀3年(1503年)創業。

◆創業当時の商品 餅、粽

◆商品の変化 戦国時代から江戸時代にかけては宮中に餅を納める餅屋でした。

◆現在の商品 「道喜粽」

◆現在の住所 京都市左京区。

本家小嶋

◆創業 天文元年(1532年)創業。

◆創業当時の商品 芥子餅(けしもち)

◆現在の商品 「芥子餅(けしもち)」「ニッキ」「泰平餅」など

◆現在の住所 大阪府堺市堺区。

笹井屋

◆創業 天文19年(1550年)創業。

◆創業当時の商品 「なが餅」

◆現在の商品 「なが餅」など。

◆現在の住所 三重県四日市市。

太閤餅 

◆創業 永禄8年(1565年)創業。

◆創業当時の商品 「太閤出世餅」

◆現在の商品 「太閤出世餅」

「太閤出世餅」は、天下人豊臣秀吉にも愛された伊勢の名物の縁起餅の焼き餅です。粒あんの入った「太閤出世餅」は、1つ1つ手焼きされています。

◆現在の住所 三重県伊勢市。伊勢神宮前。




おせきもち

◆創業 1570年代頃創業。

◆創業当時の商品 もち

◆現在の商品 「おせきもち」、おはぎなど

◆現在の住所 京都府京都市伏見区。鳥羽街道沿い。

江戸時代に「せき女」という女性が、街道を行きかう旅人に餅をふるまっていたことに由来します。

二軒茶屋餅角屋本店

◆創業 天正3年(1575年)創業。

◆創業当時の商品 茶屋 餅

◆現在の商品 「二軒茶屋餅」

「二軒茶屋餅」は、こしあんを生餅で包んできな粉をまぶしたお餅です。時間を置くと硬くなってしまいますので、その場で伊勢茶と共にいただきます。

◆現在の住所 三重県伊勢市。伊勢神宮近く。

「二軒茶屋」とは、町の名前。伊勢中心部を流れる勢田川の船着き場に「角屋」と「湊屋」という二軒の茶屋ができたことに由来するそうです。

長五郎餅本舗 

◆創業 天正年間(1587年頃)には創業していたとされます。

◆創業当時の商品 「長五郎餅」

◆現在の商品 「長五郎餅」

◆現在の住所 京都市上京区一条通。北野天満宮近く。北野天満宮境内にも茶店あり。

とらや 

◆創業 室町時代後期京都にて創業。

◆創業当時の商品 菓子

◆商品の変化 

1635年には、羊羹、有平糖、落雁、まんじゅう、豆飴などを作っていたことが覗えます。

◆現在の商品 「羊羹」「最中」など

◆現在の住所 

京都府京都市上京区。烏丸一条。東京遷都に伴い、1869年、東京に進出。現在本店は、東京赤坂。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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