山芋には、いろいろな種類があり、それぞれ用途も違います。しかし、どれを作る時にどのお芋を使ってよいか、迷うことがあります。
それぞれの違いを知れば、迷うこともなくなるでしょう。
和菓子にもお料理にも使うことができる山芋の世界をお楽しみください。
もっと知りたい「山芋(やまのいも・やまいも)」の魅力
山芋の呼ばれ方
一般的に「山芋(やまいも)」と呼ばれるものは、正式にはヤマノイモ科ヤマノイモ属の総称として呼ばれています。
漢字では「山芋」と書くため「やまいも」と呼ばれるようですが、正式には「山芋(やまのいも)」と呼びます。
山芋の名前の由来
山に自生していたことから「山芋」と呼ばれるようになりました。
ちなみに、「芋」というと「里芋」のことをいいます。他の芋たちはというと、さつまいものことは甘藷の「藷」、じゃがいもは馬鈴薯の「薯」、山芋のことは薯蕷の「蕷」といいます。古い書などには、こちらで書かれていることがありますので、こちらを覚えておくと便利です。
山芋の栄養価
栄養価としては、ムチンを豊富に含んでおり、たんぱく質の消化吸収を促進する作用などがあるため、スタミナ増強に役に立つといわれています。
山芋の選び方
お店などで販売しているものの選び方としては、①重みのあるもの、②切り口が変色していないもの、③できれば土付きのものを選ぶと良いでしょう。
山芋の保存方法
長芋や自然薯などの長いものは、短く切って新聞に包み、冷蔵庫などに立てて入れたりしますが、その切り口は、ラップなどに包んで乾燥を防ぐようにしましょう。
カットしたものも、カットした部分はラップをして冷蔵庫に入れましょう。
たくさん余ってしまった場合は、すりおろして保存袋に入れて冷凍保存しておきましょう。少し使いたい時などには便利です。
山芋の下処理
◆すりおろし方
優しく、ゆっくり、おろし鉢でおろすのが一番美味しい。
◆すりおろした時の注意
すりおろした際に、手がかゆくなってしまったら、酢水で手を洗いましょう。かゆみがとれます。
◆下ごしらえ
短冊切りなどに切って、白く仕上げたい場合には、皮をむいてすぐに酢水につけましょう。綺麗な白が保てます。
山芋の分類
世界中で約600種あるといわれる野生のヤマノイモ科ヤマノイモ属。その中の分類として、主なものに自然薯や長芋、つくね芋、大和芋などがあります。
それらが芋の形態から、3群に分けられます。
①芋が細長い「長芋群」
自然薯や長芋などが属します。
長芋群の中でも、50センチから1メートルほどの長さのものを「長芋」、20~50センチほどの長さのものを「1年芋」、20センチほどの長さのものを「とっくり芋」などと分けたりします。
②団塊状になる「つくね芋群」
つくね芋(関西の大和芋、丹波芋、伊勢芋、加賀丸芋)などが属します。
③ばち形や手のひら形になる「いちょう芋群」
大和芋(関東)などが属します。
注)最近では、いちょう芋の大和芋が、30センチほどの棒状となって栽培されているものがあります。
自然薯(じねんじょ)とは
「自然薯」は、日本原産です。
自然に生えてくる芋ということで、「自然薯」といいます。
「山芋②自然薯」についてはこちら ↓↓↓

長芋とは
山芋の中でも一般的なものが、「長芋」です。
中国から伝来したもので、英名はⅭhinese potetoといいます。
日本では、青森や北海道、茨城での生産が多くなります。1年中出回る品種ではありますが、春と秋が旬です。中でも秋の長芋は、皮が薄くてみずみずしく、シャキシャキなのが特徴。
棒状で長いものは、1mにもなります。1年で生育するので1年芋とも呼ばれています。
粘りは、自然薯に比べると弱く、水分が多いため、短冊切りにして炒め物や焼き物にするのがおすすめです。もちろん、すりおろして山かけや麦とろ、とろろ蕎麦、お好み焼きに入れるのもいいですね。
長芋を使ったメニュー
◆お好み焼き
◆長芋の塩辛炒め
◆焼き長芋のステーキ
◆長芋の揚げ出し
◆長芋のガレット(長芋をすりおろし、豆腐をしぼり、塩を加え、ごま油で焼く)
◆長芋のおやき(具は小豆、野沢菜、ごぼうの煮物、かぼちゃなど)
長芋の品種
◆砂丘ながいも
鳥取県産。細くサクサクした通常の長芋。長さ1メートルほど。
◆とかち太郎
北海道帯広産。
◆ねばり芋
新潟県せいろう町産。長芋と粘りの強い山芋を掛け合わせた新しい芋の品種です。芋は短く50センチほど。
◆ねばりっこ
鳥取県北栄町産。鳥取のサラサラの砂地という柔らかい土壌で栽培している品種。地下深く縦に伸び、収穫はショベルカーで掘ります。お餅のように粘りが強い。食感はシャキシャキで甘い。すりおろしても真っ白。味にコクがあります。1本育てるのに3年かかります。長さは、50センチから1メートルほど。旬は10月末から1月。2003年に品種登録されたばかりの新しい品種。「砂丘ながいも」と粘りが強い「イチョウ芋」の交配。
つくね芋とは
「つくね芋」とは、げんこつ型をしたお芋で、肉質がしまり、粘り気が強く、高級品で、和菓子や蒲鉾などの練り物のつなぎなどに使われます。
つくね芋は、作られる地域により、呼び名や特徴が違います。関西で出回ることが多いお芋です。1年中出回る品種です。
①大和芋(やまといも)
奈良県で採れるつくね芋の品種。黒い皮が特徴。
②丹波芋(たんばいも)
兵庫県で採れるつくね芋の品種。黒い皮が特徴。
③伊勢芋(いせいも)
三重県で採れるつくね芋の品種。白い皮が特徴。
➃加賀丸いも(かがまるいも)
石川県で採れるつくね芋の品種。黒い皮が特徴。
イチョウ芋(大和芋)とは
「イチョウ芋」とは、イチョウの葉のような手のひら型で、平に広がった形をしたものです。関東で作られています。
関東では、このお芋のことを「大和芋(やまといも)」と呼びます。関東で「大和芋」といったら、このイチョウ型の「イチョウ芋」のことをいいます。関西で出回る「つくね芋の大和芋(やまといも)」と名前が同じでわかりにくいですが、この2つはまったく別の品種です。
長芋に比べると粘り気が強く、味も濃く、切っても変色しないのが特徴。皮がなめらかで、切り口が白くみずみずしいものが新鮮な証拠です。すりおろす、とろろ汁などに向いています。
また、現在では、食べやすい、使いやすいということで、大和芋の棒状のタイプも作られています。
大和芋の産地
◆群馬県太田市
太田市の大和芋の生産は、明治時代から。現在では、市内約80戸の農家さんが栽培をされています。太田市の大和芋は、長さが約45センチ程。地下深くに伸ばす生育方法です。11月から3月頃まで出回ります。
◆静岡県駿東郡長泉町
静岡県駿東郡長泉町でも、「長泉大和芋」がイチョウ型ではなく棒状で作られています。長泉の大和芋は、11月下旬から1月まで出回ります。
零余子(むかご)とは

里芋のような、さつまいものような味の「むかご」。
ご飯に入れて炊き込みご飯にすると美味しく食べることができます。
山芋から採れる「山芋③零余子(むかご)」についてはこちら ↓↓↓

山芋を使った簡単レシピ
鹿児島銘菓「かるかん」

山芋で作る和菓子の鹿児島銘菓「軽羹(かるかん)」「軽羹饅頭(かるかんまんじゅう)」についてやレシピなどはこちら ↓↓↓

山芋のおすすめの逸品
山芋で作られた「かるかん」と「かるかんまんじゅう」がセットになっているものです。こちらからお取り寄せできます。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?
それぞれの山芋の違いは、整理できましたでしょうか?
私が勘違いしていたのは、「イチョウ芋の大和芋」と「つくね芋の大和芋」を間違えていたことです。
かるかんを作るのに使う「大和芋」を「イチョウ芋の大和芋」だと勘違いしていました。静岡に住んでいると、「大和芋」と言われたら、「イチョウ芋の大和芋」のことをいいます。関東の方なら、同じだと思います。しかし、かるかんを作るのに使う「大和芋」とは、「つくね芋の奈良の大和芋」だったのです。
確かに、皮がもちもちした「薯蕷まんじゅう」などを作る時に使うのは「つくね芋」です。お菓子(和菓子)を作る時に使うのは、「つくね芋」と覚えておけば、間違いないですね。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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