牡丹の歴史
日本へは、中国東北部にあった渤海国(698~926年)から奈良時代(710~794年)に伝わったことが『出雲国風土記』に記されています。牡丹の根の皮を乾燥させた「牡丹皮(ぼたんぴ)」が、薬用植物として伝わりました。また時代はあととなりますが、弘法大師(774~835年)が持ち帰ったとの説もあります。
平安時代には、花の美しさから観賞用の花としても、栽培されるようになりました。『枕草子』(平安時代中期1002年頃。清少納言作)にも登場します。
江戸時代の元禄5年(1692年)、植木職人の伊藤伊兵衛によって編纂、刊行された日本最初の園芸植物の図説書『花壇地錦抄(かだんじきんしょう)』には、牡丹の観賞法や牡丹の見方の心得が載っています。その内容は下記に記載。その頃には、牡丹は500種類近くまで品種が増え、いくつものぼたん苑があったほど、人気の花となっていました。
江戸時代後期の化政文化と呼ばれた文化文政年間(1804年~1830年)の頃、蔦屋重三郎が作った花の本『一目千本』にも牡丹が載っています。
同時期、人気のあったお花を相撲の番付表に見立てた『草木花角力(くさきはなすもう)』では、牡丹は草の花の中で大関(今でいう第1位)に選ばれています。「草の花」の人気ナンバー1ではありますが、「牡丹」は本当は「木の花」です。根元は木でそこから草の茎や葉が出て花が咲きます。
もっと知りたい「牡丹」について
牡丹の英名
Japanese tree peony
牡丹の古名
漢名の牡丹の音読みで「ふかみぐさ 深見草」と呼ばれていました。
牡丹の別名
牡丹はいろいろな別名で呼ばれます。
「なとりぐさ 名取草」
「はつかぐさ 二十日草」
「ひゃっかのおう 百花の王」
「ふかみぐさ 深見草」
「ふうきそう 富貴草」 注意)牡丹の別名としては「ふうきそう」と呼ばれますが、同じ漢字で「ふっきそう」と呼ばれるツゲ科フッキソウ属の花もあります。
牡丹の原産
原産は中国北西部。牡丹は中国の国花です。
牡丹の科属
ボタン科ボタン属。
牡丹の分類
落葉低木樹。
牡丹の季語
牡丹の季語は、「初夏」です。
また、華やかな牡丹は俳句や詩などに詠まれることが多く、関連する季語もたくさんあります。
・寒牡丹 かんぼたん
季語は「三冬」。三冬とは陰暦の10月、11月、12月のこと。現在の11月、12月、1月になります。
・白牡丹 はくぼたん
季語は「初夏」
・深見草 ふかみぐさ
季語は「初夏]
・富貴草 ふうきそう
季語は「初夏」
・冬牡丹 ふゆぼたん
季語は「三冬」
・ぼうたん
季語は「初夏」。『枕草子』の中で清少納言は牡丹のことを「ぼうたん」と言っています。
・牡丹園 ぼたんえん
季語は「初夏」
・牡丹の芽
季語は「初春」。「牡丹の芽」で春の兆しを表現します。
・牡丹焚火 ぼたんたきび
季語は「初冬」
牡丹の花言葉
「王者の風格」
「風格あるふるまい」
出生

牡丹の開花時期
4月下旬から5月上旬。
牡丹の開花期間
1日から2日間。
牡丹の花びら
花びらは八重咲き。
牡丹のいけ方
牡丹といけばな
牡丹は、生花七種伝のひとつです。伝花と言われます。
牡丹の品種
かおう 花王
かんぼたん 寒牡丹
しまにしき 島錦
島根県産。花径約15センチ。濃いピンクの牡丹。冬に咲く。
しまねれんかく 島根連鶴
島根県産。白い牡丹。冬に咲く。
だいこくでん 大極殿
ぬばだま 烏羽玉
はくおうじし 白王獅子
綺麗な牡丹を見ることができる場所
◆長谷ぼたん園
青森県南部町。130種8000本の牡丹が咲き誇ります。1975年頃、奈良の長谷寺より牡丹の苗を譲り受けたのが始まり。見頃は、5月下旬。
◆上野東照宮ぼたん苑
◆国営備北丘陵公園
島根県庄原市。冬に牡丹を見ることができる。藁で編んだこもの中で咲いている。1月から2月下旬まで展示。島錦、島根連鶴(しまねれんかく)など。
◆由志園
島根県松江市大根島。約5万輪の牡丹が咲き誇ります。
◆密厳寺
徳島県三好市池田町西山地区。約800株、130種類以上の牡丹が咲く名所。花の色は、赤、ピンク、黄色などがあります。4月中旬~5月上旬が見頃。「牡丹まつり」も開催されます。
牡丹の観賞法ならびに見方の心得
江戸時代の元禄5年(1692年)、植木職人の伊藤伊兵衛によって編纂、刊行された日本最初の園芸植物の図説書『花壇地錦抄(かだんじきんしょう)』には、牡丹の観賞法や牡丹の見方の心得が載っています。
①位
②花形
③花色
➃花びらの重なり 花びらは、20~100枚が良く、多過ぎてはいけない
⑤めしべ
⑥おしべ 黄色で数が少ないのが良い
⑦花びら
⑧葉
⑨枝ぶり
牡丹と似ているお花 芍薬との違い
芍薬と牡丹は、とてもよく似ています。
お花だけ見ると、見分けがつけ難いですが、決定的な違いがあります。それは、「芍薬」は「草もの」で、「牡丹」は「木もの」ということです。
「草もの」、「木もの」って何?と思いますよね。
「草もの」とは、茎も葉も花も全部が「草の植物」です。「木もの」は、茎や枝が「木の植物」です。例えば、チューリップは草の植物ですが、桜は木の植物です。
芍薬は、毎年、芽が出て、茎が伸び、葉が出て、花が咲き、枯れてしまいます。草の植物です。
牡丹は、元々ある木から茎や葉が出て花を咲かせます。木の植物です。
これが決定的な芍薬と牡丹の違いです。お花を見るよりも、根元の茎が草か木かで違いますので、茎を見ると良いでしょう。
そうはいえ、葉・開花時期・色にも違いはあります。
葉は、芍薬は1枚の葉が3方向に分かれたそれぞれが細長いもの(幅約2~3センチ、長さ約10センチ)で、牡丹はもみじのような手形のような形です。
開花時期は、牡丹が早く、牡丹が枯れた頃に芍薬が咲き始めます。
色は、牡丹が赤に近いのに対し、芍薬は濃いピンクや白です。
逆に、海外での表現になると、芍薬も牡丹も「PEONY」で一括りにされてしまいます。
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