銀杏(いちょう)と銀杏(ぎんなん)の違い
銀杏(いちょう)も銀杏(ぎんなん)も1つの植物で同じ漢字を書きます。違いは下記の通りです。
銀杏(いちょう)とは
その植物全体のことをいいます。樹木や葉などです。
銀杏(ぎんなん)とは
銀杏(いちょう)の種子(果実)になります。
銀杏(ぎんなん)は、銀杏(いちょう)の樹木の葉が、緑色から黄色くなる頃になる果実の中にある殻に包まれた「仁(じん)」という部分のことをいい、これを食します。
果実の臭いが独特で、この果実がなる時季には、銀杏(いちょう)の木には近寄りがたいものがありますが、そこは季節の食べ物です。食べると何とも美味しい。また食べたくなるものです。
そこで、この銀杏(ぎんなん)の臭いの対処方法や、下処理の方法、美味しい食べ方などをご紹介します。これらを知っておけば、下処理もそんなに嫌なものではなくなります。
銀杏(いちょう)の歴史
銀杏(いちょう)は、一億数千年前から現在の中国付近に生存していると言われています。鎌倉時代から室町時代に中国より渡来したとされます。
ただ、それ以前の奈良時代に歌われた『万葉集』に「ちち」という名の樹木があり、これが銀杏(いちょう)だという説もあります。
銀杏(ぎんなん)を食するようになったのは、江戸時代中期以降とされます。
銀杏(いちょう・ぎんなん)の魅力
銀杏(いちょう・ぎんなん)の英名
銀杏(いちょう)は、「ginkgo」や「ginkgo tree]といいます。中国語の英語読みといったところでしょうか。
銀杏(ぎんなん)は、「ginkgo nuts」となります。
銀杏(いちょう)の原産
中国が原産となります。
銀杏(いちょう)の科属
イチョウ科イチョウ属。落葉高木樹。
銀杏(いちょう)の名前の由来
銀杏(いちょう)の名前の由来は、中国での銀杏の別名が「ヤーチャオ」といい、それが日本では「イーチャオ」から「いちょう」と言われるようになったようです。
銀杏(ぎんなん)の名前の由来は、中国でも銀杏は、葉が杏(あんず)の葉に似て、実の色が銀白色だから「銀杏」という字を使い「いんしん」と呼ぶようですが、日本ではそのまま「ぎん」と「あんず」で「ぎんあんず」から「ぎんなん」と呼ぶようになったようです。
銀杏(いちょう・ぎんなん)の季語
銀杏(いちょう)、銀杏(ぎんなん)共に、季語は「秋」となります。
銀杏(ぎんなん)の効能・栄養価
銀杏(ぎんなん)には、βカロチン、ナイアシンが豊富に含まれており、美肌効果があります。
銀杏(いちょう)の木の出生とその姿
銀杏(いちょう)の樹高
約20~30メートルにもなる高木樹です。
銀杏(いちょう)の花
銀杏(いちょう)の花は、4月頃に咲きます。黄緑色おしており、小さくて目立ちません。
新緑の銀杏(いちょう)

雄の木と雌の木
銀杏(いちょう)の木には、雄の木と雌の木があり、雌の木に果実がなります。
いちょう並木があるところを9月頃に見上げると、果実がたわわに実っているので、雄の木と果実がなる雌の木の違いがすぐにわかります。
銀杏(ぎんなん)の収穫・銀杏(ぎんなん)拾いはこの時期
銀杏(いちょう)の葉が緑から黄色に変わる頃が、銀杏(ぎんなん)の収穫の時季、そして銀杏(ぎんなん)拾いの時季です。だいたい9月下旬頃からです。
黄葉した銀杏(いちょう)
銀杏(いちょう)の葉が緑から黄色へ。ちょうど銀杏(ぎんなん)の実が落ち終わる時期です。





銀杏(いちょう・ぎんなん)の実の下処理
拾ってきた銀杏(ぎんなん)を食べるまでには、下処理が必要です。臭いの対処法などをまとめてみました。
銀杏(ぎんなん)の収穫時期
銀杏(ぎんなん)の果実は、さくらんぼのような形をした黄色い実です。
通常9月下旬から10月中旬に果実がなります。
そのころになると、黄色い果実が自然と木から落ちてきますので、みなさん、そこで「銀杏(ぎんなん)拾い」をされています。
銀杏の(ぎんなん)の収穫方法 「銀杏(ぎんなん)拾い」

銀杏(いちょう)の木の下に落ちている黄色いさくらんぼのような果実を拾います。
ただ、この実が熟さないと開かず、中から殻のような種(ぎんなん)を取り出すことができません。実が熟すまで待ちます。もしくは、拾ってくる際に、熟したものだけを拾ってくるとよいでしょう。
ただひとつだけ注意があります。この果実には、アレルギーの物質が含まれておりますので、素手で触ると被れたりします。「銀杏(ぎんなん)拾い」をする際には、必ず手袋などをして拾うようにしてください。でも、きっとその前に、このぎんなんの悪臭で、手袋をしないわけにはいけないと思いますので、大丈夫でしょう。
銀杏(ぎんなん)の収穫後の下処理 ~悪臭の対処法~
銀杏(ぎんなん)といえば、くさい臭いが特徴です。
上の写真を見るだけでも臭ってきそうですね。何が臭うのかというと、果実が熟して、果肉が悪臭を発生させています。この悪臭を封じ込めるためには、冷やすのがポイントのようです。
銀杏(ぎんなん)の下処理のベテランさんたちに聞くと、いくつかの説が出てきます。
◆何重にも袋を重ね、最後に保存袋に入れて、冷蔵庫で3日ほど保管すると、臭くなくなるそうです。臭くなくなってから、果肉をはがして、種の部分を取り除くそうです。
◆果肉をはがして、種の部分を取り出す際に、ぎんなんの果実を水につけたまま、水の中で水を流し続けながら、作業をすると臭わないそうです。
長年の経験で、いろいろみなさん工夫されているようです。
しかし、私は、外で作業もできるので、強行突破、そのままやってしまいます。下処理の際にも、必ずビニール手袋をします。一緒にマスクもすると良いでしょう。
ごみ袋、取り出した種を洗いながらかすのすじを捨てられるよう、三角コーナーなどにつける網の袋を2枚、新聞紙などを用意します。
熟していると、簡単に中の種を取り出すことができます。

熟していれば、100粒くらいだったら10分もあれば種を取り出すことができます。臭いので手作業も早いです。

種を三角コーナーの網の袋に入れて、袋ごとゴロゴロと洗い、種についている果肉の筋なども取ります。網の袋に筋がつきますので、網の袋を新しいものに替えて、何度かゴロゴロと洗います。この筋が残ってしまうと臭いので、必ず完全に取り除きます。
また、塩水に浮かべて、浮いてきてしまうものは、中身がなかったり、ダメになっているものだったりしますので、取り除きます。
洗い終わったら、平たい網などにキッチンペーパーを敷いて、種を天日干しします。

この日はたまたま朝から1日お天気がよく、風もあったので、1日で乾いてしまいました。念のため2~3日干したら、出来上がりです。
銀杏(ぎんなん)の保存方法
しっかり干せたら、常温で2週間は保存できますが、やはり旬のものですので、すぐに食べてしまいましょう。うちは、季節のものは、その日に食べてしまうようにしています。それが、一番美味しいです。
銀杏(ぎんなん)の賞味期限
一応、銀杏(ぎんなん)は「冬の保存食」と言われるように、長期保存は可能です。保存するようでしたら、ポリ袋などに入れて、冷蔵保存すれば、お正月の「おせち料理」にも使えます。
銀杏(ぎんなん)を手に入れる方法
銀杏(ぎんなん)拾いはしたくないけど、銀杏(ぎんなん)は食べたいという方には、種の殻付きの干した状態のものが、10月にはスーパーでの販売が始まります。殻をむくだけの状態で販売されていますので、ぜひお試しください。
銀杏(ぎんなん)の食べ方やメニュー
銀杏(ぎんなん)の食べ方
天日干しした銀杏(ぎんなん)をそのまま食べる方法です。
封筒に入れて、レンジでチンする方法が簡単だとされますが、指定された個数と秒数をしても、袋の中でも、食べる実が硬くなりすぎてしまったり、まったくできていなかったり、上手くできないことが多いです。そこで昔ながらのフライパンで食べられる方法のご紹介です。このやり方の方が面倒かもしれませんが、目で見ての判断なので、確実に美味しくいただくことができます。
①フライパンに殻つきのぎんなんを入れて、5分ほどじっくり炒ります。
②殻の色が変わってきて、焦げない程度までになったら止めます。破裂することもありますが、それができた証拠です。炒る前に、亀裂を入れるといいといいますが、私は入れません。その方が、均等に仕上がります。
③硬い殻をペンチなどで割ってむきます。薄い皮は、むければよいし、無理に全部むく必要はありません。
➃先程のフライパンに油をひき、薄い皮のついたままの銀杏を入れます。
⑤火をつけ、しばらくすると、薄い皮が自然にむけてきます。揚げぎんなんの出来上がりです。

火の通し過ぎに注意してください。銀杏の色が翡翠色になったら出来上がりです。軽く塩をふると美味しいですよ。
銀杏(ぎんなん)のメニュー
銀杏(ぎんなん)を使ったメニューは、ぎんなんご飯、茶わん蒸し、串焼き、揚げぎんなん、天ぷらなどが定番です。
銀杏(いちょう・ぎんなん)の綺麗な場所・名所・産地
綺麗な銀杏(いちょう)や美味しい銀杏(ぎんなん)の産地です。
◆黄金の里
新潟県五泉市蛭野地区。樹齢200~600年にもなるイチョウの木が100本以上あり、10月末から11月末頃が銀杏の旬です。大きな銀杏が人気です。
◆祖父江(そぐえ)の銀杏
愛知県稲沢市祖父江町。祖父江ぎんなんパークには、江戸時代に植えられたイチョウの木が1万本あります。大きくてもっちりとした銀杏は、8月中旬から年末まで順に収穫されます。
銀杏(ぎんなん)のおすすめの逸品
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明日はどんな手仕事する?
秋は手仕事が多い季節です。銀杏(ぎんなん)も下処理は臭いですが、美味しい銀杏(ぎんなん)を食べられると思うと不思議と臭く感じなくなります。なぜでしょうね。
食べる頃には、臭かったことなど忘れて、美味しくいただいている自分がいます。
美味しいからといって、銀杏(ぎんなん)の食べ過ぎは、よくないと言います。何個まで?なんてよく言いますが、人によって違うかと思われます。とにかく量を楽しむよりも、食べたことを楽しみたいものですね。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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