【季節の花図鑑「竹」】観賞用としても、竹の製品としても、食べものとしても、どれも一流な竹の魅力

 1年を通してどの種類かがさいている花




もっと知りたい「竹」について

竹の原産

日本に見られる竹の多くは、帰化植物と考えられ、一部の種類には日本野生説もありますが、ほとんどが中国原産です。 

竹の科属 

イネ科マダケ属。常緑多年草。

竹の歴史

いけばなとして竹をいけている記録としては、現存する最古の花伝書「花王以来の花伝書」(室町時代)に図があり、それ以前からいけられていたことがわかります。

竹の根

竹は、地下茎が発達しています。生育繁殖します。

 

竹の茎「稈(かん)」

竹の茎のことを「稈(かん)」といいます。

竹は、茎が木質化し、大型になる草本植物です。

竹の特徴

古今和歌集では、「木にもあらず、草にもあらぬ竹のよの…」と竹のことが詠まれています。木でもなく、草でもない竹の特徴として、抗菌性や消臭性、しなやかさ、丈夫さなどがあります。

また、観賞用としてはもちろん、神事、道具、工芸品、建築資材、食品など幅広く利用されています。

竹を喩えた言葉

◆「竹を割ったような性格」

素直で曲がったことができない性格や人柄をいいます。竹を縦に割ると一直線に割れることを喩えたことです。

◆「中空にして外節を守る」

腹(心)は真っ白で、節目を大切にしながら節度がある人の姿の喩えです。竹の美しさをも含めた素敵な表現です。

竹の種類一覧

竹は、生育状況から「竹」「笹」「バンブー」の3種類に分類されます。

竹だけで、世界に1200種あると言われています。そのうち日本に生息するのは、150種、学説によっては、600種あると言われています。

中でも「孟宗竹(もうそうちく)」「真竹(まだけ)」「破竹(はちく)」は日本三大有用竹と呼ばれ、この3種が日本の竹の90%を占めています。

竹の種類一覧です、あいうえお順になっています。

◆きっこうちく 亀甲竹

孟宗竹の変異種。亀の甲羅のような形の節が続く種類です。京銘竹のひとつ。

◆くろちく 黒竹

淡竹の一種。直径2~3センチ程の太さ。出た直後は緑色をしていますが、夏を過ぎると黒くなります。

こさんだけ 古参竹

◆ごまちく 胡麻竹

破竹の園芸品種。京銘竹のひとつ。7~8年すると、黒ごまのような黒色の斑点が入る品種です。

◆しぼちく 絞竹

真竹の一種。縦にしわが入った品種。

◆しらたけ 白竹

青竹を晒して白く加工した竹。京銘竹のひとつ。

◆ずめんたけ 図面竹

孟宗竹に人工的に模様をつけたもの。

◆すすだけ 煤竹

古い藁葺き屋根の屋根裏や天井からとれた竹。囲炉裏の煙などで燻されて自然と付いた茶褐色の色合いの竹。

はちく 破竹

ほていちく 布袋竹

まだけ 真竹

もうそうだけ もうそうちく 孟宗竹

竹と笹の違い

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竹と笹の違いの見分け方で一番わかりやすいのが、皮がついているものとついていないものです。節の部分から皮がついているものが笹で、何もついていないものが竹です。

大きさの違いもあります。竹林と言われるように、竹は先は手に届かないくらいの高さになりますが、笹は比較的人の高さでもあるくらいです。

七夕の際に使うのが笹になります。

竹をいける時の注意

◆いけばなでは、孟宗竹がよく用いられます。

◆竹は真っ直ぐですが、葉が垂れるため、竹は垂れ物の分類とされます。短く使わずに、伸び伸びと長く使うようにしましょう。

◆竹は、おめでたいお花なので、婚礼や祝儀、お正月などに好んでいけられます。また、季節を問わす、四季それぞれの姿をいけてよいとされています。

◆通用物(木でも草でもない)のため、合わせるお花に注意すること。草と合わせる時には竹は木ものの扱いとなります。

◆決まり事のあるいけ方「生花」で竹をいける時には、水際1寸(2.5センチ)の内に節を見せることと伝習されています。

◆節の数は、奇数とします。もし1本で奇数にならないようでしたら、2本使い、節が合わせて奇数になるようにします。

◆竹の切り口は、必ず水平に切り、葉などで隠さないようにはっきりと見せることが大切です。

竹の神秘「竹の花」

竹に花?と思われるかもしれませんが、竹には花を咲かせる周期があり、種類によっては、60~120年に1度咲くといわれています。

花が咲いた後には竹が一斉に枯れるため、昔から竹の花が咲くことは「凶事」とされてきました。

竹は一度枯れると、種子が実らず、再生に10年ほどかかるそうです。

静岡県内では、2010年頃から各地で開花の情報があり、2017年3月には南伊豆町で3000平方メートルにわたって破竹(はちく)の花が咲きました。

竹の花は、稲の穂に似た花が鈴なりに咲きます。

竹の花が咲いたら、心しておくことが必要のようです。




竹から作られるもの

竹の花器

私は、花を扱うので、竹から作られるものといったら、「花器」です。

竹の花器というと涼し気に見える夏などと思いがちですが、秋にはつるうめもどきなどを、冬には水仙などを、春にはエニシダなどを竹の花器でいけます。1年中使う竹の花器です。

竹の花器を手に入れるには…

竹細工の商品を扱っている有名店の紹介です。

◆公長齊 小菅(こうちょうさい こすが)

京都市中京区。三条。1898年創業。

竹製の花器といったら、こちらを利用させていただいております。どの商品も品があり、お花が引き立ちます。こちらからも、お取り寄せができます。↓↓↓

茶杓(ちゃしゃく)

茶杓(ちゃしゃく)とは、茶道具のひとつで、抹茶をすくうお茶のスプーンです。

千利休は、どこにでもある竹で茶杓を作り、わびさびの意識を高めたとされます。昔は、茶杓は茶人が自分で作ったそうです。

茶杓を作られる専門の方は、もちろん1つ1つ手作りで作られていて、1本1本すべてに物語があると言われているくらい大切に作られています。

茶杓にあるしみのことを「シュミ」といいます。茶杓におけるシュミは、個性のひとつです。

茶筅(ちゃせん)

茶筅(ちゃせん)とは、茶道具のひとつで、抹茶を点てる道具です。

茶筅を作る方のことを「茶筅師」と言います。

茶筅は、直径3センチの竹から作られます。500年以上作り方は変わっていません。道具も一般的な包丁と言われる刀を使っています。

作り方は、竹先をしごき、丸みをつけていきます。穂を1本ずつ面取りします。16分割して、竹の外側と内側に分けます。根元に糸をかけながら、外側を広げていきます。内側の穂は外側の穂より細くなるように、刀をさしていきます(切り分けていきます)。水に浸けた後、更に薄く削っていきます。これを味削りと言って、最も難しい工程になります。すべてを自分の指で竹の薄さやしなやかさを確認していきます。

茶筅作りのことを「指頭芸術(しとうげいじゅつ)」と呼ぶそうです。

裏千家の大宗匠が、「お茶と茶碗と茶筅さえあれば、お茶は事足りる」とよくおっしゃっていたそうです。それだけ、茶筅は大切なものなのです。

茶筅は、数ある茶道の流派によって、竹の種類や作り方が違います。

裏千家は、破竹を使い、真数穂(しんのかずほ)という種類です。

表千家は、いろりの煙で燻された煤竹(すすだけ)を使います。年季の入った色合いをしています。

武者小路家は、黒竹を使い、穂先が真っ直ぐの種類です。

簾(すだれ)

「すだれ」は、竹のひごを使って作られます。

「すだれ」についてはこちら ↓↓↓

【季節のしつらえ「簾(すだれ)」】昔の使い方にプラスアルファ!節電にもなる便利な夏のしつらえの必需品
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竹箒(たけぼうき)

竹箒は、私の毎日の愛用品です。枯れ葉を掃くなら、竹箒が一番です。こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

竹の建築

現在、活躍中の建築家隈研吾さんが、竹を使った素敵な建物をたくさん建てていらっしゃいます。

竹自体は、真っ直ぐに伸びるものですが、隈さんの建築の中では、竹を曲線に使っている作品が多く、見るだけで感動することが多いです。ぜひ、ご覧になってみてください。

京銘竹について

京都には、竹を使った建物や垣根などをよく見かけます。

京銘竹(きょうめいちく)とは、京都府内で育成・加工される白竹、胡麻竹、図面竹、亀甲竹の4種類の竹の総称を言います。これらの竹を使い、京都の伝統産業として竹製品が作られています。

京銘竹には、建築(柱、垣根、簾、門、駒寄、腰張など)をはじめ、花器、茶道具、箒など、幅広い分野で使用されています。

京銘竹の白竹の作り方です。

①採ってきた竹を綺麗にこすり洗いします。

②満遍なく熱をあて、出てくる余分な油を拭き取ります。

③矯め直しをします。いくら真っ直ぐに伸びる竹とはいえ、曲がっています。②で温めた竹を熱いうちに矯正していきます。

➃数週間天日干しすると、クリーム色で艶のある白竹になります。

竹林として有名な場所

◆京都

京都市には、「嵐山の竹林の小径」と「嵯峨野の竹林の小径」があります。

嵐山の竹林の小径は、天龍寺西側にあります。

嵯峨野の竹林の小径は、天龍寺北側にあります。

2つは近くにあります。

◆修善寺 

静岡県伊豆市。修善寺にある「竹林の小径」は、温泉地内にあり、修禅寺も近く、修善寺に来たら必ず訪れたい場所です。

修善寺20101010
修善寺竹林の小径

食べる竹「たけのこ」について

食べる竹「たけのこ」については、魅力がありすぎてたくさん書いておりますので、こちらをそれぞれご覧ください。

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【季節の手仕事「たけのこ」②たけのこの収穫】思っているより重労働!たけのこを見つけて収穫するまで
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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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