ここではお花の本には載っていない、桔梗を綺麗に飾るためや桔梗を長持ちさせるための下処理の方法や桔梗の扱い方やいけ方・飾り方のコツなどの情報をお伝えしていきます。
桔梗の歴史
桔梗は、東アジアに自生する植物で、日本の固有種でもあり在来種でもある植物です。
「あさがほ」と呼ばれていた奈良時代の桔梗
『万葉集』(7~8世紀後半に編纂。奈良時代末期)には、「あさがほ」という名のお花の名前がいくつか出てきます。これは現在の名前でいう「朝顔」ではなく、現在の名前でいう「桔梗」のことを「あさがほ」と呼んでいたのだと推測されます。
現在の名前でいう「朝顔」が日本に渡来した奈良時代末期までは、「桔梗」のことを「あさがほ」と呼んでいたということです。
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平安時代の桔梗
『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(901年編纂・平安時代中期・漢和字書)には、桔梗の和名のひとつとして「阿佐加保(あさがほ)」と記されています。
『本草和名(ほんぞうわみょう)』(918年頃編纂・平安時代中期・日本最古の本草書)には、「阿利乃比布岐(ありのひふき)で登場します。この「ありのひふき(蟻の火吹)」とは、蟻が桔梗の青紫色の花びらを噛むとその部分が赤く変色することから、この時代はそう呼ばれていたようです。
『倭名類聚抄』(931年から938年頃編纂・日本最初の分類体の漢和辞書)には、同じ「ありのひふき」でも「阿里乃比布木」で登場します。
『源氏物語』(1008年頃。平安時代中期。紫式部作)では、「桔梗」は「桔梗」、「朝顔」は「朝顔」という名で登場します。『源氏物語』には、「桔梗」がたくさん描かれており、この頃には既に名前が「桔梗」に変わっていたことになります。
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江戸時代の桔梗
江戸時代の町人文化が栄えた元禄時代の頃には、園芸がブームとなりました。その元禄9年(1696年)に江戸染井の植木屋伊藤伊兵衛が書いた『花壇地錦抄 前集』が刊行され、植木屋による実用的な園芸書として人気となりました。この『花壇地錦抄 前集』は、草花の品種や育て方、観賞法などを紹介。絵や図などがなく、文章のみでしたが、園芸文化を世に広めたとされます。この『花壇地錦抄 前集』には桔梗も載っており、「扇子桔梗(おうぎききょう)」「白二重」「牡丹」などという品種の桔梗のことが載っています。この時代、桔梗の品種は、もしかすると現在よりも多かったのかもしれないというほど、たくさんあったのではないかと言われています。
もっと知りたい「桔梗」について

桔梗の英名
Balloon flower
桔梗の花のつぼみの姿がバルーンのようだからです。
Ⅽhinese bellflower
桔梗のお花の名前の由来
「更に吉」という語呂に縁起をかついだと言われ、この名が付いたとされます。
桔梗の別名
「桔梗」は、漢名の音読みで「ききょう」と言いますが、別名で”きへん”を取った「桔梗(きちこう)」とも言います。
桔梗の原産
桔梗は、朝鮮半島や中国北部などの東アジアに自生する植物で、日本の固有種でもあり在来種でもある植物です。
桔梗の科属
キキョウ科キキョウ属の多年草。
桔梗の分類
◆高性種
露地もの。丈が長く50センチくらいあるもの。
◆わい性種
丈が10センチほどしかなく、地を這うように育つもの。
桔梗の季語
桔梗の季語は、秋になります。
桔梗の花言葉
「清楚」
「気品」
「やさしい愛」
「誠実」
「変わらぬ愛」
桔梗は「秋の七草」のひとつ
「桔梗」は、藤袴、葛、萩、女郎花、すすき、撫子と共に、「秋の七草」となります。
「秋の七草」を含む、「四季の七草」についてはこちら ↓↓↓

桔梗は日本の象徴?
2020年に開催予定だった東京オリンピック。日本に来てくださる外国の方のために用意された日本を象徴する「おもてなしの花」が、「桔梗」でした。しかし、コロナの関係でオリンピックの開催は2021年に延期、更に無観客での開催ということで、残念ながらこれらの桔梗を外国の方には見ていただく機会があまりありませんでした。報道などもほとんどなかったために、「おもてなしの花」として用意された桔梗が表立つことはありませんでした。ただ、桔梗が日本の象徴のお花として選ばれたこと自体が、誇らしいことです。とても華やかというわけではありませんが、それが桔梗らしく、日本原産のお花として長く愛されるお花であってほしいと願います。
桔梗のお花の出生とその姿
桔梗の草丈
桔梗の草丈は、40~100センチほどになります。
欧米などで栽培されている桔梗は、草丈が10~20センチの地を這うように低く咲く品種です。
桔梗のつぼみ

桔梗のつぼみは、花びらが互いの縁でくっついたまま膨れていくため、風船のようにふっくらして見えます。
子供の頃、この桔梗のつぼみを、風船を割るかのように音をさせて割るのが大好きでした。
桔梗の開花時期
桔梗は、6月から9月頃まで、開花時期はさまざまです。
桔梗の開花期間
約3日。
桔梗の花径
開花すると5~6センチになります。
桔梗の花の色

紫色、白が主流ですが、最近では、かわいいピンクや小豆色も見かけます。

桔梗の栽培・育て方の注意
桔梗は多年草です。毎年自然に出てきます。冬の寒さにも強く、夏の暑さにも強い植物です。
桔梗の苗の選び方
・下半分に枝葉が多いものが強い。
・蕾が多いもの。たくさんお花が咲きます。
桔梗を育てる場所
陽の当たりの良い場所がよい。
桔梗の水やり
水やりは、表面の土が乾いたらたっぷりとあげます。
桔梗のお手入れ
桔梗は、花が終わったら、すぐに摘まないと次の花が咲きません。咲き終わった花は、すぐに取ってしまいましょう。
また、夏のお花が全て咲き終わったら、切り戻しします。切る位置は、節の間が短く、葉がたくさんついている上の部分を切ります。45日から60日後くらいに、2番花が咲き始めます。
桔梗のみたてかた
桔梗は、花もしくはつぼみの下の茎がしっかりしているものが、水が下がりにくいです。また、極端に丈の長いものも水が上がりにくいです。
丈が長くなく、葉も綺麗についており、つぼみが割れ、清楚に咲き始めたばかりのものをみたててあげましょう。
桔梗のいけ方のコツ
桔梗は、シンプルで清楚で古風なお花です。たくさんのお花と一緒にいけるよりも、少数で1本ずつを綺麗に見せてあげるいけ方の方が、桔梗らしくいけることができるかと思います。
曲がっているものは、それを活かしていけるのは良いと思いますが、あえて曲げていける必要はありません。桔梗は、真っ直ぐ天に向かって咲きますので、そのようにいけてあげるのが、一番綺麗です。
桔梗の水揚げ

桔梗は、水揚げがあまりよくなく、切り花にするとあまり持ちがよくありません。
花展などでどうしても使いたい時に、写真のように下をむいてしまったら、まずは簡単な対処法として、桔梗1本を新聞紙できつめに包み、茎の足元を水の中で切り、10分ほど置いておきましょう。延命剤などがあれば、入れてあげるとよく揚がるようになります。
少し水が下がっているくらいでしたら、これで水は揚がります。
しかし、これでも水が揚がらなかった場合は、最終手段として、ガクの上部分に爪楊枝を花に対して垂直に挿し、その部分が水に浸かるようにします。こちらにも延命剤を入れてあげると良いでしょう。1分程つけておき、1分経ったらその水の中で、爪楊枝を外します。しばらくすると、お花がピンと上をむいてくれます。
これをやっても下をむいてしまうようでしたら、それは、諦めましょう。
桔梗をいけるためのおすすめの花器
桔梗は、茎も細いので花器の口が小さく細く、細長い花器などがおすすめです。ご自宅にありませんか?うちにもあります。
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桔梗の品種
桔梗は、江戸時代の園芸ブームの際に、見た目のままが品種名となっています。それが今でも使われているものが多くなります。あいうえお順となっています。
◆小豆一重
花の色は、小豆色。小豆色とはいえ、ピンク紫のような色です。江戸時代からある品種。
◆こまち 小町
花が開かない、蕾の状態のままの品種です。ポンっと割るのが楽しみですよね。色は紫。
◆白一重
花の色は、白。江戸時代からある品種。
◆ピンク一重
淡いピンク色。江戸時代からある品種。
◆紅絞り一重
花の色は紅色とはいえ、小豆色と白の絞り。小豆一重と紫絞りの交配品種。
◆紫一重
定番の桔梗。紫とはいえ、青紫色。江戸時代からある品種。
◆紫二重
5枚組が2つ重なり、花びらが10枚に見えます。
◆紫三重
5枚組が3つ重なり、花びらが15枚に見えます。
◆紫絞り一重
紫と白の絞り。江戸時代からある品種。
桔梗の綺麗な場所、名所
蘆山寺(ろざんじ)
京都府京都市上京区。蘆山寺は、紫式部が生まれ育った、そして『源氏物語』を書いたとされる邸宅があった場所とされます。ここには、源氏庭と呼ばれる日本庭園があり、紫式部ゆかりの花である「桔梗」が約1500本植えられています。蘆山寺の桔梗の見頃は6月下旬か7月ら中旬となります。
桔梗とトルコキキョウとの違い
同じ「桔梗」という名のつく「トルコキキョウ」。華やかなお花のため、とても人気があります。ただし、こちらは同じ桔梗という名がつきますが「桔梗」とは違うお花になります。
そのトルコキキョウのご紹介です。
◆旧学名・英名
「リシアンサス」
◆原産
北アメリカ南部、メキシコ原産。
トルコキキョウという名前なので、トルコ原産かと思いきや、違います。
◆科属
リンドウ科ユーストマ属。
◆花の名前の由来
花がトルコ人のターバンのような形でキキョウに似ているから付けられたといわれています。
◆開花時期
お花屋さんに1年中あるのでわかりにくいのですが、開花時期は夏です。
◆開花期間
1週間から10日は保ちます。
◆花びら
一重咲きも八重咲きもあります。
一重咲きは、シンプルで桔梗に似ているのはこちらのことでしょう。
八重咲きは、バラなどのようにボリュームがあり、花びらがひらひらしていることから、女性的なお花として人気があります。
◆花の色
一重咲きは、白ベースで花びらの縁に紫のラインが入っているもの、紫などがあります。
八重咲きは、白、ピンク、薄い紫、濃い紫、黄緑、くすんだ赤などがあります。

◆花の特徴
花もちがよく、見た目もかわいいため、とても人気があります。
◆花言葉
ピンク色の花言葉は「優美」
パープル色の花言葉は「希望」
◆品種
・エクローサピンク 花の色はピンク。八重咲き。バラと見違えるほどにエレガントな八重咲き。
・オリオンセレナーデ 花の色はパープル。八重咲き。
・キングオブスノー 花の色は白。花言葉は「楽しい語らい」
・メローライム 花の色はクリーム色。
◆桔梗と似ているところ
花の形が似ていると言われていますが、あまり似ているとは思えません。
明日はどんな手仕事する?
日本古来のお花のイメージがある桔梗です。いけるのも和風なイメージでいけるのがおすすめです。逆にご紹介したトルコキキョウは、華やかなイメージがあるので、洋風なアレンジにするのがおすすめです。
それぞれ、お花の事を知ってからいけると、とっても上手になった気分になれると思いますよ。
ぜひ、桔梗をいけてみてください。
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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