会席料理とは、お酒を楽しむための格式と遊び心を兼ね備えた料理「酒席料理」や「宴席料理」として発展したものです。「会席」とは「人が集まる席」という意味です。日本料理の季節や器、盛り付けの美意識は、この「会席料理」によって成熟したといえます。
同じ時代に発展した茶の湯の際の料理「懐石料理」とは別になります。
会席料理の歴史
それまであった武家や公家の饗応料理(饗宴の料理)が洗練された形として、安土桃山時代(1568~1600年頃)後半に酒宴の席で出される料理が形式化され、会席料理の原型が成立しました。
江戸時代初期(1600年代)には、料理茶屋や料亭が登場します。武家や町人の宴席で裂けを中心とした料理形式が整ってきます。この頃から「会席」という言葉が文献に出始めます。
江戸時代中期(1700年代後半頃)以降、町人文化が栄えた頃に現在の一汁三菜を基本とした、先付、椀物、向付、焼き物、煮物、揚げ物、酢の物、飯・汁、水菓子といった形に整えられ、また季節感や器、盛り付けの美意識が高まり、町人文化が生んだ日本料理の完成形とも言われています。
江戸時代後期(1800年代)には、「本膳料理=古式」と言われるのに対し、「会席料理=現代的で洗練されているもの」と言われていたようです。
江戸時代に会席料理が発展した理由として、町人文化の成熟、江戸の料理茶屋や料亭文化の発展、酒の普及と嗜好の多様化、季節や美意識を重んじる日本文化の深化などが考えられます。
会席料理の作法
「会席料理」には、「本膳料理」ほどの厳しい作法はなく、お酒を中心に、料理が流れるように楽しめるものです。お作法というよりは、会話や宴席の楽しみが重視されることとなります。
会席料理の料理の名称やその内容と流れ
現代の会席料理では、料理はお酒に合わせるように軽やかに1品ずつ流れるように提供されます。それらの料理の名称には、微妙な違いがあります。
下記の料理が全てが提供されるわけではなく、その時によって、出されたり出されなかったり、順番を変えたり、それらは素材などによる作る側の判断となりますので、正解はありません。わかりやすさとして★が主に出されるものとなります。
ここでは、その名称とその意味などを、流れと共に紹介します。
実際に提供されるものの例(◆で表示)として、参考までに長年食してきたものを記させていただいております。季節など合わないものもあるかもしれませんが、その時に提供されたものの例として参考にしていただけると幸いです。あくまでも、私は料理人ではなく、食す側の人間として書かせていただいております。ご了承くださいませ。
それぞれの順番は、主な食材を魚、肉、野菜、その他の項目とし、更にそれらの食材をあいうえお順に並べてあります。
食前酒
季節のお酒が最初に出されます。
◆春
梅酒など
◆夏
赤紫蘇酒など
◆秋
あけび酒、梨酒、洋梨酒など
◆冬
柚子酒、レモン酒、かりん酒など
★先付け 先附 さきつけ
最初の一品。軽いものや1口サイズのもの。「先附」とも書きます。
最初に出される一品としては、「先付け」のほかに「座付」「口取り」「八寸」「前菜」「お通し」「突き出し」「仕出し」などという名で出されることがありますが、それぞれに意味があり、出されるものも違います。以下を参考にしてください。ちなみに「先付け」の後に「前菜」を出すといったところもあります。
◆鰻の茶碗蒸し 1月
◆鮭南蛮漬 10月
◆鰆幽庵焼き 10月
◆焼白子と胡麻豆富 12月
◆海老の鬼殻焼き 10月
◆蛍烏賊(ホタルイカ)のぬた和え 1、2、3月
◆烏賊塩辛 11月
◆蛸と生若芽の辛子味噌和え 3月
◆ムール貝素焼き 10月
◆鶏団子のお吸い物 2月
◆焼き茄子栗ソース 9月
◆茶碗蒸し 青さのりの餡掛け 2、5月
◆胡麻豆腐の茶碗蒸し 10月
座付 座附 ざつき
「座付(ざつき)」とは、「座り付いて」という意味で、客が席に座り付いて最初に出される軽い酒肴のことをいいます。
◆胡麻豆腐 6、8月
◆大徳寺麩 6、8月
◆春キャベツの海鮮サラダ 6月
◆養老豆腐 生順才、生雲丹、山葵、ラディッシュ、喰汁 7月
口取り 御口取り
「口取り肴(くちとりざかな)」の略。お酒の最初のおつまみや最初に出される甘みのある料理のこと。おせち料理では、壱の重にこの「口取り肴」を入れます。
八寸 口代わり
お酒を進めるための儀礼的なもの(お酒に合うもの)。次の料理までこのお酒を召し上がってくださいという意味。茶の湯の懐石から派生しています。八寸とは、現在の約24センチ。八寸の大きさの杉の板やお盆に料理を盛ることが起源とされています。海のものを1品、山のものを1品が、意図を考えられて出されます。
海のものとして、海老や烏賊、魚の焼き物など。
山のものとして、栗、銀杏、きのこ、和え物など。
前菜
現代の日本料理のコース料理における食欲を開く導入的なもの(食事に入るためのもの)。旬の和え物や小さな焼き物、酢の物、甘味など、どれも少量で華やかに演出されます。
前菜・魚貝類
◆小鯵開き空揚げ 11月
◆鰻寿司 10、12月
◆鮭南蛮漬 1、12月
◆鮭味噌漬け 2月、5月
◆鮭西京焼 3月
◆秋刀魚有馬煮 1、2月。
◆メヒカリ南蛮漬け 2月
◆川海老 2、3、5月
◆海老素焼 8月
◆白髪海老 6月
◆海老艶煮 1月
◆海老茶巾寿司 11月
◆蛍烏賊沼田和え 5月
◆蛸膾(たこなます) 1月
◆赤貝の葱ぬた 1月
◆鮑串 2、3、5月
◆ホッキ貝のサラダ 1月
◆ムール貝の素焼き 9月
前菜・肉類
◆肩ロース葱味噌焼 1、2、8月
◆牛八幡焼 1月
◆のし鶏黄身焼き 9、10月
◆鶏文銭巻 11月
◆若鶏葱味噌焼 9月
◆松風 12月
◆鴨ロース 1、2、3、5、9月
前菜・野菜類
◆菊花蕪 1月
◆菊菜浸し 11月
◆銀杏松葉 11月
◆小松菜煮浸し 1、2、12月
◆切り干し菊花和え 9月
◆茄子田楽 8、10月
◆蓮煎餅 11月
◆山葵醤油漬 2、3、5月
◆丸十 12月
◆丸十田楽 9月
◆里芋雲丹焼 3月
◆里芋田楽 9月
◆白ずいき胡麻浸し 6月
◆針長芋鯛塩辛添 6月
◆黒豆 6月
前菜・その他
◆胡麻豆腐 1年中
◆玉子豆腐 7月
◆桜素麺 3月
◆栗白和え 9月
◆栗渋皮煮 11月
◆カステラ 1年中
◆野菜カステラ 9月
★御椀 椀物 御椀盛り 先吸い

「口すすぎ」という意味の汁物。
◆焼目甘鯛紅白素麺 6月
◆土瓶蒸し 9月
「土瓶蒸し」は、汁物や蒸し物として扱われます。土瓶という小さな土製の器に、出汁と季節の具材を入れて蒸し上げた汁物となります。主に、松茸や鱧、海老、鶏肉、銀杏、三つ葉などが具材として使われます。いただき方としては、まず1杯目は香りや味わいを楽しみ、その後は土瓶にすだちや柚子などの香味を搾り入れ、出汁と具材を交互に楽しみます。秋の代表的な料理の一種です。
◆鮭岩石 姫かぶ、ふきのとう、柚子 1月
◆海老団子のお吸い物 5月
◆鶏団子のお吸い物 2月
◆若竹椀 5月
◆もろこし進如 けんちん湯葉、三つ葉 7月
◆金波汁 6月
「金波汁(きんぱじる)」とは、だし汁や牛乳に対して卵の割合を限りなく少なく仕上げた卵料理であり、汁物でもあります。「飲む茶碗蒸し」とも言われます。具材としては、よもぎ餅、春子椎茸、鶏団子、三ツ葉、青柚子などが使われます。
温物 蒸し物
◆土瓶蒸し 9月
◆茶碗蒸し 11月
◆鰻茶碗蒸し 6月
◆松茸蒸し 11月
★御造り

◆鯵 3月
◆島鯵 6月
◆伊佐木 2、8月
◆勘八 5、11月
◆鰆 3月
◆しらす 3月
◆鯛 3、5月
◆鯛昆布〆 1月
◆鮪 2、3、5、6、8、11月
◆鮪山掛け 1月
◆赤海老 2月
◆甘海老 11月
◆車海老 6月
◆鳴門烏賊 6月
◆ホタテ 2、8月
◆赤貝 11月
向付
「向付」とは、お膳の中で、手前にあるご飯や汁物の向こう側(奥側)に置かれる器のこと。御造りのことだけをいうイメージですが、御造りだけではなく、なます、酢の物、和え物なども盛られます。
鍋物 台の物 陶板焼き
◆白魚の玉子とじ 2月、5月
◆牛肉の陶板焼き 9月
◆牛しゃぶしゃぶ 11、12月
◆ビーフシチュー 3月
◆もち豚の豆乳鍋 1、2、3、5、10月
◆肩ロース鍋 8月
進め肴 すすめざかな ・ 強肴 しいざかな
お酒を更に楽しんでいただくために、亭主からの心遣いとして出される一品のこと。「強いてもう一品すすめる肴」を意味する「強肴(しいざかな)」とも言います。和え物、揚げ物、浸し物、焼き物、旬の珍味などがおすすめの一品が出されます。お料理が出されるタイミングは決まっておらず、他のお料理との兼ね合いをみて出されます。
進肴・魚類
◆鮎塩焼 9月
◆鰈西京焼 2、10月
◆鰈と大根の煮物 8月
◆鰈と真丈の揚げ物 9月
◆秋鮭袱紗焼き 9月
◆鮭巻繊蒸し 10月
◆鰆照り焼き 3月
◆鰤大根 1、2、5月
◆鰤照り焼き 12月
◆海老真薯の揚げ出し 1、2、5月
◆海老真薯とグリンピース豆腐の揚げ物 8月
◆南瓜の海老真薯 9月
◆烏賊鬼殻焼 2月
◆蛍烏賊 3月
◆貝の春草焼 3月
◆栄螺(さざえ)若草焼 2、5月
◆栄螺土佐煮 9月
進肴・肉類
◆ローストビーフ 2月
◆炙り肩ロース 1、2、5、12月
◆肩ロース林檎焼 9月
進肴・野菜類
米茄子チーズ焼き 8月
★焼き物 焼八寸

火を加えて焼く料理のこと。魚だけでなく、肉でもよい。
◆小持鮎甘煮 あしらいは、大根おろし、糸がき、すだち、生姜 1月
◆稚鮎空揚げ あしらいは、海老、スモークサーモン、生アスパラ、独活、すだち 7月
◆鮑ステーキ 5月
◆鰈柚庵焼 あしらいは、金柑密煮、蓮根 1月
◆鮭西京焼 1月
◆鰆の南蛮焼き 5月
◆鰆西京焼 1、6月
◆鰆の春菜焼き あしらいは、姫さざえ、アチャラ蓮根、レモン、クレソン 6月
◆目鯛の照り焼き あしらいは、海老、アスパラ、レモン 7月
合肴 相肴
「合肴(あいざかな)」とは、焼き物と煮物の合間に出される一品。揚げ物、蒸し物、酢の物、季節の一品などになります。
◆うぐいす豆腐 6月
◆ひまわりもろこし 細いんげん、餡、山葵、白髪葱 7月
中皿

「中皿(ちゅうざら、なかざら)」とは、焼き物と煮物の合間に出される一品。直径が15~20センチのお皿で出されます。
◆白魚の柳川鍋 5月
◆桜海老のかき揚げ 5月
◆三色揚煮 裏白椎茸、磯辺巻、練根博、青唐辛子、パプリカ赤黄など 6、7月
◆新牛蒡柳川鍋 7月
★煮物 炊き合わせ

2種類以上の煮物を同じ器に盛り合わせたもの。旬の野菜の煮物が中心。
煮物・魚類
◆いくら 1月
◆伊勢海老の具足煮 5月
◆うなぎ 1月
◆蛸
煮物・野菜
◆いたどり旨煮 6月
◆オクラ 5月
◆かぶら蒸し 1月
◆蕪炊き寄せ 甘鯛、本占地、紅葉麩、菊花餡 11月
◆南瓜 5月
◆銀杏 1月
◆里芋 5月
◆石川小芋 6月
◆京芋万頭 湯葉餡 6、7月
◆椎茸 1月
◆筍 1月
◆茄子オランダ煮 6月
◆加茂茄子亀甲焼 そぼろ餡掛け 7月
◆梅人参 1月
◆香梅人参 6月
◆百合根 1月
◆山菜 1月
◆蓮根 5月
煮物・その他
◆五目がんも 1月
煮物変わり
「煮物変わり」とは、揚げ出汁や冷煮物などがあります。
お凌ぎ おしのぎ
「お凌ぎ」とは、お食事までの間に、お腹が空いているのを凌いでいただくという意味。先付けや前菜の後、中皿や煮物の前になることもあります。
ひとくちうどん、ひとくちそば、ひとくち寿司、にぎり寿司1貫など。
◆鰻とろろそば 6月
◆とろろそば 7月
★揚げ物
◆海老真薯 11月
酢の物
◆サーモン、蛸、蛇腹胡瓜、もずく 11月
★御食事
御食事
◆あさりと新生姜ご飯 5月
◆ちりめん御飯 1、6月
◆ちりめん焼飯 2月
◆ちりめん山椒の焼飯 9月
◆白魚ご飯 2月、5月
◆白魚釜飯 3月
◆ひじき御飯 7月
◆江戸前寿司 6月
◆木ノ子ご飯 1月
◆松茸ご飯 9月
◆里芋の釜飯 10月
止め椀 留椀
◆海老団子のお吸い物 3、5月
◆鶏団子汁 2月
◆鶏団子と蓮芋 8月
◆枝豆真薯のお吸い物 5月
◆松茸の土瓶蒸し 9月
◆滑子(なめこ)赤出汁 11月
◆赤出汁 1、2、5、6月
香の物
★水菓子
季節の果物
◆苺 1、2、3月
◆キウイ 1、8、9、10月
◆巨峰 8、9月
◆シャインマスカット 8、9月
◆パイナップル 1、8、10月
◆みかん 清見 2、3月
◆マスクメロン 6月
◆林檎 8、10月
◆林檎コンポート 3、9月
羊羹・水羊羹
◆抹茶水羊羹
アイス
◆塩アイス
◆カシスアイス 6月
◆桜アイス 3月
◆バニラアイス
◆抹茶アイス
ケーキ
◆抹茶ケーキ
その他
◆杏仁豆腐
◆葛切
◆胡麻プリン
◆黒豆
◆わらび餅
日本料理のおすすめの逸品
日本料理のこと、もっと知りたいと思われた方は、写真をクリックすると詳細を見ることができ、こちらからお取り寄せをすることができます。↓↓↓
季節の手仕事についての関連記事
◆「季節の手仕事カレンダー」はこちら ↓↓↓

◆「食材別の季節の手仕事」についてのまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「和菓子の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「暦としつらえの季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「お花の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓

◆「おすすめの食材店と旬の食材探しで訪れたい道の駅」のまとめ記事はこちら ↓↓↓


コメント