ここではお花の本には載っていない、日本水仙を綺麗に飾るための下処理の方法や水仙の扱い方やいけ方・飾り方のコツなどの情報をお伝えしていきます。
日本水仙のいけ方・飾り方のコツ

日本水仙をいける時期
いけばなとして日本水仙をいけるのは、12月が盛んとなります。
年明けもまだいけることはしますが、立春を過ぎると「残花(ざんか)」の扱いとなり、あまりいけなくなります。
お花には、「残花」という言葉があります。
立春を過ぎ、季節が変わると、水仙は「残花」の扱いとなります。
「残花」とは、旬や季節を過ぎたお花のことを言います。旬や季節を過ぎたからとはいえ、お庭などには普通に咲き続けています。飾ってはいけないなどということは一切ありません。しかし、季節遅れとなりますので、正式な場では、ふさわしくないかもしれません。
日本料理や、お着物でも同じですね。
いけばなには、意外にも細かい言われがたくさんあります。全部覚えなければいけないということではありませんし、間違っても問題はありません。ただ、知っていることに濾したことはないということです。恥ずかしい想いをしなくても済むということです。
日本水仙の白い粉?
日本水仙をいけるにあたり注意したいことが、水仙の葉には白い粉のようなものが生えてくる時からついています。夢中になって水仙をいけていると、知らない間にこの白い粉が取れてしまいます。白い粉のようなものが取れてしまうとツルンとしたテカりのある緑の葉になってしまい、水仙の風情がなくなってしまいます。この得体の知れない白い粉が取れないように、気を付けていけるようにしましょう。
日本水仙の袴

いけばなのお生花では、そのお花の出生をいかしていけるため、日本水仙は、この「袴(はかま)」と呼ばれる白根を、花葉から脱がして、花の位置を整えて、もう一度袴を履かせます。
花葉を手で温めてしまったりすると柔らかくなってしまい、元に戻すことができませんし、力を入れてしまうと袴が破けてしまいます。
非常に難しいいけ方ではありますが、このいけ方をして日本水仙の綺麗な姿を表現します。
日本水仙についているたまねぎの皮?

日本水仙をいけるのに大切なこと、お花が綺麗なのはもちろんなのですが、このたまねぎの皮のようなものを取らずにそのまま綺麗にいけるということです。このたまねぎの皮のようなつぼみの皮ことを「苞」と言います。
日本水仙をいけるにあたり、この「苞」は風情となりますので、むやみに取らず、そのままいかしてあげるようにしましょう。
「水仙百杯うる覚え」
樋口一葉の『たけくらべ』の一節に「水仙百杯うる覚え」とあります。
この言葉の通り、「水仙は、百杯(何度)いけても上手にはいけられない」ということです。だから、お稽古を怠らずにしましょう…ということです。
私も、昔、おばあちゃん先生に、この言葉を何度も聞かされました。でもすごく納得していて、日本水仙は、二度と同じようにはいけられないですし、何度いけても、完璧はありません。これが、いけばなの難しいところでもあり、楽しいところでもあります。
日本水仙のおすすめの花器
「日本水仙」は、このようなシンプルな花器にいけるとお花が凛として見えて素敵です。
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もっと知りたい「日本水仙」とは
日本水仙の学名
「日本水仙」は、「Nareissus tazetta var chineses 中国の小さなコーヒー茶碗の水仙(イタリア語)」という学名になっています。デミタスコーヒーの茶碗に見えたのでしょうか。
日本水仙の別名
「雪中花(せきちゅうか)」
雪の中でも咲くことから、このように呼ばれます。
「金盞銀台(きんせんぎんだい)」
銀の台の上に、金の盃が載っているという花の形を表現しています。
他にも、中国では「女史花」「妖女花(ようじょか)」「凌波仙(りょうせん)」などとも呼ばれています。
日本水仙の草丈
通常は30センチほどですが、50~60センチほどあるものもあります。
日本水仙の葉

幅約1センチ、長さ約30センチ程の平面です。ねじりなどがあり、それが風情とされます。
写真のように11月上旬では、まだまだ葉が20センチ程しか伸びていません。
日本水仙は、4枚葉と3枚葉に分かれており、いけばなで使われるのが4枚葉なため、4枚葉の方が高値で取引されています。
日本水仙の白根(袴)

日本水仙は、土から地上に出たところに、白い皮を履いています。この白根のことを「袴(はかま)」と呼びます。
いけばなの出生を生かしたいけ方をする時には、この袴を一度脱がせて、お花の形を整えて、また履かせていけます。非常に難しいいけ方です。
日本水仙が販売されている市場でも、この袴が4センチ以上あるものが高値で取引される程、この袴の存在が日本水仙では重要となります。
日本水仙のつぼみ

つぼみが出てきました。

たまねぎの皮のような中から出立ての日本水仙のつぼみ。このたまねぎのような皮は風情ですので、取らずに綺麗に飾りましょう。
蕾が付いた茎の長さは、40センチ以上50センチ未満が高級品として、高値で取引されます。
日本水仙の開花時期

日本水仙の開花時期は、地域や日当たりによって、かなりばらつきがあるように思えます。日本水仙は、水仙の中でも開花が早く11月半ばから12月の最も寒い時期から花を咲かせます。
水仙の種類のなかでは、日本水仙は早咲きとなります。
日本水仙の花径
約3センチ。
日本水仙の花びら
一重咲きと八重咲きがあります。

白い花弁に、黄色の副花冠があるのが一重咲きです。

細長い花びらのタイプもあります。

こちらが、雨に濡れて汚れていますが、八重咲きです。
日本水仙のお花の全体の姿とお花の群生

規則正しく真っ直ぐに咲いています。
日本水仙のお花の特徴
「日本水仙」といえば、高貴な香りが特徴です。日本水仙の香りはとても品があります。
家の中に飾るととても良い香りに包まれます。外で咲いている限りはわかりにくいので、ぜひ切り花にして、家の中に飾っていただきたいです。
お花を切っても、来年にはまた出てきますので、ご安心ください。
日本水仙の日本三大群生地
①福井県・越前海岸
福井県福井市居倉町の越前海岸に咲く日本水仙の景観が、重要文化的景観に選ばれています。越前海岸で採れる日本水仙は、「越前水仙」というブランド名で市場に出回ります。「越前水仙」と呼ばれる基準は、4枚葉であること、袴の長さが4センチ以上であること、花の首までの茎の長さが40センチ以上50センチ未満であることと定められています。越前海岸での日本水仙の栽培面積は、日本最大。例年、年明けに開花。越前海岸で採れる日本水仙の歴史は、室町時代には将軍家に献上されていました。また、江戸時代には越前国の特産品として有名でした。
②千葉県・鋸南町
千葉県安房郡鋸南町は、千葉県の南部に位置します。町の花は「日本水仙」です。毎年12月から2月に「水仙まつり」が開催されませす。
③兵庫県・淡路島
兵庫県の淡路島にある南あわじ市の灘黒岩水仙郷や南淡路水仙ライン、淡路市にある水仙の丘などが有名。
日本水仙が綺麗に咲くおすすめの場所
静岡県下田市
伊豆下田にある爪木崎では、毎年12月20日から1月31日まで「水仙まつり」を開催しています。300万本もの野生の日本水仙が咲き誇り、暖かい下田ならではの一足早い春の光景を見ることができます。日本三大群生地には入りませんが、こちらも圧巻です。
日本水仙の季語
冬です。
七十二候にも挙げられる日本水仙

二十四節気「立冬」の七十二候の末候が「金盞香(きんせんこうばし)」となります。11月17日~21日頃のことを言います。
ここでいう「金盞」とは、金色の盃を意味し、中が黄色の盃のような形をしている「日本水仙」を意味します。水仙の花が咲き、香りが良い頃ということです。
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