【季節の花図鑑「忘れ草・萱草(かんぞう)・きすげなどの仲間たち」】1日しか咲かない儚いお花の仲間たち

 5月に咲く花

中国から渡来した「萱草(かんぞう)」のほか、「野萱草(のかんぞう)」「藪萱草(やぶかんぞう)」などの総称を「忘れ草(わすれぐさ)」と呼びます。

「忘れ草」は広義となり、「萱草(かんぞう)」と付く名のものだけでなく、「きすげ」の仲間たちも含めることができます。

その「ワスレグサ属」は、ゆうすげなどのキスゲ群、飛島萱草などのゼンテイカ群、野萱草などのノカンゾウ群の3つに分かれます。

科属や分類がとても分かりにくいため、仲間たちという表現とさせていただき、お花の名前をあいうえお順とさせていただきました。別名などもございますので矢印に沿ってご覧ください。




あきのわすれぐさ 秋の忘れ草

◆別名

「常葉萱草(ときわかんぞう)」

「クワンソウ」 沖縄での呼び名。

◆原産

日本、台湾、中国原産。

◆生息地

沖縄。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ノカンゾウ群。

◆何年草か

常緑多年草。

◆草丈

約30~80センチ。

◆根・地下茎

共に黄色。

◆葉

幅約1~2センチ、長さ30~60センチ。

◆開花時期

8月~11月。

◆開花期間

花は、1日花。朝咲き始め、夕方には閉じます。

◆花びら

一重咲き。6枚(3枚と3枚)。

◆花の色

オレンジ、濃い朱色。

◆花の特徴

葉、花、つぼみが食用となります。

ハーブとして、不眠症に効果があるとされます。

◆お取り寄せ

「秋の忘れ草・トキワカンゾウ・クワンソウ」を、こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

えぞかんぞう 蝦夷萱草

◆生息地

北海道。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ゼンテイカ群。

◆自生場所

海岸沿いの草地や湿った平地に自生します。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約50~70センチ。

◆開花時期

6月中旬~7月中旬。

◆開花期間

花は、1日花。朝咲いて夕方閉じます。

◆花径

約7~8センチ。

◆花びら

一重咲き。6枚(3枚と3枚)。花弁の先が反り返ります。

◆花の色

黄色。

◆綺麗に咲くおすすめの場所

サロベツ原野。

霧多布湿原。

えぞきすげ 蝦夷黄菅

◆生息地

北海道。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ゼンテイカ群の近縁種。

◆草丈

約40~80センチ。

◆開花時期

5月~7月。

◆開花期間

花は、1日花。夕方に咲き始め、翌日午後に閉じます。

◆花径

約7センチ。

◆花の色

鮮やかなレモンイエロー。

おにかんぞう 鬼萱草

→「やぶかんぞう」

かんぞう 萱草

この忘れ草・萱草・きすげなどの仲間たちの中でも、中国より渡来した古い種です。

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

「本萱草(ほんかんぞう)」

◆原産

中国原産。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属。

◆歴史

『万葉集』(奈良時代末期編纂)に歌が詠まれていることから、この頃には日本に既に渡来していたことが伺えます。

きずげ 黄菅

→「ヘメロカリス」「夕菅(ゆうすげ)」をご覧ください。

ぜんていか 禅庭花

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

「日光黄菅(にっこうきすげ)」と呼ばれるが、別種。

◆生息地

日本各地の高地。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ゼンテイカ群。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約50~80センチ。

◆開花時期

5月上旬~8月上旬。

◆開花期間

花は、1日花。朝咲いて夕方には閉じてしまいます。

◆花径

約10センチ。

◆花の色

黄色。

とうかんぞう 唐萱草

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

「南蛮萱草(なんばんかんぞう)」

◆生息地

長崎県男女群島に自生。

◆歴史

江戸時代には、園芸品種として人気がありました。

19世紀、シーボルトによりヨーロッパに伝えられ、欧米で品種改良され、日本に逆輸入されました。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約50~80センチ。

◆開花時期

5月~6月。

◆花の色

黄色。

ときわかんぞう 常葉萱草

→「秋の忘れ草」をご覧ください。

とびしまかんぞう 飛島萱草

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

「佐渡萱草(さどかんぞう)」

◆生息地

山形県酒田市の北西にある飛島(とびしま)と新潟県佐渡島に自生します。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ゼンテイカ群。

◆お花の名前の由来

山形県の飛島にて発見されたため、この名が付きました。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約50センチ~1メートル。

◆葉

幅約1から2センチ。弧を描いて垂れます。

◆開花時期

5月~6月。

開花期間

◆花径

ニッコウキスゲよりもやや大型。

◆花びら

一重咲き。6枚(3枚と3枚)。

◆花の色

濃い黄色。

◆綺麗に咲くおすすめの場所

新潟県佐渡島の外海府海岸の「大野亀」一帯には、5月下旬から6月上旬に50万株、100万本の飛島萱草が咲き乱れます。

ニシノハマカンゾウ 西の浜萱草

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆生息地

鹿児島県などの九州西部の海岸沿い。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属。

◆系統

野萱草の変種。

◆自生場所

海岸沿い。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約70~80センチ。

◆葉

幅約1~2センチ。長さは50~60センチ。少し光沢のある緑色。しっかりとした厚め。

◆開花時期

7月~8月。

◆花径

約15センチと大きい。

◆花びら

一重咲き 6枚(3枚と3枚)。

◆花の色

オレンジ色。

にっこうきすげ 日光黄菅

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆生息地

栃木県日光の戦場ヶ原付近に生息。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ゼンテイカ群。

◆お花の名前の由来

栃木県日光の戦場ヶ原付近に生息していたことから、この名が付いたとされます。

◆何年草か

多年草。

◆開花時期

7月中旬~。

◆開花期間

花は、一日花。

◆花の色

山吹色のような黄色。

◆綺麗に咲くおすすめの場所

・霧降高原

6月下旬~7月下旬に開花、26万株。斜面一面の黄色の花は、絶景です。




のかんぞう 野萱草

野萱草2022071
野萱草 2022年7月13日

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

べにかんぞう

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ノカンゾウ群。

◆お花の名前の由来

野に生える萱草。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

70~80センチ。

◆葉

野萱草の葉20220713
野萱草の葉 2022年7月13日

◆開花時期

7月~8月

◆開花期間

陽が昇ると開花し、夕方には咲き終えてしまう1日花です。

◆花びら 

一重咲き。6枚(3枚と3枚)。

◆花の色

濃いオレンジ。赤。深紅。

◆お取り寄せ

「野萱草」をこちらからお取り寄せができます。↓↓↓

はまかんぞう 浜萱草

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆生息地

愛知県の西浦半島や渥美半島、静岡県の伊豆半島などの沿岸地に生息。

◆科属

ツルボラン科ワスレグサ属。

ユリ科から分割→ススキノキ科→ツルボラン科へと近年で変更されています。

◆お花の名前の由来

浜に生えることから、この名が付いたとされます。

◆草丈

約70センチ~1メートル。

◆葉

幅約1~2センチ。長さは60~70センチ。厚い。

◆開花時期

8月~10月。野萱草よりも遅い、

◆花径

約8センチ。

◆花の色

オレンジ色や濃いオレンジ色。

◆花の特徴

枯れずに越冬します。

ひめかんぞう 姫萱草

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆科属

ユリ科、ススキノキ科、ツルボラン科、ワスレグサ科

ワスレグサ属ゼンテイカ群。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約25~40センチ。

◆開花時期

5~6月。

◆開花期間

花は、1日花。朝咲いて、夕方には閉じます。

◆花径

ニッコウキスゲよりもやや小型。

◆花びら

一重咲き。6枚(3枚と3枚)。

◆花の色

黄色とオレンジの間。濃い黄色。

◆お取り寄せ

「姫萱草」を、こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

べにかんぞう 紅萱草

→「のかんぞう」をご覧ください。

野萱草の花の色が、紅に近い濃いオレンジ、または深紅のものをいいます。

ヘメロカリス Hemerocallis

「Hemerocallis(ヘメロカリス)」とは、「ワスレグサ属」の学名を言います。「1日の美しさ」という意味です。これらの花の英名は、「Daylily(デイリリー)」といいます。

また、日本や中国原産の品種が欧米で品種改良され、逆輸入されている品種もあり、品種名としても存在します。

ヘメロカリス20220720箱根
ヘメロカリス 2022年7月20日

◆英名 

Daylily

◆別名 

「忘れ草」

「黄菅(きすげ)」

◆科属

ワスレグサ科、ツルボラン科。

ワスレグサ属。

◆草丈

約50~80センチ。

◆花びら

一重咲き、八重咲きがあります。

◆花の色

二色咲き、白、クリーム色、ピンク、オレンジ、赤など。

ヘメロカリス20240718桜堤の公園
ヘメロカリス 2024年7月18日
ヘメロカリス20240626佐々木さんち
ヘメロカリス「ジョアン シニア」 2024年6月26日

むさしのきすげ 武蔵野黄菅

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名 

武蔵野忘れ草(むさしのわすれぐさ)

◆生息地

浅間山(東京都)にしか自生していない。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ゼンテイカ群。

◆系統

ニッコウキスゲの変種。

◆交配

ユウスゲとノカンゾウの雑種。

◆開花時期

4月下旬~5月中旬。

◆開花期間

花は、1日花。朝咲いて、翌朝まで開花します。

◆花の色

黄色。

◆花の香り

かすかな芳香あり。

やぶかんぞう 藪萱草

やぶかんぞう20240704桜づつみの公園
やぶかんぞう 2024年7月4日

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

「鬼萱草(おにかんぞう)」

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属ノカンゾウ群。

◆何年草か

多年草。

◆草丈

約1メートル。

◆開花時期

7月~8月。

◆開花期間

花は、1日花。朝咲き始めて、夕方には閉じます。

◆花びら 

八重咲き。

◆お取り寄せ

「藪萱草」を、こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

ゆうすげ 夕菅

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆別名

「黄菅(きすげ)」

◆生息地

本州の山地に自生。

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属キスゲ群。

◆お花の名前の由来

夕方から咲き始めるから。

◆草丈

約1~1.5メートル。

◆開花時期

7月~9月。

◆開花期間

花は、1日花。夕方、陽が傾き始めると咲き始め、翌朝もしくは午前中には閉じます。

◆花径

6~7センチ。

◆花の色

黄色、レモン色。

◆花の香り

かすかに香ります。

◆花の特徴

長く突き出した雌しべと6本の雄しべは上を向いて湾曲しています。

わすれぐさ 忘れ草

中国より渡来した萱草を含めた、萱草や黄菅などの総称をいいます。

◆和名

「忘れ草(わすれぐさ)」

「忘るる草(わするるくさ)」

◆漢名・中国名

萱草(かんぞう)

◆学名

Hemerocallis(ヘメロカリス)

◆英名

Daylily

◆科属

ワスレグサ科ワスレグサ属

◆何年草か

多年草。

◆草丈

50センチ~1メートル。

◆花の色

オレンジ。

◆開花期間

花は1日花と言われています。1日で枯れてしまうと言われています。ただ正確には、2~3日は咲きます。

◆似ているお花

「勿忘草(わすれなぐさ)」とは、1文字違いですが、ムラサキ科のお花となり、全くの別物です。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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